ミュージカル作品紹介vol.13/タイム・フライズ
東京都の感染者数も段々と減ってきて、出社までのカウントダウンが始まったような気がしている。陰鬱な気持ちになりつつも、しばらくは週に1〜2回の出社で済みそうで良かった。
先週末はアニメ「宇宙よりも遠い場所」を一気見した。いやあ、良作でした。泣けた!とか笑えた!というようなことではないのだけれど、漠然と「みんなで一つの目標に向かっていく姿」に感動し、羨ましくも思ってしまった。私も南極に行きたい。
さて、今日はミュージカル作品紹介の第13回目。正直これまでのミュージカルは「聞いたことはある」というレベルのものが多かったと思うのだが、今回はあんまり知られていないんじゃないかな…と思う。
劇団四季や東宝のような大手劇団がある一方、小劇場を中心にしている小劇団もある。今回紹介する『タイム・フライズ』は中堅(…
と思っている)のミュージカル座の作品。
2018年に3度目の再演。私も2018年にこの作品を観た。
なんと今、5/25までの期間限定でYouTubeでフルで観ることが出来る。本当は舞台で観てほしいという気持ちが強いけれど、このご時世では再演があるかも怪しい。ならば、この機会に是非観てほしい。というか、絶対観てください。
YouTube貼っておきつつ、以下紹介です。
現代の大学生が、学生運動真っ盛りの1968年(昭和43年)にタイム・スリップして、若かりし頃の両親に出会い、共に全共闘として学生運動に巻き込まれて行くという昭和懐古的テーマのミュージカル。鉄骨3階建てのセットが盆に乗って回転する迫力のある舞台で、玉麻尚一作曲によるエネルギッシュな音楽と共に、一度しかない青春の叫びが突き刺さる。懐かしい60年代風アングラ演劇のテイストもあるノスタルジーに彩られた異色のオリジナル・ミュージカル。社会に熱く立ち向かった、昭和の団塊世代の若者たちと、閉塞感のただ中にいる平成の若者を対比させてジェネレーション・ギャップを描き、自分たちの時代は自分たちの手で創って行こうというメッセージを投げかける(公式ホームページより引用 https://musical-za.co.jp/stage/タイム・フライズ2018/#GALLERY)
①日本人による日本人のためのミュージカル
ミュージカルは大手の劇団であればあるほど基本的に海外作品を日本人キャストで上演する。
ミュージカル座は「新しい国産ミュージカルの創造と普及」を目的にしているため、日本人が日本人を演じる作品が多くある。
ストーリーを読んでいただくと分かると思うが、学生運動を中心に物語は繰り広げられていく。歴史の教科書でもほんの少ししか記載があった記憶がなく、恥ずかしながら詳しいことは全く知らなかった学生運動。
彼ら・彼女らがどんな気持ちでこの学生運動に臨んでいたのか、運動に参加する学生の周りを取り囲む人々の様々な想い…これらが舞台だと手に取るように分かる。
かと言って観終わった後、この手のミュージカルに多い「歴史から学べ」感が強いわけではなく、自然と「今の自分は自分が選択しているもの。未来の自分は自分の選ぶ道でいかようにも変えることができる」とポジティブな気持ちになる。若い人にこそ観てほしい。
②板岡ひとみ・知念明海の存在
この作品にはとても多くの学生が出てくるのだけれど、その中でもこの二人の女学生の存在が私の心に大きく残っている。
第二次世界大戦、広島で母親が胎内被爆をして産まれた板岡ひとみ。戦争を憎む気持ちが強かったものの、傍観者の一人だった彼女が「何か行動したい」と学生運動に参加する。そして沖縄出身のため、沖縄返還を真剣に目指している知念明海。
二人がそれぞれの想いを抱えながら学生運動に臨んでいく様子には胸を打たれる。とくに知念明海が主人公の一人である哲平と未来の日本の話しをしている時は、観ているこちら側も心臓が強く一度ドクンッと鳴った。
観ている人によって感情移入する登場人物は変わってくると思うので、共感できるキャラクターを探してみるのも面白いと思います。
③FLOWER〜迷いなき心で〜
多くは語らず。この曲素敵なので聴いてください。
以上、おうち時間が取れる今だからこそ、良い作品なので本当に是非観てください!