撮影とサステナビリティ: 海外の事例のリサーチ
僕は快楽主義者ですが、海は大好きです。
波乗り、素潜り、セーリングなど、海に関係する趣味を人生を通して学んで行きたいと思っています。楽しい思いをさせてくれて、いろんな人と僕を繋げてくれた海が、孫の代ぐらいまで綺麗だったら良いな〜とは思っております。
気候変動、二酸化炭素排出量、様々な業界でサステナビリティが問題となっているかと思います。
オーストラリアの広告映像制作会社の団体の集まりに参加させて頂く中で、最近のわりと大きな議題のひとつはサステナビリティです。撮影現場でもマイボトル、マイカップ持参は当然でしたが、感染防止の観点から現場で補充する必要のあるマイボトルやマイカップは最近目にしなくなりました。
あたりまえですが、今後世間のサステナビリティへの意識は加速していくと考えられます。
というわけで、他国のサステナビリティ事情、他の国で撮影業界はどう対応しているのか個人的に事例を少し調べてみました。
🇬🇧 イギリス 🇬🇧
撮影現場の二酸化炭素排出量を計算するCarbon Calculator(カーボン・カリキュレーター)の普及が進んでいるらしい。
Albert : 2011年に発足したAlbert(アルバート)は映画やTV番組の制作における環境の負荷を少なくし、サステイナブルな未来へ向けたコンテンツをサポートする団体。気候変動に対して映像業界を団結させ、オーディエンスにも持続可能な未来への意識を広げる事を目的としているそうです。
映像業界に特化した【カーボン・カリキュレーター】が有り、一つのプロジェクトにおいて具体的にどれほどの二酸化炭素が排出されたか計算が可能。基本的には長編向けですが、BBCやNETFLIXのイギリス撮影ではAlbertのツールを使わないといけなくなっているらしいです。
ADGREEN: 広告業界。BAFTA(英国映画テレビアカデミー)とAlbertとパートナーシップを組んで広告業界もサステナビリティの問題を解決していきましょうという団体。Albertと同じように【カーボン・カリキュレーター】があり、広告主、広告代理店、制作会社がウェブ上の同じプロジェクト毎の【カーボン・カリキュレーター】にログインする事が可能なようです。
プロジェクト毎にどれだけの二酸化炭素が排出されたのかが解りやすく可視化され必要であればオフセットできるようになっているようです。ウェブサイトを見ると皆様もよく知っている大企業が名を連ねています。
🇺🇸 アメリカ 🇺🇸
Green The Bid: こちらは”なんとかしなきゃあかん”と考えた有志から始まった活動という印象を受けました。こちらはズームで直接お話も聞いてみました。
バジェットの1%をサステナビリティーにあてる事を推奨。「ただし、その予算が出ないなら仕方がないので出来る事からやってみましょう。その代わり1%が出るならしっかりレポートとして撮影後に提出しましょう。」というスタンスでした。
イギリスもアメリカも、【カーボン・カリキュレーター】を使うにしても、出来ることとして余ったものの寄付やリサイクルをするにしても、撮影と同じプロダクションマネジャーが作業すると実際キツいので、別で人をつけようという意見を多く感じられました。
🇦🇺 オーストラリア 🇦🇺
オーストラリアはイギリスのように撮影に特化した【カーボン・カリキュレーター】はまだ無いので、、
Green The Bidのこのあたりをベースに・・・
1. フットプリントを少なくする:オンラインでの打ち合わせを活用、飛行機に乗るときはオフセット、ロケハンは車両の数を減らす、シングルユースプラスチックを使わない、可能な限り現地でスタッフを、など。
2. コンサベーションに貢献する:無駄な印刷はしない、印刷するなら両面、など。
3. コンポスト/リサイクル/寄付をする:返却出来ない衣装や美術など寄付できるところを探しておく、リサイクルやコンポスト、ゴミの分別、など。
出来ることから少しずつやっていく、ということをオーストラリアの制作会社は考えている様子です。
🇯🇵 日本 🇯🇵
先日メタバースプロダクションの内覧会にお伺いさせて頂いた際に、東北新社Production 3 金子さんが【カーボン・カリキュレーター】もメタバースプロダクションとして開発中と仰っていました。
東京の街を歩いていて、実は日本って昔からサステナビリティーに繋がる文化がかなり強かったのじゃないかなと、ふと思いました。
ぬか漬けはフードロス解消の知恵だと思いますし、風呂敷も再利用できる包装ですし。
まとめ
Green the bidの資料のひとつで解りやすかったのが、
サステナブルなプロダクションとは結局なに?
→ 自然環境をいまと同じ状況に残す。
→ 使わせてもらった地球(ロケ地)の現状復帰。
このような考え方。
「SDGs!」と大声で叫ぶと、ちょっと引いちゃう人もいると思うのですが、
現状復帰という風に考えれば馴染みがあるかな〜とは思いました。
以上踏まえて、出来ることからやろうというスタンスが今の弊社の状況からすると合っているので、まずはGreen The Bidの話を聞いて出来ることからやってみる事にします。
(2022年10月5日の情報)
Cheerio!