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エンジニア適性なし? それでも10年以上継続できている理由
こんにちは。
フリーランスでweb系エンジニアとして活動しているとーきと申します。
自分は情報学科出身ではないですが、IT分野に転職して今はWebのサーバーサイドエンジニアとしてプログラムを書くお仕事をさせて頂いています。
現場監督からITエンジニアへ
大学を1年留年して卒業した後、内定を頂いた建設会社に就職し施工管理のお仕事をしていました。いわゆる「現場監督」というやつです。
就職に対する意欲も薄く、ただ何となく就活をしてまあまあ規模の大きなゼネコンに内定を頂いたので、ここに入れば安泰なんじゃないかという安易な考えで現場監督になることを選択しました。
生まれも育ちも関西だったのですが、東京配属だったので胸躍る思いで上京したのを今でも覚えています。
それなりに大きな規模の建設現場に配属されて僕は社会人生活をスタートさせました。
就職する前からなんとなく耳にしていたのですが、施工管理の仕事は中々の激務でした。
朝は5時起き、夜は23時帰宅の週6勤務は当たり前、納期終盤になってくると週7勤務という謎の勤務形態が発動し現場で寝泊まりする日々が続きました。
携わっていたのは公共建築で規模もまあまあ大きかったので意義のある仕事をしているんだろうなという実感は多少ありました。
ただ、それを差し置いても時間的、精神的に拘束されるストレスは後にも先にもあの時がMAXでした。
現場には自分達以外にほぼ毎日入れ替わりで100人程の職人たちがいました。建物の工程に合わせて担当する専門職が変わるため、一定のスパンで人が入れ替わります。
職人は朝8時の朝礼に間に合うように仕事に来て、夕方17時には帰って行きます。
素直に羨ましかったです。
また仕事面においても、僕は明らかに現場監督より職人の方が「モノづくり」が目に見える形で、やり甲斐もあって楽しそうだなと思って見ていました。
ある日、とある一人親方(フリーランス)の型枠大工の仕事を見ていました。
僕たちが用意した施工図を元にCADを使って作業用の具体的な図面に置き換えて、それを実際の空間に組み上げていました。
そこで僕は「具体的に形に起こせること」にすごく価値を感じました。
さらに年間売り上げが毎年1000万円以上はあると聞いて、自分と年もあまり変わらないのに率直に凄いなと思いました。
現場監督と違って、職人達の仕事は成果物が分かりやすく、「この人の専門性がないと成り立たない」という場面を数多くみてきた経験から、「手に職をつけること」の優位性を感じました。
経験も浅くマネジメントという仕事の存在意義に曖昧さを感じていたこともありますが、直接的に成果物を実感したかった気持ちが強く、自分はどちらかと言うと考え方が職人気質なのかなと思いました。
現場には2年近く在籍し、竣工まで携わりましたが、結局建物が出来上がってもあまり達成感を感じることができませんでした。
そもそも大前提、過酷な労働環境だったので、この職業を定年までやり遂げるイメージが持てず転職することにしました。
では、そこからどのような経緯でエンジニアになったかというと、
まずは3つの動機からWeb業界で働きたいと思っていました。
1. 夏は死ぬほど暑く、冬は死ぬほど寒い現場仕事を経験してからホワイトワーカーへの憧れが強かった
2. 当時IOSアプリの個人開発の全盛期という時代背景もあり、アプリやwebの画面上で動くモノを作ってみたいという気持ちがあった
3. 建設現場で出会った職人のように専門的なスキルを保持して食いっぱぐれないようにしたかった
その中で自分が一番気になっていたのはWebデザイナーでした。
企業や店舗のホームページのデザインを考えたりコードを組んでレイアウトを実装する仕事がすごく華やかに見えて憧れました。
退職してニートになった僕は書店でHTML、CSS、JavaScript、PHPの本を買い漁って独学で勉強に明け暮れました。
しかし、独学だといまいち実感が伴わなかったので、広告関連の会社にアルバイトとして入り、実際のコーディング業務を経験しました。
ここで僕はプログラミングの面白さに触れエンジニアに転職することを決意しました。
独学とアルバイトで得た経験を元にポートフォリオを作成し、面接を受けたSES企業から晴れて内定を頂きました!
