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リトルリーグで講義していた頃の話

今回は野球の話です。
競馬の話ではないので、引き上げるかたはここで引き上げでください(笑)

某県のリトルリーグで投手コーチを頼まれたときに、初回の顔合わせ時に必ず「配球論の講義」を実施していたのですが、その講義のネタです。

3年生が進級して4年生になる春に、ヒマなら上級生の新しいチーム見に来てよと頼まれて、10年ぐらい毎年教えに行っていたことがあるのですが、そこで必ずやった講義があります。

配球論の講義

新入生の子達に「僕とジャンケンして勝ってください」というテーマで話出していました。

はい、これは野球の配球論の講義です(笑)

厳密にはこう言います。

ジャンケン勝負のルール

僕とジャンケンを20回しましょう。
勝っても負けてもあいこでも、20回ジャンケンします。
勝敗は気にしなくていいですが、なるべく勝ってください。
そして、20回ジャンケンしたら、21回目が本番です。
この21回目に、僕に勝ってください。
あいこは僕の勝ちです。

本気にさせるプレッシャーの追撃

とくにピッチャーとキャッチャーを希望してる人は、何がなんでも僕に勝ってください。
ハッキリ先に言いますが、特にキャッチャーを希望している人で、21回目のジャンケンを僕に勝てなかった人と勝った人が出た場合は、勝った人に正捕手のチャンスを与えます。

ジャンケンを始める準備

初回の講義は、よく父兄も来ていました。
まぁこの話をすると、いきなり怒り出す父兄がいましたね(笑)

ジャンケンでレギュラーが決まるのか!と(笑)
うちの子は、ずっとキャッチャーをやって選抜にも選ばれている!ジャンケンとは何だ!と(笑)

このチームは、やたら強いチームだったので、父兄も子供の将来を本気で期待してる人達が多いんです。

これを笑顔で軽くうなずく程度で、無視して進めるのも、僕の演出でした。
妙な緊張が体育館や教室に広がって、選手の子達の緊張感が増すんです。

で、このあたりで、何の説明もせず、黙って白紙のA4用紙を1枚とボールペン1本が、父兄も含めて全員に僕が手渡しで配ります。

20回ジャンケン開始の宣言

紙とペンを使いたい人は使ってもいいし、使わなくてもいいです。
父兄のみなさんも、心の中で僕と20回ジャンケンしてみてください。
必要なら、父兄のみなさんも紙を使ってください。
21回目を、この子達と一緒に勝ってみてください。

では、ここから先は、一切の私語を禁止します。
一言でも喋ったら、ここから出てもらいます。
質問は受付けません。

20回ジャンケン開始

1回ずつゆっくり出します。
全員、利き手と反対の腕を上げさせて、僕とジャンケンを同時にします。

じゃいくぞー!ジャンケンポン!(僕はグー)

パーの人の勝ち。
いいかー、次いくぞー。

じゃあ、2回目!
ジャンケンポン!(僕はチョキ)

以下、あと18回を同じぐらいの速度で、ゆっくり繰り返します。

僕が20回出したジャンケンの手

グー、チョキ、グー、パー、グー、パー、チョキ、グー、パー、グー、チョキ、グー、パー、チョキ、グー、グー、チョキ、パー、パー、グー

勝負の21回目

みなさんは何を出しますか?
決まりましたか?(笑)

実際はここで、決戦の前に3分作戦タイムを与えます。
ですが、もちろん誰とも相談することはできません。
この時間になると、だいたい父兄も一言も喋らなくなります。
全員が手元のメモを鬼の形相で読み返しています。

そのメモは、僕の位置からは、全員何を書いているかわかりません。

果たしてそれは、使えるデータなのかな。
使えるデータだったとしても、正しくデータを使えるかな。

自分の書いたメモが唯一の手掛かりなんだろという追い込まれた心理で、とにかくメモを全員睨み続けています。

キャッチャー希望の子は、ここで泣き出す子もいるんです。

ですが、そんな緊張感の中でも、だいたい1〜2人、何も書かずにメモが白紙の子もいます。
この3分で、僕はそういう個人の性格を見ています。

追い込まれた空間は、その人の無意識の行動が非常に良く見えます。

揺れる子、まばたきが多くなる子、利き手で執拗にどこか身体の一部を掻く子、キョロキョロと落ち着きがなくなる子…などなど。

僕はこの3分間で、全員の子の動きをメモに書きとめます。
このデータは、新しく入った選手のクセや適性の見極めに使うデータになります。

いよいよ21回目のジャンケンの手

明日書きますね(笑)
お楽しみに(笑)

ではまたー。




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