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処方箋という意味での「野球スクール」

野球スクール[体修塾BCA]を始めて一年が経とうとしています。

コロナに振り回された2020年も終わり迎える12月になりました。私がこの一年間弱、「野球スクール」を通じて感じた、「野球スクールの必要性」について解説していこうと思います。

1.野球スクールの必要性「野球は個別指導でしか細かいスキル指導ができない」

一番に感じる野球スクールが必要な理由です。

これは、断言できます。野球のスキル指導は、個人指導でしか指導できないです。

私が、体修塾で指導させていただいている選手が口を揃えて言う言葉が

「チームでは何も教えてくれない。」

という言葉です。

これは、新潟県内で有名私立高校(甲子園にも多数出場)に所属し、4番を打っていた選手も同じことを言っていました(結構、しっかりした指導をされていそうな高校に外部からは見える高校です。)。

「これは、チーム指導者の怠慢だ!」と言いたい皆さんの気持ちもわかりますが、私はそうではないと考えています。

これはつまり…

チーム指導で細かい野球スキルを個人に教え切ることは難しいということになることを証明しているのだと考えます。

特に、反復練習がチーム単位ではしにくい「打撃」に関しては難しいと考えます。

これは、私自身もクラブチームを指導しているのでとても良くわかるのですが、チーム指導で打撃の個別指導は難しいです。というより、効率がかなり悪いです。

つまり、野球スクールが必要で、本気で上手くなりたければ野球スクールに通うしかないということになります。

もっと、具体的な例をあげれば、体修塾に通う選手からの質問で多いのは「(自チームの)コーチに、”これこれ”と言われたのですが、どういうことですか?」という質問です。

この例の場合、考えなければいけないことが3つあると思います。

①選手自身の理解力

これであれば、チーム指導で忙しいコーチに聞き返すことができない。もしくは、その場では答えが出せず塾で解決しようと思った、などであれば、塾で解決しようとしていますので「素晴らしい」ということになります。

また、私は「”この”ことだと思うよ!」と断言はせず、「”こういう”ことだと思うけどそのコーチに質問してみて!」と言います。これで、選手とコーチの関係性も良くなりますし、いい事だらけです。

ですが、そうならないこともあります。それが、次のケースです。

②自チームのコーチの説明能力不足もしくは指導力不足

①で「コーチに質問してみて!」、伝えて質問した場合で、そのコーチが適当もしくはスキル理解や指導能力がない場合、コーチが答えられず選手からの信頼を失う場合があります。この場合、本来であればコーチは選手からの質問に答えられないので、勉強してきて欲しいのですが、日本の場合はそうはなりません。どうなるかというと、その選手を「自分色に染めていく」ということを始めます。つまり、自分が知る世界内に選手をとどめておこうとするのです。これが、悪しき「出る杭は打たれる日本」文化です。私個人は、この文化が野球界にはへばりついていると思います。こういったことが起きて、公式戦でもフェンスオーバーのホームランを打ったにもかかわらず、次の週に指導を始めたら、全く違うスイングになって現れた選手もいました。「何があった?」と聞くと「コーチに直されました。」と…悲しくなりました。

日本野球界の問題点『コーチ・指導者が選手(子ども)より子ども』問題

いい加減に気づく必要があると思います。

チーム指導では、選手個人に細かく説明する時間がない

例えば、選手20名に対して、コーチが1名しかいないチームがあったとします。これは、ほんとんど個別指導は不可能なので野球スクールがそれを補完する必要があります。できれば、スクールとチームが連携できれば最高ですが、日本野球界ではこれがタブーになっていることが多いと思います。

以上、チーム指導では個人指導が難しいということについてまとめてみました。

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2.野球スクールの必要性「単純にチーム練習でのスキル練習は効率が悪い」

野球スクールして感じることは、選手が本当に毎週、「成長」することです。これは、上記でもあげた細かいスキル指導ができるという利点の他に、単純に「反復数が多くなる」というメリットがあると思います。

私の「体修塾BCA」では、1時間以上打撃を行うことが多いのですが、ティー打撃は、頑張り次第では100球ぐらい打てます。そして、フロントトス(正面4mぐらいからトスを上げて打つ)というメニューは100球ぐらい打てますし、手投げは50球ぐらい打てます。つまり、250球ぐらい打つことができます。特に、前からくるボールを打つ経験をたくさんできるのはかなりのメリットだと考えます。

これは、もしかすると、チーム練習での1週間の打撃数より多い可能性すらあります(例:1打席5球で10打席回ってきても50球です。実際は1日練習でも人数の多いチームは10打席打てないと思います。)。こうなると、チーム練習の打撃練習って意味があるのか?と思うほど無駄が多いように感じます。

