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公務員試験のプレゼンテーションでやってはいけない失敗例5選 -中身で差がつく対策法-

公務員試験のプレゼンテーションは、企業流の方法をそのまま真似すると思わぬ失敗例に陥る危険があります。

特に、公務員試験ならではのプレゼンテーション失敗例を把握していないと、住民や上司を想定した論理性を欠き、落ちる原因になります。

本記事では、実際に頻発する失敗例とその回避策を解説し、合格への道を切り開く方法を提供します。


1.そもそもなぜ今、プレゼンテーションなのか?


公務員試験でプレゼンテが求められる理由とは?

背景

  • 公務員試験でプレゼンテーションを課す自治体が増加
    近年、面接だけでなくプレゼン形式の発表を求める自治体が増えています。特に中途採用枠では、社会人としての論理的思考力やプレゼン能力をアピールする場面が多くなりました。

  • 情報量が少なく、誤った準備をしがち
    まだ導入事例が少ないため、具体的な成功・失敗パターンを共有している受験者が多くありません。その結果、民間企業流の華やかなスタイルをそのまま公務員試験に当てはめてしまい、面接官の求めるものとズレる可能性があります。

本記事の目的

  • 「やってはいけない事例」を紹介し、正しい方向性を提示
    筆者が市役所で勤務した3年間のうちに経験した、のべ30回以上のプレゼンから得た知見をもとに、公務員試験向けのプレゼンで陥りがちな失敗例を整理します。

  • 実際の公務現場での経験に基づくアドバイス

    • 初めてのプレゼン: 入庁3週間後、地域の代表者約50名に向け、福祉募金協力を呼びかける15分間の登壇。

    • ゼロベース企画のプレゼン: 防災意識を高めるセミナーを企画し、プレゼンターとして登壇。

    • 大学生対象の市役所紹介: 127名の学生に27分間、市役所業務をわかりやすく伝える。

こうした実務ベースのエピソードを通じ、プレゼンの本来の目的や、公務員試験で評価される「中身」を把握することが重要です。面接官がどのような観点でプレゼンを評価し、公務員としてどんな実践力を求めているのかを明確に理解していけば、正しい準備ができるようになります。

2. やってはいけないプレゼンテーション

2-1. かっこいいプレゼンテーション


派手なパフォーマンスは逆効果

プレゼンテーションで何を求められているか?ということを明確につかんでいないと、どうしても「わかりやすいところ」に飛びつきたくなるのが人間心理というものです。

たとえば、「プレゼンテーション やり方」などと検索すると、YouTubeでは企業トップの華やかなプレゼン動画が上位表示されます。

しかし、それをそのまま公務員試験に応用するのはおすすめしません。見栄えは良いものの、上司や住民、協力事業者といった公務員の仕事相手からは「気取っている」と受け取られやすく、内容をしっかり見てもらえなくなる恐れがあるからです。

実際、筆者自身がスティーブ・ジョブズの著書を研究してみたところ、公務員の実務や試験には直接活かしづらい部分が多いと感じました。自治体の施策や課題は、華やかさよりも「どんな問題をどう解決するのか」を論理的に示すことが大切です。派手な演出にこだわるよりも、住民や上司が納得しやすい形で課題や解決策を明確に伝えるほうが、面接官の評価につながります。

2-2. ビジュアル重視の資料


図や画像ばかりの資料はNGな3つの理由とは?

「文字を減らし、画像を多用する」という民間のプレゼン手法は、公務員試験では避けなけれななりません。その理由として、次の3点を挙げたいと思います。

  • 公文書としての性質があるから
    公務員が作る資料は、住民とのやりとりや組織内の記録に残ります。文字を極端に減らして画像ばかりにすると、後々「何を伝えたかったのか」が分からなくなる恐れがあります。

  • 資料単体で意味を成すことが重要だから
    画像やアイコンに頼りすぎると、見た人によって解釈が変わるリスクが生じます。ごみ収集をイラストで説明した結果、肝心の曜日や収集物が伝わらずクレームになった例もあります。

  • 誤解や責任問題につながりやすいから
    公務員の業務文書は「これを見て行動した」というケースが起こり得るため、文字情報をしっかり入れて誤解を防ぐ必要があります。後からトラブルが発生しても「資料上の表現が曖昧だった」と責任を問われないようにしましょう。


2-3. 台本棒読み


台本棒読みでは受かるものも受からない

プレゼンテーションの経験が少なかったり、人前で話すことに苦手を感じていると、どうしても”失敗したくない”という意識が働き、それが元で「話す内容を台本化しよう」という行動に流れがちです。

しかし、これは逆効果になりかねません。

もちろん、読み原稿を作ること自体は問題ありませんが、書き言葉をそのまま棒読みすると、聞き手には「教科書の朗読」のように感じられやすいです。文章をただ読み上げているだけだと、抑揚が失われて単調になり、面接官の興味を奪ってしまいます。書き言葉は話し言葉とテンポや表現が違うため、棒読みでは「いつ終わるのか」という退屈感を与える恐れが高いです。

