ミュージカル作品紹介vol.20/RENT
メリークリスマス!…ってイブにも使うものなのかな…?と自信がないままに書いているけれど、メリークリスマスです。
今年何度使ったか分からない言葉だけれど、とにかく実感が湧かない。あっという間に12月になって、あっという間にクリスマスを迎えてしまった。
生まれてからずっと天皇誕生日が12月23日だったこともあり、クリスマス付近はお休みであるという感覚がこれまであったけれど、今年は特に日付の並び的に今日も明日も平日ゆえに、何だかいつも通りの日常が平行線のまま続いている気持ち。
読んでくださっている方と自分自身に少しでもクリスマス気分を感じてもらえるように、と今日は『RENT』をご紹介。
ニューヨークを舞台に、小さな劇場で始まったこの演目。2ヶ月後にはブロードウェイに進出し、トニー賞4部門受賞。
日本では今年再演の予定だったのだけれど、コロナ感染者発生により途中で中止に。そんな悔しい思いも乗せつつ、以下あらすじ。
1991年、NY、イーストヴィレッジ。映像作家のマークは、友人で元ロックバンドのボーカル、ロジャーと古いロフトで暮らしている。夢を追う彼らに金はない。家賃(レント)を滞納し、クリスマスイヴにもかかわらず電気も暖房も止められてしまう。恋人をエイズで亡くして以来、引きこもり続けているロジャー自身もHIVに感染しており、せめて死ぬ前に1曲後世に残す曲を書きたいともがいている。ある日彼は階下に住むSMクラブのダンサー、ミミと出会うが彼女もまたHIVポジティブだった。一方のマークはパフォーマンスアーティストのモーリーンに振られたばかり。彼女の新しい相手は女性弁護士のジョアンヌだ。仲間のコリンズは暴漢に襲われたところをストリートドラマーのエンジェルに助けられ、二人は惹かれあう。季節は巡り、彼らの関係もまた少しずつ変わってゆく。出会い、衝突、葛藤、別れ、そして二度目のクリスマスイブ……
(公式HPより引用 https://www.tohostage.com/rent2020/)
…わかります。短いあらすじにしては、登場人物多めですよね…でも観たら絶対誰が誰だか分かるようになるから…観てほしい……
というわけで12月24日から始まるこの演目のオススメポイントをご紹介します。
①熱い熱いロック
RENTの魅力のひとつ目は、熱いロック。激しめなバンドが好きな人たちはきっとハマるんじゃないかな?
ミュージカルって本当に色々な種類があるのだけれど、テレビで扱われるのは東宝or劇団四季の演目がほとんど(たぶんテレビ局との繋がりがかなり深いから)で、東宝系の厳かな作品(レミゼやエリザベートあたり)か四季のディズニー系かキャッツ・オペラ座の怪人くらい。
ミュージカル好きとしては、どちらがテレビに出ていても「好き」という前提があるから見てしまうし楽しめるんだけど、いわゆるバンド好きな人とかポップスが好きな人には響きにくいんじゃないかな…
でもそんな人たちにオススメなのがこのRENT。良い意味でミュージカルっぽい曲が無いので、音楽だけでも是非。せめて以下の2曲だけでも是非。
・RENT
・What You Own
かーーっこいいんだこの2曲。聞いていてウズウズわくわくする。ちなみに舞台上で生バンドが演奏しているのもアツい。ギターの音が特に鼓動を高鳴らせてくれる。
ミュージカル界、どんどんお金が無くなって生オケ・生バンドが出来ずに録音が増えているのだけれど、やっぱり生演奏は違いますよ…音楽詳しくなくてもそう感じるのだから、「生」っていうものの特別な持ち味は絶対にあると思う。
ちなみに本作品は全編歌で構成されている。「全編歌…!?レミゼで結構辛かったんだよなぁ、、」みたいな人もご安心あれ。曲調的にしんどくなることはなく、全編を通して飽きずに観ることが出来る。
②No Day But Today
この演目はニューヨークを舞台にして、若者たちの様々な葛藤を描いている。
あらすじを読んでいただくと分かる様に、登場人物の多くがエイズを患っているし、作中ではエイズ罹患者のコミュニティの様子も描かれている。
また、モーリーンがジョアンヌを愛すように、エンジェルとコリンズが惹かれ合うように、ゲイやバイセクシャルのようなセクシャルマイノリティの人々も登場する。
私がこの作品を初めて知ったのは大学生の頃で、何年か前には来日版の年跨ぎカウントダウン公演に行った。(作中でカウントダウンのシーンがあるのだが、大体そのタイミングでちょうど新年を迎え、まるで作品のなかに自分も参加出来ているかのような感覚になれる演出。何とも粋な演出だった)
初めて知った時、正直言ってセクシャルマイノリティのようなジェンダーのことやエイズについての知識がとても浅かったのだけれど、この作品をきっかけに興味を持ち、少しではあるけれど学ぶに至ることができた。
前にキンキーブーツの紹介あたりでも書いた気がするのだけれど、こういう題材を扱う演目って「自分らしくあるがままに」というメッセージが色濃く描かれていて、そこに本作品はエイズという病についても付加されているため、「生死」の要素も多大に含まれている。
タイトルにした「No Day But Today」は作中で何度も繰り返し発言される言葉。
東宝さんのキャッチコピーにもある「未来も過去もない。今日という日、精一杯愛し、生きるだけ。」っていうのは、この作品を表現するのにまさにピッタリで秀逸。
月並みな表現になるけれど、「今を大切に生きよう」って改めて心に刻ませてくれる作品。
③モーリーンの演説
②の項目で結構深刻めに書いたのに、我ながら最後これ?って感じなんだけど、1幕途中のモーリーンの演説がひとつ見ものとして挙げられる。
前半で何度も何度も「モーリーン」という名前が出てくるのに、当の本人が全然登場しない。1幕の後半のほうに満を辞して登場するシーンは鳥肌もの。
そして演説が始まり、客席にいる私たち観客はその演説が行われている集会に参加しているかのような演出がなされ、最後には「Mooo!」と観客中が叫ぶ。
今年はコロナ禍ということもあり、叫ぶことは残念ながら許されなかったのだけれど、グッズとしてMoo Mooボードが販売され、それを掲げるかたちの演出になったらしい。
手拍子以外で参加できるミュージカルはあまり多くはない、しかも声出しOKなんて本当に数少ないので是非実際に行った時には大きな声で叫んでみてほしい。
…はい!ということで、「December 24th 9pm」という歌詞で始まるこの作品。今日という日だからこそ是非観て、聴いてみてほしいです。映画版もあるから気軽な感じで見てみてくださいませ。
今日か明日ケーキ食べれると良いなぁ、、皆さま良いクリスマスを!
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