サブスクに存在しない音楽は存在しない的な話
そんな話をツイッターで見かけたし、頑なにサブスクを嫌がっていた大御所が解禁して
サブスク解禁ありがとう!
みたいなありがたみを全身で表現したようなツイートも良く見かける。まあサブスクにあったらラクだし俺も映画も音楽にもかなり課金してる。
でも、ありがとうとか全然思わない。何としてでも聴きたい曲は何としてでも買って聴くので。それで手に入らないものは気付くとなんか凄い躍起になったりしてる笑
あと、サブスクありがとうみたいなこと言ってるけど、大御所、大手がやるそれはどちらかと言ったら儲かりそうだからやる、投資と思ってやるみたいなもんで、それを救済的に受け取るのはちょっと違うと思う。
さて、ここからは
サブスクに無い音楽は存在しないのも同じ
と言われてもう焦りすらしない俺たちのようなアンダーグラウンドな存在の話。
沢山音楽を聴き過ぎて自分はセンスの塊ですみたいな人には、俺たちの存在を見聞きする暇すら無いので利害関係は一致してると思う。
でも、昨日俺たちが参加させてもらったライブや地下現場には、そこでしか聴けない音楽、そこでしか買えない素晴らしい音楽があるんだよな。
サブスクに無い、その手の人にとって「存在しない音楽」なんだけど、九州から遠征してきてとんでもなく素晴らしい歌声を披露して、主催者の先生や共演者が涙を流したり、その人の物販に行列ができる。
その素晴らしい演者さんはサブスクで何十万人と聴かれるコンテンツは持ってないかもしれないけど、それ以上の収入を得て地元に帰る。昨日目の前で起きた話だ。
実際、オペラ歌唱アリ、打ち込みロックアリ、アイドル曲アリ、soulアリ、R&Bアリ、即興アリ... 真にオールジャンルでポジティブにカオス、且つ実力者たちが集うイベントとなった。
大変ありがたいことに、俺たちリハビリテーション目的のお客さんも結構来てくれて、久々のご挨拶を交えながらの物販も大変ありがたかった。本当に感謝。
毎回このように上手く行くわけないが、ご祝儀的に来てくれる人はこれからも居るだろう。
こういう話を、瑣末な話、存在しないも同様のものとして切り捨てるか、音楽やエンターテインメントの1つの形として認識するか。
確かに、地下現場は玉石混合で、コスパタイパなんて言葉が出てくる世の中では割に合わないことも多いだろう。あと何かみんな失敗したがらないし失敗は悪みたいな風潮が強い。
お金を払ってライブ行ったけど微妙だったな... 俺も嫌だよ、何回もそんな思いをした。そんなことをまだ繰り返してもいる笑。
でも、音楽や芸術に対してコスパや効率って何だよって思う。こっちは失敗に失敗を重ねて、否、成功体験なんてものは殆ど得られないまま、ギター握ってから30年、DJブースに立ってから20年経った。リスナーとしても、大当たりの曲なんてそんなに出会えるものでもない。
そんな奴、サブスクに曲も載せられない奴は音楽辞めろということかもしれないが、それには抗ってゆく。もしかしたら登録したくなる日も来るかもしれないが(かつて登録していた曲もあったりする)、
サブスクに無いのに気にかけてくれる人がいる、ライブを観に来てくれる人がいる
そしてそんな人たちに向かってとても素晴らしいパフォーマンスを提供している共演者やミュージシャン、アイドルを俺は知っている。俺たちも何とか応えたいと思ってる。
世界のどこに居るかもわからない人に曲を聴いてもらえることは大変素晴らしいことだが、そんな期待を込めて無数の音楽家が仲介業者に多額の手数料を支払い、サービスに曲を登録、サービス提供者は月額費用で全世界の利用者から莫大な利益を得る、そして多数再生された
ごく一部のミュージシャンだけがリターンを得る
仕組み。かつてはライブハウスが駆け出しのバンドにノルマを課し、今は姿の見えない業者が手数料を取る。
無名の音楽家も金を払えば、マニアやライターに推薦してもらえるようなシステムもあるみたいだ。売れ線の世界では昔から回ってるシステムだが、小さな金で小さく露出する機会を得られると。
やはり売れてない人間からすると、ネットで大きなリターンを得ようとするのは先か別次元の話で、まずは周囲の人々や目の前の人に向けて全力でやるか、少数ずつでもファンを獲得すべくやることからが全てなのでは。
当たり前の話になってしまったが、それこそサブスクやネット上には競合も無限に居る。どんなにニッチなことでも大体のことは見つかってしまうし、それが良さでもある。自分のやりたい事なんて、天才でも無い限り大抵は誰かに先を越されている。
だからネットはダメ、サブスクはダメという話では無くて、リアルでもネットでもサブスクでもなんとか聴いてもらう人や場を頑張って探すことがとても大変で、そこにアプローチし続けることが重要だという。
痛感しているが、アマチュアが数年沈黙してノコノコSNSに出てきて、久々に音楽やります!聴いてください!ライブ来てください!なんて毎日のように呟こうがブログで長文を書こうが、そんなの反応してくれる人は数人程度だ。
昔の俺ならとっくに折れてる。でも間違ってた。その数人のために良い曲を作ろう、良いDJ MIXを作ろうとする、本当にすべきことなんてそれしか無い。
どんなに戦略を練ったってそれは"戦略" 俺たちの都合でしかない、4〜5年も音沙汰無しでいま聴いてくれる、ライブに来てくれる、その機会を与えてくれる小林清美先生、この人たちを楽しませる以上に重要なことは無い。
地下アイドルや地方から東京に遠征してきて頑張っている人たちはまた違った考えで現場を盛り上げている可能性も高いので具体名は挙げなかった。
が、逆張りをさせてもらえれば、そういう現場にしかない感動や音源が確実に世の中に存在していて、俺はそういうものが心から好きだということを再認識している。
ヴィレヴァンがどうのこうの、サブカルがどうのこうの言ってる奴らよ... サブカルならここにあるぞ...