ミュージカル作品紹介vol.21/アイーダ
火曜日更新って気持ちはあるのだけれど、ずるずるとついに金曜日になってしまっている昨今です。
先週末に『チョコレートドーナツ』、一昨日『万引き家族』を家で見て、そしてたまたま昨日録画しておいたねほりんぱほりんを見たんだけど、そのテーマが「戸籍がない人」だった。偶然それぞれがリンクした内容だということもあり、「家族とは」を考えるここ数日だった。
特に『チョコレートドーナツ』に関してはセクシャルマイノリティ、ドラッグ、貧困、育児放棄…とさまざまな問題が提起されていて、ラストの展開もあり見た後しばらく言葉が出なかった。
これらを見たからといって、すぐに何か行動を始められるわけではないけれど、自分の中の常識が通用しない世界がこの世には星の数ほどあって、そのひとつを知ること、得ること、感じることは少なくとも無駄ではないと思っている。
という近況ではありますが(?)今回はミュージカル回として『アイーダ』を紹介する。
人によっては「アイーダってオペラじゃないの?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、そうです、そのオペラのミュージカル版でございます。
オペラの「凱旋行進曲」はたぶんオペラに詳しくなくても聴いたことがあると思う。特にサッカー界隈の皆さん。
世界最古のラブストーリーとも言われる『アイーダ』。ストーリーは以下のとおり。
時は古代、ファラオが支配する強大な王国エジプト。いにしえよりナイルの恵みを受けてきたこの国は、領土拡大をねらって隣国ヌビアに攻め入っていました。
ヌビア国侵攻の先頭に立つのは若き将軍ラダメス。破竹の勢いで勝利をおさめ、捕虜をともなって意気高らかに帰還します。
帰国の途上、ヌビア人捕虜の中のアイーダという女性が、大胆にも反乱を試み、ラダメスに抵抗します。実はこのアイーダこそ、身分を隠したヌビア王女だったのです。
アイーダの正体を知らないラダメスは、婚約者である王女にアイーダを侍女として献上します。ぜいたくに着飾った日々を送る王女アムネリスは、物怖じしないアイーダの態度に驚きますが、次第に侍女以上の信頼を寄せるようになるのでした。
ヌビア遠征の成功を祝う晩餐会の席上。エジプト王は娘アムネリスとラダメスとの結婚を7日後に行うと宣言します。王女との結婚はラダメスの将来を約束するものでしたが、冒険を愛するラダメスは言いようのない失望感を味わいます。
「自分の運命が気に入らないのなら、変えればいい」
落胆するラダメスに、アイーダは挑戦的な言葉を投げつけます。現在は捕虜の身の上でありながら、勇気を持ち気高さを失わないアイーダの言葉にラダメスは衝撃を受け、自らの過ちを認めます。アイーダもまたラダメスのいさぎよさに驚き、次第に二人は惹かれ始めます。
その頃、ヌビア人奴隷の間では王女アイーダに祖国再生を託そうという気運が高まっていました。固辞したものの、やがて指導者としての自覚に目覚めたアイーダは、指導者を象徴するローブとともに自らの運命を受け入ることを決意します。
一方、アイーダへの愛を自覚したラダメスは、新たな人生を送ろうと自らの財を人々に惜しげなく分け与えます。自らの思いに正直に生きようとするラダメスの姿を見て、アイーダもまた心を抑えきれず、二人は愛を確かめ合うのでした。
アイーダ、ラダメス、そしてアムネリス。敵国同士、それぞれの国を背負って立つ三人の愛を、運命が大きく押し流し始めます。
ラダメスとアムネリス二人の結婚の日が近づいてくるのですが…
(劇団四季公式HPより引用 https://www.shiki.jp/applause/aida/)
ここまでお読みいただいたうえで、更に衝撃なのはこれがディズニーミュージカルだということ。「危険なチャレンジ」とはまさにこのことだな…と思いながらオススメポイントを紹介していきます。
①エルトン・ジョンの楽曲
本作で使われている曲は映画『ロケットマン』で半生が描かれているエルトン・ジョンによる作曲。
…完全に余談だけど、こういう音楽や美術、小説とかで天才的な活躍を見せる人たちってどうして総じて酒かドラッグか女に走り、挙げ句の果てに自殺を図るのか……?
