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退職代行は使うべき?過去最高の利用数も踏まえて考えてみた

2025年1月6日、退職代行サービスの利用件数が過去最高を記録したというニュースが話題になりまくってますね。
年末からの奇跡ともいわれた9連休明けで職場に向かうハードルも高くなったといわれています。
この記事では退職代行サービスのメリット・デメリットや利用のポイント、退職時に注意すべき点を深掘りし、実際に退職代行を使うべきなのかを検討します。また、退職時だけでなく転職後や、今後の転職市場の動向についても多角的に考えてみました。


そもそも退職代行サービスって?

退職代行サービスは、直接上司や会社に伝えるのが難しい、心理的な負担を感じる方にとって大きな助けになる手段で、依頼を受けた第三者があなたの代わりに会社へ退職の意思を伝え、必要な手続きを進めてくれるサービスです。
手軽にやめることができるため、2010年ごろから人気になっており、100社以上退職代行サービスを提供している会社があるとのことです。気軽に使える(と思える分)人気の退職代行サービスですが、それを取り巻く環境や選び方、そしてそもそも自力で退職する方法を知っておくことも重要です。

3種類の退職代行サービスの種類

民間型の退職代行

民間企業が提供している退職代行サービスです。
LINEや電話で手軽に相談できることが多く、対応の速さと費用の安さが特徴です。


民間型退職代行のメリット

  1. LINEや電話で気軽に相談でき、手続きもシンプルです。初めて退職代行を利用する方でも安心して進められます。

  2. 多くの業者が即日対応を行っており、急いで退職したい場合に便利です。連絡をしたその日に会社へ退職の意思を伝えてもらうことも可能です。
    そのためその日から最短2週間~1か月などのタイミングで退職することになります。

  3. 弁護士型や労働組合型の退職代行と比べて費用が安く、相場は2万~5万円程度です。コストを抑えたい方に向いています。

民間型退職代行のデメリット

  1. 弁護士資格がないため、未払い給与の請求や有給休暇の消化など、交渉を代行することはできません。

  2. 退職代行会社が交渉できないため、退職日や条件の交渉にて会社側が対応を拒否した際に交渉ができない場合があります。

  3. 退職代行会社が弁護士資格がないままに法律業務を行うことがあると、依頼者本人が法的なリスクを負う可能性があります。

民間型退職代行のまとめ

民間型の退職代行をまとめると、自身でもできることを代行してくれます。
即日性が高く、金額自体も手に取りやすい手軽さが一番のメリットです。
ただし、法的効力のある交渉や請求関連の業務を行うことはできないため、あくまでも代行のみで自分自身ができる以上のことはできないことに注意です。
また、簡単に参入できる業態のため、モラルの無い業者による詐欺やトラブルの発生などがたびたび報道されることも留意しながら会社を選ぶのが重要です。

労働組合型の退職代行

労働組合が運営する退職代行サービスです。労働組合は法律に基づき、会社と団体交渉を行う権利を持っています。
そのため、退職の意思を伝えるだけでなく、未払い給与や有給休暇の請求などの交渉をすることができます。


労働組合型の退職代行のメリット

  1. 法律に基づいて団体交渉権を行使可能で、未払い給与の請求、有給休暇の消化、労働条件に関する交渉をすることができます。

  2. 費用が比較的安い場合が多いです。
    同じく法的交渉が可能な弁護士型と比べると安く済み、コストパフォーマンスが高いといえます。

  3. 労働法に基づいた労働者側の立場の団体のため、会社からの圧力に強く、適切な交渉を行えます。

  4. 労働組合が運営しているため、民間型と比べて違法性や詐欺などのリスクが低くくなります。

労働組合型の退職代行のデメリット

  1. 事前に労働組合へ加入をしておく必要があります。
    入会金や月会費がかかる場合があります。

  2. 労働組合内部での手続きやなどがあり、承認などに日数を要する場合があるため、素早い対応には不向きです。

  3. 労働組合ごとの方針により、サービス内容が異なるため対応できるケースや交渉の範囲が異なり、対応されないケースがありえます。

労働組合型の退職代行のまとめ

労働組合型の退職代行サービスは法的交渉が可能でありながら費用が比較的安い、コストパフォーマンスの高い選択肢です。
民間型の退職代行では対応できない交渉事や請求も可能で、会社とのトラブルを避けながら退職を勧めたい方に適しています。
ただし、加入手続きが必要な点や対応スピードの制約を考慮して選ぶ必要があります。

弁護士型の退職代行

弁護士型退職代行サービスは、退職代行を弁護士事務所や弁護士資格を持つ個人が行うサービスです。弁護士が依頼者に代わり、退職の意思を伝えるだけでなく、法的な交渉やトラブル対応まで一貫して行います。


弁護士型の退職代行のメリット

  1. 法的な代理権がある弁護士が対応してくれる

  2. 会社からの抵抗があった場合に、代理で法的手続きを進めるため直接対応の必要がない。

  3. 法的効力のある弁護士からの連絡のため、会社として無視や不誠実な対応は難しくなります。

  4. 弁護士が代理人としてすべて対応することができるため、退職に関するストレスなどが一番少ない

弁護士型の退職代行のデメリット

  1. そのほかの退職代行よりも高額で、相場は5万円以上となります

  2. 内容証明などが必要な場合や、法的手続きが必要な場合は即日の対応などが難しい場合があります。

弁護士型の退職代行のまとめ

弁護士型退職代行サービスは、法的交渉が必要な退職やトラブルが懸念されるケースにおいて、非常に安心して利用できる選択肢です。一方で、費用が高く、軽微な退職にはコストパフォーマンスが悪いこともあります。