ですが、全国の多くのチームでは、選手は腰がぶっ壊れるほどチームでスイングをしています。これは、スイング数や打撃練習の時間を稼ぐために、斜め45度トスバッティングなどを何百球もさせているという現状があるからだと思います。そんな光景をSNSの投稿をなどでよく見かけます(ちなみに、斜め45度からのトスは、股関節の移動角度を大きくすると打球がトサー側にいく可能性があるので無意識に回旋を止める可能性が高く、股関節を止めて打つことで腰椎の回旋運動が起こり腰痛まっしぐらのメニューだと考えています。基本的には禁止にしたいメニューです。)。私は、この一般的な「連続ティー」をしているチームを塾生にお勧めすることはできません(そうなると、お勧めできるチームはほとんどないので自分で関わっているチームでは絶対にさせませんし、お勧めできるのは、新潟県内では新潟クラウンだけではないでしょうか?)。

それか、前から来るボールを打つ場所がないため、みんなで並んで素振りなどの練習メニューをしている光景もよくみます(1、2、3といった号令と共にみんなで息揃えて素振りをし「団結力を上げるんだ〜!」などと言っている動画などもみるが、まずこんなことで「団結力」が上がるとは思えませんし、”回数を稼ぐ”以外には何の意味もないメニューだと考えています。)。そもそも、家で素振りを1000回しています。という選手が整形外科や接骨院に通っているのも見かけます。どの程度の負荷設定で素振りをしているかわかりませんが、その素振り意味ありますか?単純に、スイングスピードを上げたければ、ファンクショナルトレーニングや自重でもいいので、ストレングスを入れた方が効率的だと考えています。

素振りやトスバッティングが意味がないとは言いませんが、これだけは言えることは思考を殺した連続素振りや連続ティーにはなんの意味もないです。

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3.野球スクールの必要性「チーム練習の質を上げるための思考力」

ここまで、「野球スキルはチーム練習で教えるよりスクールで個別指導をするべき→チーム練習では効率が悪い」ということ「野球スクールは効率が良い→たくさん練習できる」ということは納得していただけたと思います。

ですが、チーム練習が野球界からなくなることはないです。チームに”所属”している限り、効率も悪いし、指導もされないけれどチーム指導に参加しなければいけないのが日本の野球チームです。所属を重視する日本野球は練習への参加率が悪いとOP戦などに出してもらえない可能性が高い(こんな話は塾生からよく聞きます。)からです。

そこで、野球スクールとチーム指導者が連携できれば一番良いのですが、それができないのが日本野球界なので、野球スクール側ができることは「選手の思考力を高め、チーム練習の価値を高められる選手個人を育てる」ということです。

これができれば、野球スクールの8割の役割を果たしていると思います。これは、野球スキル指導力よりも教育学を学んでいる必要があると思います。ここで、元教員(専修教員免許状所持)である私が指導している「体修塾BCA」が差別化できる最大の要因になると思います。

また、「思考力を教える」ためには、指導者自身が、「これでもか!」というぐらい思考をしている必要があります。一流プロ野球選手が必ずしも一流の指導者になれないのもこれが理由です。

私は、質は一流には及びませが大学院時代にこれでもかというぐらい”思考”を続けた自信もありますし、議論の基礎や論文(まとめて伝える)という経験を一通り体験させていただいたことが指導に生きていると感じています。

つまり、”根性”や”礼儀”みたいなものだけを教えている野球スクールは、やっていることが古きチーム指導とたいして変わらないということになります。

野球スクール選びは気をつけましょう。

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4.野球スクールの必要性「共に決める」

何を”決める”のかというと

①目標(数値含む)

②目標達成のための課題

③課題解決のための練習(ステップ)

このサイクルをくりかえす。繰り返す中で、全て指導者が教えるわけではなく選手自身が思考して導き出している経験をさせてあげることが野球スクールの必要性だと考えています。

こちら側が、全て提示すれば楽ですし、簡単にうまくなります。ですが、それでは再現性が低いこともこの一年で感じたことでした。

では、順番に解説していきます。

①目標(数値含む)

まず、「どんな選手になりたいのか」「どんな打球を打ちたいのか」「どんな課題を克服したいのか」ということを選手自身が決めることが大切です。体修塾BCAでは、これが決められない選手の指導はできません。

②目標達成のための課題

次に、「目標を達成するための課題」は何なのか「克服したい課題」は何なのかということです。これは、指導者側が色々な提案をする中で、選手が取捨選択して決めていくところになります。

③課題解決のための練習(ステップ)

最後に、課題が決まればあとは努力の方向性をつけて上げて、その練習のお手伝いをしてあげるだけになります。この時に、大切になるのが「コーチング」スキルもそうですが、単純にトスを上げる精度や打撃投手としての質の高さが大切になります。

プロ野球は打撃投手という職業があるほど、その重要性がわかっているわけです。野球では打撃指導においてトサーや打撃投手の質がそのまま打撃練習の質になると考えています。これが、チーム指導で打撃が向上しにくい大きな1つの理由でもありますね。要は、選手同士でトスや打撃投手をやると効率も悪いし、あまり上手くないと打撃を崩すことにもあります。

5.最後に

以上、1年間野球スクールをして感じたことをまとめてみました。これは、チーム指導者の方々も納得して頂けてる内容になっているのではないでしょうか?

ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。

2021年も「体修塾BCA」をよろしくお願いします。



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体修塾BCA:Body Cultivate Academy@note
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