ネットゲリラは潜水艦戦である 潜水艦戦に前線はない 自分に有利な時と場所で戦闘を開始する
今回はいつも書いてる乃木坂ちゃんに関する話題は一切ありませんよ。
もう十数年くらいずっと読み続けてきた「ネットゲリラ」というサイトが、去年のクリスマス以降更新されないなーって思ってたら、サイト管理者の方が亡くなられたようで大変残念に思ってます。
「ネットゲリラ」というのは基本5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の記事のまとめサイトで、そのなかでサイト管理者の方が自身の観点からスレッドとそこに投稿された内容を拾って転載しているもので、それだけ見ると他の転載サイトと変わらないものが、このサイトはその前後にサイト管理者独自の意見や見識、時々自分が経験したことなどを織り交ぜた批評的な文章が書かれており、ワシ自身はそれが面白くて見続けていたって気がする。
ワシ的に特に盛り上がったのは所謂「モリカケサクラ問題」のときで、当時の安倍首相と関連すると考えられるヒトタチに関する情報を集めては公開していた。誹謗中傷とも取れる書きようも散見されたけれども、どうにもすっきりしない物事の進み方に対してモヤモヤしてたワシとしては、いつも好意的に面白がって読んでたもんです。
そんな戦後レジーム打破を実現するための宿敵としてサイト管理人氏個人が位置づけていたと書いてたたような気がする安倍晋三氏が亡くなられた、その同じ年に亡くなるとはどちらかといえば運命は信じないワシとしてもなんだか力尽きたとかいう運命的なものを感じたりもしますね。
まあそれはそれで、その「ネットゲリラ」のサイト管理者氏とはどういう人かといえば、吾妻ひでお氏や内山亜紀氏を売り出した伝説のエロ本編集者であり(wikiによると怪奇漫画家の日野日出志氏も復活させたみたい)「ロリコン」という概念を広めた人だった。
ご存知コミックマーケット立ち上げに尽力された米沢嘉博氏とは明治大学時代に同じ漫研に所属しておりコミックマーケットの母体となった「迷宮」が発行してた漫画新批評大系の制作にも関わっていたらしく、サイトにもそのような両氏の関係性についての記述があり、退学後にも交流があったという記事を読んだことがある。
同じく漫画家のいしかわじゅん氏も訃報に対してサイト管理者氏とは大学時代に知り合って、その後ほそぼそと関係が続いていたとTwitterに投稿してた。
サイト管理者氏、ネットゲリラこと川本耕次こと山田博良氏は、家業を継ぎながら地元静岡の食材を中心に日本全国、世界中から良い食材を集めて販売する通販サイトも運営されていた。
カメラマン時代の名残か古いカメラや、趣味のオールドギターのコレクションなどもたくさん残されているはずだけど。
ネットゲリラに対するいしかわじゅん氏の辛辣な言葉の裏に優しさを感じてしまうのはワシだけか。
ワシがまだ氏のことを知らない時代、バブルの頃に二階堂.comというサイトの管理者と一緒に光通信という会社の後ろ暗い事象を記事にして、怖いヒトタチから追い込みをかけられ、しばらくビジネスホテルを転々としていたって書いてたこともあるんだが、社会正義実践などというよりも、悪いやつは嫌いだから暴露するっていう軽いノリからひどい目にあったというカンジなんだけど、その後も安倍政権を批判し続けてたところを見ると、やっぱ基本は正義感の強い人だったんじゃないかって勝手に思ったりしてる。
まあ氏の経歴を見ると、面白いことに首を突っ込んで暴れてたってことだけかもしれないけど。
ワシがずっと若い頃、「噂の真相」という怪しい月刊誌があって、それを毎月楽しみに買って読んでた。まだインターネットなどなく、情報はもっぱら新聞・雑誌、テレビ・ラジオの時代で、放送局や有名出版社が提供するものはスポンサー絡みもあって記事の内容が提灯持ち的だったり配慮ありありだったりするなか、大手企業のスポンサードは受けず独自路線で発行を続けていたところや、天皇に関する記事を掲載して右翼関係者が事務所に乗り込んできたり、記事の内容に対する抗議のための圧力をかけられることを避けるため印刷所は一切公表しなかったってところが、自分でサーバーを立てて通信販売でものを売ることで運営費を稼ぎスポンサー無しで運営することで自由自在に書きたいことを書いていた「ネットゲリラ」氏に通じる気がして、そんなところもワシが読み続けた理由だったのかなって思ったりする。
