ISO/IEC 25010 利用時の品質モデル

利用時の品質モデルは、特定の利用者が特定の利用状況において、有効性、効率性、リスク回避性及び満足性に関して特定の目標を達成するためのニーズを満たすために、製品又はシステムを利用できる度合いのことである。

利用時の品質の5つの特性に分類している。
以下に各特性の説明をまとめた。

また、品質特性(副特性)について、自分なりの解釈は引用表示にて記載している。

有効性

明示された目標を利用者が達成する上での正確さ及び完全さの度合い。

利用者が目標をシステムで正確にかつ完全に達成できるか。

効率性

利用者が特定の目標を達成するための正確さ及び完全さに関連して、使用した資源の度合い。

注記)
関連する資源には、作業を完成するための時間(人的資源)、材料又は資金面での使用コストを含む。

利用者が目標を達成する際に使用したシステムの資源(メモリ、作業時間、資金など)は非機能要求を満たしているか。

満足性

製品又はシステムが明示された利用状況において使用されるとき、利用者ニーズが満足される度合い。

注記 1
製品又はシステムと直接的に対話を行わない利用者に対して、目的の達成及び信用性だけが関連している。

注記 2
満足性は、製品又はシステムとの対話についての利用者の反応であり、製品の利用に対する態度を含む。

利用者のニーズをシステムは満たしているか(目的の達成、システムの信用性、利用時の態度など)

実用性
利用の結果及び利用の影響を含め、利用者が把握した目標の達成状況によって得られる利用者の満足の度合い。

システムを利用したことでの目標の達成状況(利用結果など)は利用者を満足させているか(意図通りの結果か)

信用性
利用者又は他の利害関係者がもつ、製品又はシステムが意図したとおりに動作するという確信の度合い。

システムは利用者が意図した通りの動作をしているか。

快感性
個人的なニーズを満たすことから利用者が感じる喜びの度合い。

注記
個人的なニーズには、新しい知識及びスキル(技術)を獲得するというニーズ、個人のアイデンティティを伝えるというニーズ及び心地よい記憶を引き起こすニーズを含むことができる。

利用者がシステム利用にて喜びを感じることができるか。

快適性
利用者が(システム又はソフトウェアを利用する時の)快適さに満足する度合い。

利用者がシステムを快適に利用することができるか。

リスク回避性

製品又はシステムが、経済状況、人間の生活又は環境に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。

注記
リスクは、所与の脅威の発生確率と、その脅威の発生によって起きる悪影響の可能性との関数である。

経済リスク緩和性
意図した利用状況において、財政状況、効率的運用操作、商業資産、評判又は他の資源に対する潜在的なリスクを、製品又はシステムが緩和する度合い。

利用者が経済状況に関するリスクを緩和することができるか。

健康・安全リスク緩和性
意図した利用状況において、製品又はシステムが人々に対する潜在的なリスクを緩和する度合い。

利用者が生活(健康や安全)に関するリスクを緩和することができるか。

環境リスク緩和性
意図した利用状況において、環境に対する潜在的なリスクを製品又はシステムが軽減する度合い。

利用者が環境に関するリスクを緩和することができるか。

利用状況網羅性

明示された利用状況及び当初明確に識別されていた状況を超越した状況の両方の状況において、有効性、効率性、リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。

注記
利用状況は、利用時の品質及び幾つかの製品の品質(副)特性(ここでは,明示された条件下としている。)に関連している。

利用状況完全性
明示された全ての利用状況において、有効性、効率性、リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。

注記
利用状況の完全性は、次のいずれかによって明示されるか、又は測定することができる。
− 意図した全ての利用状況において、有効性、効率性、リスク回避性及び満足性を伴って、明示された目標を達成するために明示された利用者が製品を使用できる度合い
− 意図した全ての利用状況において、使用を支援する製品特徴の存在

例 小さい画面を使用したり、低いネットワーク帯域幅であったり、熟練していない利用者が使ったり、また、障害許容性モード(例えば,ネットワークと接続していないモード)で使ったりした場合、ソフトウェアが使用可能である程度。

想定した全ての利用状況でシステムが問題なく利用できるか。

柔軟性
要求事項の中で初めに明示された状況を逸脱した状況において、有効性、効率性、リスク回避性及び満足性を伴って製品又はシステムが使用できる度合い。

注記 1
柔軟性は、追加の利用者グループ、作業及び文化に対して製品を適応することによって(4.2.8.1 参照)達成することができる。

注記 2
柔軟性は、前もって予測されていない周囲の状況、機会及び個人の好みを製品に考慮することを可能にする。

想定外の利用状況にてシステムが利用できるか。

ここから先は

0字

このマガジンを購読していただくと、ソフトウェア品質倶楽部のコミュニティ(LINEグループ)にも参加していただくことができます。 コミュニティへの参加を希望される方はコメントにてご連絡ください。

ソフトウェア品質倶楽部

¥1,000 / 月 初月無料

ソフトウェアテストに関する情報(資格、技術、技術書)などを定期的に追加します。 個別で販売しているノートは全て入っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?