2022年5月のTOP5
東京品川区にある銭湯、東京浴場内にある一棚本屋「フロナカ書店街」に店を構えますTOP5BOOKSと申します。毎月適当に決めたテーマに沿った本5冊を選んでおすすめしています。
5月のテーマは新緑の本。薔薇あり、ツチノコあり、震災記録ありの一見取り止めのなさそうなラインナップですが、ちゃんとテーマに沿っています。
2022年5月のTOP5
|幻の怪蛇 バチヘビ/矢口高雄
バチヘビ、別名ツチノコ。70年代のツチノコブームの火付役となった作品です。「釣りキチ三平」の作者が故郷秋田を舞台に描くだけあって、ツチノコの存在が臨場感を持って迫ってきます。「ちびまる子ちゃん」でツチノコを探す話があったことからも当時の盛り上がりがうかがえます。
|ぬけまいる/朝井まかて
かつては猪鹿蝶と呼ばれて肩で風を切っていたお以乃、お志花、お蝶のお三人娘。30歳を手前にそれぞれ現実の壁に突き当たるのは昔も今も同じこと。そんな三人がお伊勢参りにいくことに。三者三様のキャラクターが織りなす物語に胸のすく思いがします。
|自虐の詩 上巻/業田良家
気に食わないとすぐにテーブルをひっくり返すイサオ。そんなイサオのために働きに出て食事を作り続ける幸江。数ページだけ読むと、同じようなコマ割りでひたすらテーブルをひっくり返すだけの漫画のように見えますが、もちろんそんな訳はありません。
|自虐の詩 下巻/業田良家
幸江の過去と現在が交錯する下巻。辛い話を優しい笑いで包み込んでいき、視界がぱっと開けるようなラストシーンにつながります。読み始めた時と読み終わった後の印象がここまで大きく変わる漫画はなかなかありません。
|さんてつ 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道大震災の記録/吉本浩二
東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道の記録。震災発生5日後の3/16には陸中野田~久慈間を、3/20には宮古-田老間の運転を再開。再び走りはじめる「さんてつ」に大きく手を振る人たちの姿がとても印象的です。
|薔薇とチューリップ/東村アキコ
今をときめく現代芸術家のネロと温泉好きの学生デヴォン。瓜二つの二人が偶然に出会い3日間だけ入れ替わることに。二人の人生が交錯することで、運命に対して諦めの気持ちを抱いたネロが、真っ白なキャンパスに新たな絵を描きます。
新緑は本の背表紙にかかっていたのでした。ぜひ店頭で背表紙の色をご確認ください。
※売り切れ、入れ替えなどで本が店頭に無い場合はご容赦ください。