ジョアン・ジルベルト
2003年初来日。私は9月15日のパシフィコ横浜公演を聴くことができた。
エアコンの音を気にするから止めるというアナウンスに、多くの聴衆が扇子を取り出した。私も用意していたもので静かにあおいだ。
開演が遅れるというアナウンスにも、皆、そうだろうという反応。本人がホテルを出たというアナウンスには、会場に安堵が広がった。
神様は、伝道師やスターのような神様ではなかった。穏やかで、品のある、初老の男性だった。その点では、世界中に大勢いる紳士の一人だった。
しかし、その声、ギターの音は創造主のものだった。メロディーもリズムも色合いも、これ以外あり得ないものだった。様々な作詞家、作曲家による曲が演奏されたが、それらには全てジョアン・ジルベルトという創り主の名が刻まれていた。創造主は自ら創りたもうた28曲を私達の目の前でこの世に現しめた。
そして、伝説の20分。ステージでギターを抱えたまま動きを停めた神様を見ながら、私達は拍手を続けた。
(初来日公演については中原仁さんの次の記事が詳しい)
http://blog.livedoor.jp/artenia/archives/50713050.html