手軽にできる退職代行だからこそのデメリット

それぞれの退職代行の特徴を見てきましたが、共通する一番大きなデメリットは手軽に退職できるという点ではないでしょうか。
手軽にできるからこそ、その後に発生するデメリットをあまり考えることなく退職に踏み切れてしまいます。

退職はネガティブなイメージがありますが、視点を変えてみると、退職するからこそ必要なイベントがあり、自分自身が強くなるタイミングでもあります。

なぜ退職代行の依頼件数が大幅に上がったのか

年末年始の9連休で実家に帰った方も多かったのでしょうか。
会社にいかなくても・・・と思いやすい期間でもあります。
世の中的に、転職できるという情報や会社員以外の選択肢の情報が多く回り、会社で働く必要性を感じることが少なくなったのではと思います。
また、会社を辞めたとしても別の選択肢で「何とかなる」と思われている方も多いかと思います。

退職とは切っても切り離せない、転職の実態に着目していきます。

世の中は”一部”売り手市場。「転職できる」と「いい職場」に入るは違う、転職格差の広がり

世の中で退職代行とともに増加しているのが人材会社と転職者です。転職の広告を見ない日はない、と言えるほどたくさんの広告があふれています。
これだけの広告が出ているということは本当に転職できるのでしょうか?
実際に起こっている事象などから見ていきたいと思います。

有効求人倍率から見る本当の転職市場

転職市場は「売り手市場」とよく言われてます。
しかし、本当にそうでしょうか?
厚生労働省の発表している一般職業紹介状況(令和6年11月分)の有効求人倍率は1.25倍。求職者一人につき、1.25件の求人がある計算となります。
ここまで見ると売り手市場に見えますが、細かく見てみると

事務従事者の有効求人倍率0.44倍
一般事務の有効求人倍率0.35倍  など

一般職業紹介状況(令和6年11月分)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47705.html

総合では売り手市場に見えますが、ロースキルでは1倍を割っており、買い手市場となっています。
逆に高スキルが求められる専門職は1倍以上、場合によっては5倍以上の「超売り手市場」となっていおります。
なので優秀な人材は「超売り手市場」の状態となっており、転職格差が広がるような状態になっています。
このように、優秀な人材には多くの求人が集まる一方で、スキルが十分でない求職者には厳しい転職環境が待ち受けているのが現実です。さらに、買い手市場の業界では、優秀な人材が優先的に採用されるため、転職できても良い待遇を得るのは難しい状況が続いています。

リファレンスチェックとは!?退職代行の利用で転職で不利になる?

リファレンスチェックという言葉を知っていますか?
近年転職者が増え、面接や履歴書、職務経歴書にて嘘をついている方も一定数存在しています。
これを防ぐため、採用候補者の過去の上司や同僚にヒアリングを行うリファレンスチェックを導入する企業が増えています。

リファレンスチェックの存在を知っているだろうか。リファレンスチェックは前職の上司や同僚など、採用候補者と近しい者から話を聞くものだ。そこでその人本来の人物像や勤務態度など、履歴書や面接からは分からない情報をヒアリングしていく。いわば調査活動だ。

以前から外資系企業では多く行われていたが、近年は日系企業でも行われることが珍しくなくなった。エンワールド・ジャパン株式会社の調査によれば、リファレンスチェックの実施率は外資系企業で58%、日系企業では23%の割合で実施されている。

現代ビジネスオンライン「次の就職先が決まりました!」と喜んだのも束の間…25 歳・男性を襲ったまさかの「内定取り消しの悲劇」  https://gendai.media/articles/-/116299?page=2

日系企業でも4社に1社、外資系企業でも半分以上の会社がリファレンスチェックをしている現状があります。
リファレンスチェックが行われる際に、退職代行を利用して引継ぎが不十分だった場合や、心象が悪い場合、転職先に悪影響を及ぼす可能性があります。
場合によっては、複数の前職にわたってリファレンスチェックが行われるケースもあり、退職代行の「手軽さ」が後に不利に働く場合もあるのです。

狭い業界だと噂に、別業界では単価を中心に待遇が悪くなりがち

狭い業界だと、退職代行などを利用することで業界内で噂になってしまうこともよくあります。
業界が狭く、それぞれの会社にいる人が把握できてしまうような狭い業界の場合、人事が薄くつながり噂が回り、同業種内での転職が難しくなることも。
別業界や別職種となると単価が下がる可能性が高く、結果的に単価の低下や待遇の悪化が発生することは想像に難くありません。

考え方を切り替え、退職代行を「使わない」メリットに目を向ける

退職代行は確かに便利ですが、自力で退職を進めることによって得られるものも少なくありません。
特に、退職時の引継ぎや直接の意思表示は、社会人としての成長や自分の評価を確認する機会にもなります。

特殊な状況だからこそもらえる、フィードバックを生かす

退職時に発生するのは自分の業務の引継ぎや転職のための自分のスキルの棚卸など通常やらないことが多くあります。
退職代行は確かに便利ですが、自力で退職を進めることによって得られるものも少なくありません。
特に、退職時の引継ぎや直接の意思表示は、社会人としての成長や自分の評価を確認する機会にもなります。

退職は自分の想いを相手に伝える機会である

相手に自分の思いや、気まずいことを伝える機会はなかなかないかと思います。
下世話な話ですが、社会に出てから告白と退職ぐらいではないでしょうか。
退職時は、自分の考えや感謝の気持ちを相手に伝える貴重な機会です。直接対話することは辛い場合もありますが、その経験は後に大きな成長として返ってきます。

必要な場合に使う退職代行、手軽さのデメリットを理解する

退職代行は、自力で対応が難しい場合に利用する強力な手段ですが、「楽をするためだけ」に使うことはお勧めできません。
労働基準監督署や他の相談窓口も活用しながら、自分にとって最善の方法を慎重に検討してみてはいかがでしょうか?


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