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バンコクの思い出とサヨナライツカ

中山美穂さんの訃報を聞いて、真っ先に思い出したのは、2010年の映画「サヨナライツカ」。

「世界中の誰よりきっと」は子どものころによく聞いていたし、むしろ「中山美穂って歌手なんだな」という認識が強かった。

少し大人になって、見たこの映画では、中山美穂さんが「バンコクのホテルに住む(?)謎の美女」を演じていた。

もともと長身で綺麗な人だとは思っていたけれど、その美しい佇まいに惚れ惚れしたし、西島秀俊さんとの濡れ場にもドキドキした・・・。

どこか影があるトウコというキャラクターに、主人公の豊(西島さん)と一緒に惹きつけられてしまった。

中島美嘉さんの「ALWAYS」という主題歌も、この切ないストーリーを彩る。

今朝久しぶりに聞いてみると、「サヨナラ、君は忘れるかな?」という部分で、泣きそうになってしまった。。


映画を見てから知ったのだが、中山美穂さんはしばらく女優業を封印していて、12年ぶりにこの映画で主演を飾ったそう。

しかも、この映画の原作は、当時の中山美穂さんの夫・辻仁成さんの恋愛小説。

偶然なのか、必然なのか分からないけれど、中山さんは当時「運命的なものを感じた」とインタビューで語っていた。

ちなみに、映画の監督は、「私の頭の中の消しゴム」のイ・ジェハンさん。
(この映画もめちゃくちゃ泣いた😭)


映画版「サヨナライツカ」は賛否両論あるけれど、わたしは結構好きで、心に残っている。


そして、映画を見た数年後の2018年。

30歳のときに、偶然にもタイのバンコクに訪れる機会があった。

バンコクに行くなら「舞台になったホテルに行きたい!」と友人に付き合ってもらった。

映画のロケ地になったホテル「マンダリンオリエンタル」。

そこでアフタヌーンティーをしたのがとても良い思い出。

(泊まるのはさすがに高すぎた💦)

ホテルに行くには連絡船のようなものに乗って、川を渡った。

映画の中でもこんなシーンがあったかもしれない。

あまり写真が残っていなくて説明しにくいけれど、ロビーも素晴らしくて、「南国感」と「重厚さ」のバランスが素敵だったなぁ。


そんな優雅な日を楽しんだ日もあったり、歓楽街でゴーゴーバー(風俗)に潜入してみたり、首長族に会ったり、ニューハーフショーを最前列でみたり、、、いろんな意味で刺激的な旅だった。笑


日本にはない、熱気と活気。

またいつか行きたいと思える国の1つ。



サヨナライツカの映画の中で、印象的なセリフがある。

死ぬ時に、

愛されたことをを思い出す?

それとも、愛したことを思い出す?


このセリフを深堀りした詩が、原作小説「サヨナライツカ」の冒頭に載っている。

サヨナライツカ

いつも人はサヨナラを用意して生きなければならない

孤独はもっとも裏切ることのない友人の一人だと思うほうがよい

愛に怯える前に、傘を買っておく必要がある

どんなに愛されても幸福を信じてはならない

どんなに愛しても決して愛しすぎてはならない

愛なんか季節のようなもの

ただ巡って人生を彩りあきさせないだけのもの

愛なんて口にした瞬間、消えてしまう氷のカケラ

「サヨナライツカ」辻仁成

サヨナライツカ

永遠の幸福なんてないように

永遠の不幸もない

いつかサヨナラがやってきて、いつかコンニチハがやってくる

人は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと

愛したことを思い出すヒトにわかれる

私はきっと愛したことを思い出す

「サヨナライツカ」辻仁成


改めて、36歳の自分に自問自答してみた。

愛されたこと、愛したこと・・・。


よく、「愛されたことがないと、愛すことができない」とか「自分を愛さないと、愛してもらうことができない」などと言われる。

結局、愛の発生源ってどこなんだ?って思う。


そんなことを考えていたら、藤井風さんの曲「帰ろう」の歌詞を思い出した。


与えられるものこそ、与えられたもの


自分が与えられるものは、昔誰かから与えてもらったもの、ということだと思う。

この歌詞の通りだとすれば、
「愛される」→「愛する」という順番があるのかも。

死ぬ時に「愛されたことを思い出す人」は、愛の途中なのかもしれない。

誰かにもらった愛を、次の誰かにバトンのようにつなぐ途中。

バトンを誰かに渡す事ができた人生であれば、最後に思い出すのは「愛したこと」になるのかもしれない。

でも、愛した相手から、また愛が返ってきたら・・・最後は「愛されたこと」になるんだろうか。

「愛したこと」に続きがないなら、愛した相手(返してくれる相手)はもうこの世にいない、会えないことになるのだろうか・・・。


でも、それも1つの幸せなのかもしれない。

どの時点で人生が終わろうとも、自分が確かに幸せを感じられた瞬間、満たされてた瞬間がいつだったか?ということなのだろうと思う。


愛は巡ったり、消えていったり。

辻仁成さんの言葉を借りれば、季節のようなものなのか。

朝から、こんなナゾナゾみたいなことを考えてしまった。


あなたは、
どちらを思い出したいですか?




中山美穂さん、
心に残る素敵な映画をありがとうございました。



おしまい。

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ナカノ@まったりフリーランス🪴
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