※細かい勉強の過程や、なぜSES企業に入ってプログラマーになったのかはまた別の記事で書きます。
エンジニアに転職してみて実際どうだったか
率直に入社当初は死んだと思いました。笑
所属会社で自社販売しているパッケージ商品の保守業務を任されたのですが、アルバイトの時とはレベルが違い、「まるでコードが読めない」「求められているコードの修正内容が理解できない」の連続で、そのうち戦力外通告を受けてしまうのではないかと結構絶望していました。
人を動かす仕事からモノを動かす仕事に転職したわけですが、今自分の目の前にある問題を自分が解決できなければ何の成果にも繋がらないというプレッシャーは正直かなりキツかったです。。
それでも目の前の問題を一つ一つ分解し、ベテラン社員に教えを請いながら何とかやり遂げたことで大きな達成感がありました。
あの時の達成感から「この仕事面白いかも」のスイッチが入ったのを覚えています。
そこから徐々にプログラミングの仕事が好きになっていきました。
不具合修正はクイズを解いている感覚で、新機能実装はモノづくりをしていると言う感覚で、薄給でしたが地道に作り上げていくのがゲーム感覚で楽しかったです。
作業に没頭して自分の意思でたまに残業することもありましたが、それでも20時までにはオフィスを出ていました。ゼネコン時代とは大違いです。
所属していた企業はSESという派遣型なので、ある程度1人でコードが組めるようになったタイミングで現場に駆り出されました。
あまり要領の良い方ではない自分は1ヶ月ほど社内業務をしながら合間で面談を続けてようやく受け入れ先が見つかりました。
営業を頑張ってくださった社員の方々本当にありがとうございます。
初めての現場で2年ほど経験を積めたことでwebエンジニアの仕事の大枠を掴むことができたので、それ以降の現場決めの面談では対策もできて、あまり困ることもなく今日までやってこれました。
10年以上続けて感じる転職当初との心境の変化
改めて振り返ってもエンジニアに転職できて良かったなと感じています。
当時、IT企業に転職してまもなくの、うまく仕事がこなせずに苦労していた時期は「人生のレールを踏み外してしまった」と後悔する日々がしばらく続いていました。
しかし数をこなすことで問題解決能力が徐々に身につき、自信に変わってきたことで、後悔の気持ちも薄れていきました。
1人称で開発できるようになってくると、新しい機能開発を任されたり、企画、運用、デザイナー、テスターなどエンジニア以外の別のポジションの人たちとのコミュニケーションも図れるようになり、やり甲斐も出てきます。
ただ10年業界にいて明らかに自覚していることは自分はエンジニアとしての能力はそこまで高くないです。
どこの現場に入っても大抵、化け物クラスの能力を持った人が1、2人はいて、そういう人たちを横目にみながら仕事をしているので自己肯定感のコントロールが難しく感じる時はあります。
そんな劣等感を感じながらも自分でもこの10年で仕事に困ったことはありません。
なぜならこの業界は需要過多だからです。日常的にITを必要としない場面を探すほうが難しくなってきたかと思います。
あと、昔より必要なスキルの細分化が進んでいて単にプログラミングと言っても突き詰められる専門性が多岐にわたります。
「モノづくり」に興味があって転職を考えられてる方には是非今からでもIT業界をお薦めします。
もしITに転職を考えている10年前の自分にアドバイスできるなら
退職直後の僕は書店の本を買い漁って勉強をしていました。
ただ、今考えてみるとそこに費やした時間が少し長かったと思っています。
高額なお金を払って短期集中型のプログラミングスクールでスキルを習得するという手段もあったかもしれません。
大前提としてどんな言語を使って、どんなツールを使って、どんな実行環境でプログラムがどう動くのか、といった知識は持っておいたほうがいいです。
ですが、座学は突き詰めていくと終わりはなく、勉強したことが実際の現場でどこまで生きたのかは正直現場に入ってみないと分からないです。
「じゃあ勉強しても意味ないじゃん」というわけではなく、「開発現場に入る前に押さえておきたい知識や考え方」と「開発現場で経験して強化していくスキル」をもう少し分けて考えられると良かったのかなと思っています。
業界に長く身を置いていて感じている当初の業界イメージとのギャップが色々あるので、いい面も悪い面も含めて現場のリアルをつらつらと書いていきたいと思います。