代替策

  1. 箇条書きメモにまとめる
    大切なキーワードや要点だけをメモにし、本番では自然な話し言葉を意識して伝えます。必要以上に文章化しないことで、聞き手から「棒読みだ」と感じられるリスクを減らせます。

  2. 原稿を作ってもポイントを重視して話す
    もし文章で書き起こした原稿がある場合も、当日は文字を追うのではなく「ここで何を伝えたいのか」といった意識を持って話します。書いた文章は自分の頭で要点をつかみ、実際には自分の言葉に置き換えて話すことで、自然な口調が保ちやすくなります。

2-4. タイムオーバー


時間厳守は公務員の基本

時間内に話が収まらず、プレゼンが長引くのは絶対に避けるべきです。特に未経験者の場合、しっかり準備しようとするあまり「あれもこれも」と内容を詰め込みすぎてしまい、時間オーバーに陥りがちです。

長引くほど、聞き手は「早く終わらないか」と感じてしまい、公務の場でも時間管理ができないという悪印象を与えます。

代替策

  1. 練習段階で余裕を設定する
    たとえば5分の枠なら4分50秒程度で終わる構成を目指すと、本番で少し詰まっても安心して話を続けられます。

  2. 時間管理の意識を持つ
    プレゼンだけでなく、公務員の仕事全般で時間厳守は非常に重視されます。あえて「内容を削る」勇気も大切です。

  3. ゴールを明確に
    大切なのは5分なら5分話し続けることではなく、5分間で与えられてテーマに対して何を伝えるか、です。プレゼンテーションの目的を明確にしましょう。

2-5. 準備不足


準備不足は失敗の原因に…

中途採用の場合、仕事との並行で準備を進める必要があるうえに、プレゼンテーション経験が少ないと「プレゼンとは何か?」を調べるところから始まるケースが多くなります。さらに、公務員試験ではプレゼンに加えて面接や集団討論など、複数の試験対策を同時に進める必要があり、1~2週間ほどでまとめ上げるのは簡単ではありません。

結果として、資料が未完成のまま本番を迎えたり、内容が整理できずしどろもどろになってしまうと、「この人は準備不足=仕事を任せられない」と見なされ、意欲や能力を疑われる恐れがあります。

対策

  1. スケジュールを逆算して計画
    テーマ決定→資料作成→発表練習の流れを段階的に設定し、1日ごとのタスクを明確にする。

  2. 時間のなさを逆手にとる
    短期間で完成度の高いプレゼンを作り上げれば、「忙しい中でもしっかり準備ができる人」と評価される。

  3. 試験形式を早めに把握
    プレゼンの有無だけでなく、面接や集団討論など同時に対策すべき試験内容を把握し、効率よく進める。

3.失敗の原因とその結果

ここまでの内容を「失敗例」「その原因」「結果」に整理しておきましょう。

プレゼンの失敗例とその結果

4. 受かるプレゼンの絶対条件


受かるプレゼンの絶対条件とは?

ここまで、プレゼンテーションで陥りがちな5つの失敗例とその原因・結果を見てきました。では、どうすればこれらの失敗を回避できるのでしょうか。

結論としては、プレゼン全体の「論理構成力」を高めることが鍵となります。

論理構成力とは

論理構成力とは、伝えたい内容を「誰に」「どの順序で」「どのように示すか」を整理し、説得力と分かりやすさを両立させる能力のことです。

  • 公務員の視点
    住民や上司が納得するには、結論に至る過程が筋道立てて明示されている必要があります。派手さや簡潔さだけを追い求めるのではなく、正確性や適切な段取りがあるかを重視するのが公務員らしさです。

  • 試験官の視点
    面接官は「この人に実務を任せても大丈夫か」「論理的に課題を解決できるか」を見ています。論理構成がしっかりしていれば、話し方や資料の不足を多少補えるだけでなく、仕事への信頼感を与えられます。

具体的な効果

  1. 迷子にならない スライドや資料を作る際に、結論→理由→具体例→再結論といった論理の流れを意識すると、時間オーバーや内容不足を避けられます。

  2. 棒読みしなくても話せる 要点が明確であれば、台本を一字一句読む必要がなくなり、自然に自分の言葉で説明しやすくなります。

  3. 最小限のビジュアルでも伝わる 文章量や画像のバランスを整えられるため、過度な装飾やビジュアル頼みの資料を作らなくても、十分に理解を得られます。

このように、プレゼンテーションでの失敗要因を根本から解消するには「論理構成力」が欠かせません。

次の記事では、この論理構成力を高める具体的な方法について、さらに詳しく解説します。資料作りや話し方のテクニックだけでなく、「なぜその順序で伝えるのか」という思考プロセスを深めるヒントをご紹介しますので、あわせてお読みいただければ幸いです。

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