人が感じること以上のことを物事から感じるほど感性が豊かだからこその作品なのか、天才ゆえの重圧によるものなのか…?古いところで言うとモーツァルトなんかも酒に溺れまくっていた気がする。あれは天才ゆえか。
と言いつつ、エルトン・ジョンはまだ生きているし、実は今日『ロケットマン』を見たばかりなのだけれど思わずノッてしまうような曲ばかりだった。
アイーダは名曲揃いなのだけれど、ヌビア人奴隷たちの願いとアイーダの決意が歌われた「ローブのダンス」のラストは特に壮大な音楽と目の前で繰り広げられる魂が込められた踊りに、思わず息を飲む。
アイーダとラダメスによって歌われる「星のさだめ」も大好きな曲。ミュージカル界の実力派の人たちのライブでも結構頻度高く歌われるような曲で、あっちゃいけないのかもしれないけれど、歌う人によってカラーが変わる感覚がある。でも、それぞれが全て正解だと思えるのは元の楽曲の強さなのだろうなと思います。是非いろんな人のバージョンで聴いてみてほしい。
②アムネリス姫
作品名が『アイーダ』というくらいだから、主人公はアイーダであるし、そしてその相手役はラダメスである。けれど、この作品がただのエジプト版ロミジュリのようにならない理由に、このアムネリスの存在がある。
エジプト王の娘、お金や暮らしには何も困っていない。わがままで奔放なまさにお金持ちの女という登場をするが、アイーダと出会うことで彼女もこの物語のなかでどんどん成長していく。
私はこの作品を複数回(数えてないから分からない)見たことがあるのだけれど、初見こそアイーダに注目して物語を見てしまうものの、2回目以降は自然とアムネリスに心を奪われて見ていた。
ちなみにミュージカル版では最後の展開で彼女を好きにならない人はいないと思うが、オペラ版だとちょっと展開が違うらしい。…オペラ版も見てみたいなぁ。
③衣装ーMy Strongest Suits
日本語訳で言うと「お洒落は私の切り札」という曲。こちらはアムネリスが初めて登場した時に歌い、唯一この演目の中で「カラフル・華やか」な舞台にする曲。
最初侍女たちはバスローブのような衣装を身に纏っているのだが、それが曲中で色鮮やかな衣装に変わる。そして途中でファッションショーが繰り広げられるのだが、その衣装がまた見もの。
ピラミッド、月、蛇などがモチーフになった衣装が登場し、最後には猫の帽子を被ったアムネリスが登場する。
まぁ何とも不思議なというか「なぜ猫?」となるのだけれど、古代エジプトでは猫は神として扱われ、ファラオの守護者という役割を担っていたとされている。つまり、王ファラオの娘であるアムネリスがこの猫を身につけることで、国の中での強者であるという表現を衣装に暗に込めているというわけだ。
ちなみにこれは曲中の話ではないのだけれど、この物語の中でアムネリスが被る帽子の高さが後半になるにつれてどんどん高くなっていく。これは彼女自身の成長を表しているらしい。昔オフステージトークショーに参加した時に劇団四季の役者さんがおっしゃってました。笑
…って感じで今回アイーダを紹介したわけですが、近日中に劇団四季「The Bridge〜歌の架け橋〜」に行ってまいります。
本当は昨年上演される予定でそれをとても楽しみにしていたけれど、コロナの影響で今年に延期になり。劇団四季の経営はかなり厳しい状況のなかで、私はこの作品を上演することが劇団四季の再起のひとつとなると信じているので行ってきます。感染対策はバッチリにして。
このご時世で行くのは本当に賛否両論あると思うけど、大好きな劇団が苦しい時に出来るのはわたしにはこれくらいだと思うので。。
感染には気をつけながら今後も過ごしていこうと思います。
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