有償GMの話①♪
自分はGMとしてプロ活動をした事がない素人ゲーマーだけども有償GMの存在に対して書いてみた。一応、自分のスタンスとしては有償GMはアリというスタンスでいる為、多少偏ってるかも……。今回の記事は問題点の洗い出し等が中心……。
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■有償GM有無&金額のTwitter投票。
まずは世間の印象から…。
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2022年3月頃のTRPGerの感覚は下記のような形になっている。Twitter投票は【α】【β】の2種類を紹介する。
※注意)自分ではなく他の人の投票ツイートを無断で拝借させていただいている。
また投票はアカウントによって偏りがあるモノなので、目安程度に考えていただいた方が良いと思われる。だったら他のアカウントの投票も考慮すればいいだろう?と思われるかもしれない。残念ながら、有償・有料・プロ等で検索したが投票ツイートで有償GM関連のツイートは下記のみだった。
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【α】有償GMの是非
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「お金を払ってもらってGMをする」という行為はいいと思う?というアンケートを取ってる人がいたので、そのツイートを拝借させていただく。
★「お金を払ってもらってGMをする」という行為はいいと思う?
〔壱〕《76.12%》(204票):思う
〔弐〕《23.88%》(064票):思わない
最終投票数:268票
これを見ると7.5割が「有償GM」を認めている人がいる。認める人が多いのに何が問題なの?と思われると思う。ココの質問には主語が不足している。なので恐らく「自分ならしないが、他人のPL達が有償GMに頼むのを止めたいとは思わない」の「思う」が含まれている事が想像される。
その数値は下記の【β】の投票によって、およそ分かる。具体的な数値は、204票-180票=(024票)《8.96%》となる。それを考慮する場合は下記のような形になる。
〔新零〕《08.96%》(024票):他人が頼むこと前提(実質思わない)
〔新壱〕《67.16%》(180票):自分が頼むこと前提
〔新弐〕《23.88%》(064票):思わない
これで分かる事は『思わない』は《32.84%》(088票)という事になり、6.5割が「いいと思う」で3.5割が「いいと思わない」となる。それでも「いいと思う」が優勢ではあるが、金額面でも喜べる状況と言えるかは怪しい。後述。
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【β】有償GMの金額投票
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有償GMに対していくらまでなら出せる?
★有償GMに対していくらまでなら出せる?
〔い〕《30.00%》(054票):~千円
〔ろ〕《23.89%》(043票):千~二千円
〔は〕《22.22%》(040票):二千~五千円
〔に〕《23.89%》(043票):五千円~
最終投票数:180票
最低額(100円)と最高額(10000円)として計算した場合、票の比率で「支払う金額」を平均すると金額は773円となる。とはいえ、PLが1人750円ずつ支払うなら不満に思わないのかと言われると、そうとは限らない。理由は後述予定。
次に、この数値は1人のPLが支払う金額となっている。なのでPL1~5人の卓によってGMに支払われる金額にはバラつきが生じる。金額は下記になる。
〔い〕__100~_5,000円
〔ろ〕1,001~10,000円
〔は〕2,001~25,000円
〔に〕5,001~50,000円
5人卓の平均金額は3,866円となる。この数値は更にプレイ時間が投票への記載がない為、5~6時間のプレイ時間でこの金額だとすると、時間あたりの金額は更に低いモノになるだろう。
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■「有償GMなんてありえない!!」
有償という存在について……
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今はオンセ関連でTwitter等で「有償GMという存在」は否定的に言われる事がある。それはオフセ界隈も昔からそういう話が上がる事があって、これまた否定的に言われている。とあるセッションで「有償GMなのに卓の内容がヒドい」と言った話もあったり……。