話はちょっと変わるけど、「噂の真相」はいろいろなゴタゴタがあって、自分の雑誌の執筆者だろうとなんだろうと怪しいことをしていればそれを追求するところなんかがスリリングで面白かったですね。本多勝一氏との揉め事や当時長野県知事だった田中康夫氏を宅八郎氏のトラブルとか、現職の首相時代、森喜朗氏が学生時代売春防止法で逮捕されたことに関する記事に対して名誉毀損の訴えを起こされ、ならばこれで調べろといって森氏の手形を入手した上で「警察に保管されている指紋とこれを比較すれば、森氏が逮捕されたかどうかはすぐ分かる」ってケンカ売ったけど警視庁から回答を拒否されたりしてて、そんなこんなは傍から見てる分にはとても面白かった。
閑話休題
「ネットゲリラ」の記事はサイト管理者氏がかつてエロ雑誌の読者投稿を捏造したり、コラムやエロ小説を書きまくってたとは思えない独特の文体なんだが、今ここに書いているワシの文章は氏にかなり影響を受けていると自覚しているのですね。
ずっと昔は流れるような、逆に言えばなんの引っ掛かりも面白みもない文字を連ねることしかできなかったのが、そのうち昭和軽薄体に影響され、その後好きな作家に影響され、今となってはネットゲリラに影響されているのは、果たしていいことなのか悪いことなのか。
まあよくわからんけど、しかたないじゃん。
今回のような自分が頻繁にチェックしてた現役サイトの更新が急に止まってしまったってのは、数年まえのhagex氏に続いてワシ的には2回目です。hagex氏はインターネット上のやり取りで恨みをもった犯人に刺殺されたという突発的で衝撃的で痛ましい事件だったのに比べて、これまでも数度入院で更新が止まっていたこともある比較的高齢の管理者だったネットゲリラ氏だからある意味仕方がないにしろ、やはり急に亡くなられたっていう印象が強い。昨年の更新ストップから読者の間で不安が広がり、今年に入ってからの亡くなられたという噂レベルで語られてたことをずっと信じていなかったワシがいます。
結局は関係者からTwitterで訃報が伝えられましたが、「ネットゲリラ」サイトはいまもずっと沈黙のまま。
そういえば晩年は読者ではなくなってしまったけど、コラムニストの勝谷誠彦氏もしばらくワシは氏の有料メルマガの読者だった。氏も独自の視線で歯に衣着せぬ論調で世相を切っていた姿勢(その姿勢に同意しない内容も多々あったけれど)が好きだった。
期せずして二人共に独自のカンをもつ編集者であり、同じく東南アジアで暴れていた時期もありで、ワシはこういった一見無頼漢でアウトローに見えるけれど、実は正義感を胸の奥に秘めてるっぽい人がすきなのかもしんない。
まあ全員が所謂左翼っぽいヒトタチなんだけど、彼らの時代は学生運動が盛んであって、感性が鋭いひとたちが問題意識を持った結果として左翼に傾倒するってのは分かる気もする。ここでいう左翼ってのは共産主義とかじゃなくて、現状に疑問をもってそれを解決するためにはどうすればいいかと考える傾向を持ち新しいものを作り出す(作り出したいと願う)ヒトタチっていう位置づけです。逆に右翼は現状を守るために頑張るヒトタチっていう印象を持ってます。どちらがいいとか悪いとかいうことは全く言及しないし、そんなことは決められないと考えてます。
そんなワシは上の分類でいけば左翼寄りってカンジですね。
まあそんなわけで、今回はじじいの思い出語りでありました。
昨年「ネットゲリラ」サイトはハッカーの踏み台にされて、一度構築し直しており、そのため古めの過去ログが読めなくなっていると書かれてた。かつてのエロ本業界の裏話など自由でデタラメでアウトローな時代の興味深い話が沢山残っているはず。それらについて、だれか歴史の記録として発掘保存してほしいと思っとります。
現場からは以上です。スタジオにお返ししまーす。
次回はたぶん乃木坂ちゃんについて書きます。
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