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真顔

ある人が僕に言う、
そんなに笑ってるんじゃないよって。

僕は思う、
そこまで笑ってないよって。

その言葉は、僕の内心を
抉るには十分すぎた。

内心の中をある人が来て、
土足で歩いていく。

靴についた土や泥が、
染料となって、
思考が変わっていくのが、
ちらりと見えた。

誰かが言った。
笑うことは、人間の特権だと。
また、誰かが言った。
受験に負けた人間が笑うなと。

僕は、ある人に抉られた内心を、
どうやって回復させていくのだろう。
或いは、回復させなくてもいいのかもしれない。
それでは、僕はまた同じ轍を踏んでいることになる。

正直、体だってあるかどうかもわからない。
目も、足も、手も、身長も、ある人に
獲られているのではと錯覚する日々。

この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。

涙こぼしても笑顔の中じゃ
誰も気づいてはくれない。

痛みを分かち合ってくれる人が欲しい。
誰かに助けを求めたい。

独りで悩んでも、何も解消しない。



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