「いかさま海亀のスープ」
本来なら「偽海亀のスープ」なのかもしれませんが、あえて「いかさま海亀のスープ」と名付けさせて頂きました。
楠本まきさんの本のタイトル「いかさま海亀のスープ」を目にした時、いかさま海亀って? しかもそのスープ?と思ったのがきっかけでちょっと調べてみると、「いかさま海亀」というのは不思議の国のアリスに出てくる「偽海亀」のことのよう。
そして不思議の国のアリスに出てくる偽海亀のモチーフは、当時人気だった「偽海亀のスープ」らしいという事が分かり、興味津々。
「不思議の国のアリス」が書かれた18世紀半ば、「海亀のスープ」がとても人気がありました。
しかし海亀は当時とっても高価だったので、庶民でも楽しめるように海亀の代わりに牛の頭を使って作られたのが、「偽海亀のスープ」だったのです。
「不思議の国のアリス」に出てくる偽海亀の体が亀で頭が牛というキャラクターはそこからきたんですね。
ちょっと面白そう
作ってみよう
しかし今の日本ではBSEの関係で、牛の頭は使えません。
そこで今回はオーソブッコ(仔牛のスネ)を使ってみました。
炒めた香味野菜と焼き色を付けたオーソブッコをマルサラ酒、赤ワイン、トマトペースト、水でゆっくり3時間煮込みます。八角や黒粒胡椒と一緒に。
粗熱を取ったらオーソブッコだけを取り出し、スープを漉して、1日目終了。
2日目は澄ませる作業。
鍋に香味野菜と牛ミンチ、卵白を入れて、コネコネ。
そこにスープを注ぎ、沸騰するまでずーっと混ぜながら火にかけます。
沸いてきたら混ぜるのをやめて、1時間半。mijoter
一度漉して一煮立ちさせて灰汁をひき、サラシを使い再び漉して冷めたら冷蔵庫で一晩。
翌日、表面に浮いた脂を丁寧に取り除き、完成です。
もちろん途中で色々味の調整をしながら、イメージする味までもっていきました。
当時、具は牛の脳のフリットや魚や卵の団子だったのですが、今回はオーソブッコの肉をほぐしたものとタラコ。
topinambur風 いかさま海亀のスープの出来上がり。
もともとスープを作るのは好きなのですが、今回はまた違った楽しさがありました。
食べたこともないものを色々な資料から想像を膨らませて、形作っていく作業は刺激的でとても楽しいです。
楠木まきさんの本を知っている人は驚くだろうなー、なんて想像するのも楽しい。
そして今回はイメージ通りの味に持っていけたので、更に楽しかったです。
もともとただの水なのに、その中で色々なものを煮込んでいくと味や香りが移り、どんどん味が重ねられて美味しくなる。
人も同じなのかなー、なんて思います。
色んな人と出会い、色んな経験を積んで、味わい深い人間になってゆく。
美味しい「いかさま海亀のスープ」はまだあります。
ご興味がある方はご連絡ください。
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