自分は下記(1-a)で支払った事ある。「楽しくはなかった」ケド、支払った事に対するクレームを言いたい気持ちは全くなかった。更に一方で、大小問わずであれば自分もまた有償GMというのを下記(1-h)で経験した事もある。
自分は肯定的な視点で書くとはいいつつ、何故、否定的な観点が生まれるのか、世間的に肯定的に見られる為にはどうするといいのか…を考えてみた。
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●有償GMの存在そのものについて。
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そもそも以前より有償GMは存在しないのか? と言われれば既に「有償GM」は存在している。下記は主にオフセでのパターンになる(iだけがオンセ含む事になる)。
(1-a) TRPGカフェ、ボドゲカフェに常駐する店員によるGM。
(1-b) 出版社主催のTRPG体験会のGM(賃金発生のみ)。
(1-c) ゲームメーカー主催のGM(例GFコンのGM等)
(1-d) 有償で招待されるゲームメーカースタッフのGM。
(1-e) 商用目的でリプレイ本を前提としたGM(賃金発生案件のみ)。
(1-f) 商用目的でテストプレイをしたGM(賃金発生案件のみ)。
(1-g) 大学・ゲームの専門学校、シナリオの専門学校など、授業内でTRPGを教える講師のGM。
(1-h) GMは参加費無料・割引のコンベ(間接的にPLがGMの会場費を肩代わりしている)
(1-i) Youtube等の広告収入を目的としたリプレイ動画アップするGM。
……それなりに有償GMの形に種類がある。とはいっても、金額面も幅があると思う。特に(1-h)はGM自身が有償として金を取ってる自覚は少ないだろうし、コンベンションに参加しているPL自身もまた金を払っている自覚も少ないだろう。金額面で満足出来るのも恐らく(1-g)くらいかもしれないが(1-g)はGMを主目的ではない。あくまでシナリオ授業の中の一部などそれが主目的ではない事もある。
一方でこれらについて「コレジャナイ感」に思う人もいると思う。Twitter等、世間で言われているイメージは「同人活動(副業)的や自営業的な方法で生活費を稼げるGM活動」という感じなのだろうと思う。
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●世間の金額感
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有償GMの金額について高い安い云々を問われる事も多い。そこで、まずGMの話から離れて、世間でグループに対して働きかける接客業(?)の金額を調べてみた。
★接客業(?)への料金
(2-a) 29,700円/h~。グループカウンセリング(1人の価格ではない)。
(2-b) 13,000円/h~。1対1の対面カウンセリング。
(2-c) 3,520円/h~。英会話(中級)。
(2-d) 3,000円/h~。便利屋の費用
(2-e) 2,567円/h~。ダイアログ・イン・ザ・ダーク。
(2-f) 1,875円/h~。デイサービス。
(2-g) 1,500円/h~。スキーのレッスン。
※1時間あたりの金額。
この世間の接客業の相場感(?)からすると、GMのセッション業務も1時間あたり1,500円~3,520円の賃金はそこまで問題ではないという事になる。
これでも安いと思う人もいれば高いという人もいるだろう。それどころか「TRPGは特別!!」「TRPGは例外!!」「文化が違う!!」だからGMは『無償』であるベキという考え方を持つ人もいるとは思う。
上記のグループによる接客業から、大多数を収納するエンタメの相場も調べる事にした。その内容が下記。結論としては、大多数が入るモノであってもそこまで安くはなっていない。それどころか席によってはかなり高い。
★エンタメの料金
(2-h) 3,000円/h~。演劇
(2-i) 3,000円/h~。ライブ
(2-j) 3,000円/h~。D1(全日本プロドリフト選手権)
(2-k) 950円/h~。映画(120分映画を前提)
(2-l) 625円/h~。N響(NHK交響楽団コンサート。S席だと4400円)
2022年の日本の最低賃金は都道府県によって様々だけども…820~1041円/hとなっていて、上記に挙げた接客業はそれより高めの設定になっている。下記は一応、厚生労働省のページ。もちろん接客業だから最低賃金より高いのが当たり前という話ではなく、事前準備や技能というモノに付加価値が加わっていると考えられる。
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●GMは卓より準備が大変じゃん!!
