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ゴミの城

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動画~https://youtu.be/YN4iTq7kIF4  父親が他界、実家に残されたのは子供のように振舞う母親と引きこもりの兄、そして大量に残されたゴミの山だった。 登場…
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#終活

ゴミの城〜010~ゴミ屋敷の成り立ちを考える

これまでのお話  父親が「なぜゴミを集めることになったのか」を考えてみた。なにぶん母親は健在なのだが、少し心が不安定なので母から父親のことを聞くことが出来ず、自分で見たことや兄から聞いたことを元に憶測をしてみた。  ゴミと書いたが、本人からしたらそれはゴミではない。部屋にあるあらゆる物を父に見せ、捨てて良いかと尋ねたが、答えは決まってこうだった。 「それは使うんだよ」  僕から見たらゴミでも父から見たら使う物、使える物なのだ。使う物は捨てない。当たり前のことだ。  元々

ゴミの城〜014~あっという間に過ぎていく時間とゆっくりな時間

これまでのお話 久しぶりに文字を書く。実家のゴミ屋敷の掃除をしながら、その模様をYou Tubeで動画をあげたりもしていたのだが、夏の初めに子供がコロナウイルスに罹り自分も罹患してしまい回復後、待機期間を過ぎて、いざ実家へ行こうかと思った矢先に、また別の子供が今度はインフルエンザに罹り、その待機期間を経る前に僕の友達がコロナウイルスに罹り、またその子供が罹りと……。高齢の母親に感染してはマズイと思い、実家には足を運ばなかったのだ。 そのまま心が折れてしまった……。 その

ゴミの城〜015~モチベーションを上げるには

これまでのお話 心が折れて二ヶ月も放っておいたが再び実家へ顔を出し、今度は少しずつ家を片付けている。 心が折れた要因を前回も書いたがまとめてみる。 作業の停滞~以前は掃除をしてゴミをまとめたときにゴミ袋が何個もできると達成感があった。それが庭の掃除になると鉄などの粗大ゴミやプランターに入っている大量の土、伸び切って二階の屋根をも越える木や大きな水槽だらけで思ったように進まなくなった。 現在の両親~父は去年亡くなり、母は少し言動がおかしい。病院で診察してもらったが認知症

ゴミの城〜016~子供と一緒に実家の掃除

これまでのお話 認知症気味の母親が兄の留守に一人で外に出ていってしまい、転んで硬膜下血腫というものができてしまった。その日のうちに手術、そしてそのまま入院してしまった。 母が退院する前に「母の部屋とベランダを掃除してしまおう!」と思い、実家へ行く準備をしていると、ちょうど部屋に息子が入ってきたので、息子に声をかけてみると「掃除を手伝ってくれる」と言うので、一緒に実家へと向かった。息子が実家へ行くのは久しぶりだ。彼が覚えているのは、まだ元気だった頃の母だ。家の中は入ったこと

ゴミの城〜017~石碑の前の照れた顔~実家の写真の処遇

これまでのお話 物心ついた時には家にカメラがあった。そのカメラは家族で旅行へ行くときや、僕たち兄弟が幼稚園や学校に入学する時などに父親が使っていた。 父は決まって「そこに立て」と、僕らを学校の入口やお寺の石碑の隣などに立たせるのだ。あらためてそんな写真をいま見てみると僕はいつも照れくさそうな顔をしていた。もちろん、ちゃんと理由がある。入り口というものは、たいてい人が入ってくるものだ。知らない人の視線を浴びながら大人のような背広を着させられた僕はいつも恥ずかしくて父が早くシャ

ゴミの城〜018~捨てたがり~物を捨てたくて仕方がない

これまでのお話 父は物を捨てられず実家は「ゴミ屋敷」と化したが、その影響なのか? 自身は不要な物があるのが嫌で嫌でたまらない。 ゴミの日の前日になると捨てられる物を探して極力、ゴミ袋にゴミを入れていく。出かけるときは必ず空のペットボトルや宅配で届いたダンボールなどを持って近所のスーパーにあるリサイクルボックスに立ち寄る。 ここ最近、フリマアプリやリサイクルショップなどで自分の不要な物をかなり売ってしまった。それでも家には他の家族もいるので物は多い。増えていく子供の荷物を