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『がんばれ!ベアーズ』 ~クッソ誇らしい

※ネタバレあり

映画『がんばれ!ベアーズ』(1976)ではさいご、強豪ヤンキースが、
ベアーズをたたえ、謝ります。

やるじゃん。おれたちはフェアじゃなかった。ごめんな
お前らを「いい野球チーム」とは思わない。でも、ガッツがある(※1)

負けたチームに送るエール、
「おれたちの認める(appreciate)のは・・・ベアーズ!」が、ついに本当になりました。
この尊厳こそ、はみだしものたちのベアーズがいちばんほしかったものでしょう。ベアーズが、互いにもつようになったものでもあります。

けれども、悪ガキのタナーは、こう返します。

ごめんとかトロフィーなんか、お前らにくれてやる!
それをケツに突っ立ててろ!

シャイなルーパスが、準優勝トロフィーを投げつけ追撃。

あと、来年待ってろ!

クソガキ(笑)
でも、実は、ベアーズなりに、敬意にこたえたのかもしれません。
超訳したら、きっと、

(おまえたちは強かった。けど、おれたちも強い。おれたちは、おれたちを誇りにおもう。おれたちは続ける。だから、)来年待ってろ!

主成分は「クソくらえ!」でしょうけど(笑)

この超訳は、以下の2つをもとにしています。

「オレたちは強い」!!          ~『スラムダンク』
私は 負けたのか?
‥‥‥そうか 負けたのだな。
見事であったぞ! 私の完敗だ!
おまえと 戦えたこと
私は 誇りに思うぞ!       ~『ドラクエモンスターズ』


キューブラー=ロス『死ぬ瞬間』によると、死にゆく患者は、否認、怒り、取引、抑うつ、受容というプロセスを踏むそうです。

これは、私たちが、つらい経験を認め、負けたこと、弱いこと、まちがえたことを胸をはって受け入れるかたちなのでしょう(※2)
『ダイの大冒険』のポップ、『めだかボックス』の球磨川、『キン肉マン』のレオパルドンは、だからこそかっこいい。
『君に届け』のくるみちゃんも

わたしはちゃんと伝えたもの
ふられたけど!
ちゃんと間違いなく伝えた!!


逆は、勝つキャラじゃなく、「まちがってなかった」と思いこむキャラ。
あのひとこのひとを思い出します。
実社会でも。
だれより、自分じしんのあれこれを思い出し、叫びだしたくなる。

『がんばれ!ベアーズ』は、勝って終わりません。監督は、負けてビールかけをはじめます。

「なにこれ?」
「祝おう」
「なんで祝うの?」
「だって、お前らは、自分らをクッソ誇るべきだから」

私たちは、負けてばっかりです。
クッソ誇らしいですね。


※1 意訳。ほかの引用も意訳や中略しています。
※2 ただし、必ず順々にステップを踏んでくわけでも、受容が幸せというわけでもないみたいです。
 ところで『指輪物語』の瀬田貞二の名訳に「角笛でした。角笛です。角笛なのです」とあります。負けたときのものではありませんが、受け入れるプロセスを鮮やかに示しているように思えます。

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