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「GMは卓より準備が大変だ!」という意見もある。だから有償GMなんか無理だ。もしくは「接客業の相場より遙かに高い金を貰わないと割に合わない!」という人もいる。
準備が必要なのは当然だと思う。だけども、ラーメン屋含めて飲食店にも仕込みがあり閉店中に時間をかけて準備をしている。しかしその時間帯は直接、客からお金を貰っていない。その金額は食事代に含まれている。
同様に、楽曲や絵画の作成にも事前に時間が掛る部分についてお客からお金は支払われない。演劇もお客に見せる為に事前に入念に練習を行うがこの時間帯についてお客からお金は支払われない。映画も制作中についてお客からお金は支払われない。ゲーム開発も制作中にはお客からお金は支払われない(ここでいう“お客”は観客を指し、スポンサー等投資するクライアントの事は指していない)。事前準備がない商売もあるとは思うけど、十分に事前準備をしてから行う商売も多いと思う。
GMの事前準備に苦労がないとは思わないが。上記のそれらよりも遙かにGMの方が大変なのか?と言われると……。そうとは言い切れないようにも思う。
仕込みや制作中のタイミングは作り手側が赤字が発生しつつも、物販やサービス提供で赤字分を回収し黒字に転換する。だからその投資している赤字分も含めた金額が料金に上乗せして料金設定する事になる。それは特別な事ではない。
オンセにしてもオフセにしても一度作ったシナリオや部屋等の準備したモノについては何回したら元が取れるのか考える必要があるのだろうと思う。ワンオフしか考えていない場合。準備時間に時間をかけ過ぎた金額をPLに要求する場合も高額になってしまうのは仕方がないとは思う。それを「当たり前」と考えるのか「未熟だから長く掛った」と捉えるのかは、そのGMそれぞれの考え次第となると思う。
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■有償のクセに!!プロのクセに!!
PLの感想などについて……
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「プロGM」「有償GM」って言うクセに「つまらない!!」「無償と大差ない!!」という意見も見る。
「自分自身で料理作った方が旨い料理」を含め、飲食店にお金を払うケド「うまい」「まずい」があるだろう。料理だけでなく、お笑い、寄席、演劇、映画、ライブでも同様に「面白かった」「つまらなかった」という評価になるダケで、有償か無償かの話ではないだろう。
特に映画館で考えると「月の1日」「年齢」「性別」で割引される映画に例えると「高い金額の時に見に行ったのに酷い目にあったのは許せない!!」という意見を述べないだろう。少なくとも自分は見た事がないし、仮に見たとしてもその考えには違和感もある。
その感覚だった為か、自分は、とあるTRPGカフェに友達と行って、店員にGMして貰って、予定時間を超過して余分にお金払って1人5000円より高い額を払って且つ「とてもつまらなかった」けど、「ハズレ引いたな」って程度の感覚だった。コンベも金払ってハズレGMを引く事も多いし……。でもそれで有償・無償についての評価に関わる事は、自分にはなかった。
それはそれとして、一方で2022年現在「オンセの同人シナリオ」は玉石混交で有償・無償も入り混じっているが、有償GMの話と比べれば落ち着いてる。そう思うと、自分としては文化が進めば有償ゲーマーは存在出来るし、今はまだ有償GM/PLは過渡期と言えるのかもしれない。
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●なぜ「有償・プロのクセに!!」と思うの?
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★プロは上手い筈!!
恐らく「プロとはそれを職業にしている人」ってダケで「上手い」「下手」は実は関係ない。しかし「有償GMする人=プロフェッショナル」→「プロフェッショナル=凄い人」だから「有償GMする人=凄い人」という図式で考える傾向もある。そういう感覚で見てしまう人(お金を支払う事を検討している人)は、期待が膨らみ過ぎてしまう傾向があるのではないかと思う。
その観点の詳細は下記にも記載している。
「上手いGM」という言葉自身の話だが類似性がある。
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★強い客意識(?)
一部、お金を払ってるんだから客だ! 客は神様。とか、金を払ってると途端に横柄・尊大な態度を取る人もいる。金を取る程の腕がどんなモノか試してやろうとか。プロなら嫌がらせしても楽しませられる筈。楽しませてくれる筈だから地蔵でいい。好き勝手していいという人たちも、中にはいる。そういう人が卓に一人でもいれば事故の元にもなる。そしてそれを上手く取りまとめる役目がGMだと思われる傾向もある。
更に更に、TRPGに対してのこだわりの強すぎる人の中には「コンベは赤字で運営しろ!○×は10万円以上赤字で運営してんだよ。赤字運営するべきで、それぐらいの覚悟じゃないならコンベなんかするな!」とマジで言う人もいた。「会場費割り勘」相当でやってても安くしろという人もいた。TRPGで1円でも金を得るという発想を持つ人に対してひどく厳しい目で見る人もいる。
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★お金の価値観
あと「お金を支払う側の年齢」と「お金を貰う側の年齢」の差も関わってくる。小学生の1,000円と、高校生の1,000円と、既婚者の社会人の1,000円、独身の社会人の1,000円の価値はそれぞれ違う。だから支払う金額に対する価値感(期待度)も大きく変わる。
「創作物・サービス(特にコト消費)」に対する価格の価値観についても「お金を支払う側」「お金を貰う側」で大きく変わる傾向もある(コト消費は体験にお金を消費するサービス。対義語はモノ消費)。
GMをしていない・PLしかする気がなくて、一部有料の無料スマホアプリに慣れ過ぎてて且つ無課金ではあるが、その無料に対してお客さま意識が強い。
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★小銭稼ぎ
そんな中で、更に、やっかいな齟齬がある(憶測だよ)。
有償GM側(お金を貰う側)は「小銭稼ぎ」程度にしか考えていない傾向もある(何せ、それだけでは生活出来る程の金額ではない為)。GMは卓の参加者に楽しんで貰いたい・そういう卓にしてあげたいとは思っているだろうが、その程度の大小や主観で噛みあわない事もある上に、労働する側は必ずしも面白さや上手さで賃金が発生していると考えてはおらず、労働で賃金が発生させている。
だから有償GM側にとっては「その程度の金額で文句言うなよ」「小銭でガタガタ言ってるヤツはクレーマー」と思いブロックし出す事にもなってしまうだろう。
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★理屈としての矛盾。
「無償でも面白いGMがいる!」的な話によって「有償GM」をネガティブに評価する発言も散見される事がある。これについて理屈としての矛盾もある。
これは「有償なら面白くなきゃいけない」事になる。でもその論点で言うと、「無償ならどんなにつまらなくていい。なぜなら有償ではないから」という事になり「無償はつまらない事こそが当たり前」という事になる。「無償でも面白いGM」は例外的で希少な特殊な存在をわざわざ例に挙げた事になってしまう。
また更に「無償『であったとしても』面白い」の表現が成り立つなら「有償『であったとしても』つまらない」も成り立つとも思う。
その観点で話すと面白さに対して「有償」「無償」は関係ない事になる。
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この上記の「膨らんだ期待」「強い客意識(?)」に対して「軽い小銭稼ぎ」との両者の差異に、大きな不幸を生んでしまうように感じる。
更には「お金の価値観」「コト消費に対する価値観」との感覚の違いが不幸を生みやすいのではないかと思う。
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■まとめ・所感
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問題点の洗い出しのみで、まとまっていないケドも……
他にもプロの立場で居た人にも直接懇願してご意見・ご感想をいただいた。リプが的確過ぎて…俺の上記の長文はなんだったのかと思ってしまった(泣)
類似の観点だと「嗜好品としてこだわりたいから手造り」「便利にお金払って楽しみたい」という2つの観点・手段があってもいい筈だが、今の「TRPG界隈は、有償GMにお金を支払う文化が乏しい」という事なのかぁ~と(いや、もう、まとめ部分はパクりですけど)。
続編も書く予定。今度は、有償GMを行う為に、どんな方法があるのか、問題についてどのような解決方法があるのか、成り立つ可能性などの検討した記事を書く予定。
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つづく。