樋口円香論研究発表~ピトス・エルピス編~
※noteの特性上、ピトス・エルピスやそれまでに実装されたコミュのネタバレを大量に含んでいます。
お気をつけください
※この記事は必ずしもこの解釈が正解だ!とするものではなく、自分なりの解釈を書いたものです。
あらかじめご了承下さい。
どうも、樋口円香論教授トニーと申します。
前回の記事がぼちぼち好評いただけているようでうれしい限りです。
今回は限定P-SSR「ピトス・エルピス」についてお話させていただきたいと思います。
よろしくお願い致します。
着目ポイント
ピトス・エルピスを語る上で最も重要なポイント。
それはやはり、「宝石箱」についてでしょう。
作中で何度も出てきては意味深な描写がとにかく多いこの宝石箱について私なりの解釈を残していこうと思います。
宝石箱=樋口円香
結論からいってしまうのですが、私はあの宝石箱は樋口円香自身を示唆しているものだと考えています。
というのも、今回の描写を見ると
樋口円香から見た宝石箱=樋口円香自身の自己イメージ
シャニPから見た宝石箱=シャニPから見た樋口円香のイメージ
となっていることがわかり、前回も用いた図式に当てはまるのです。
これに当てはめて、
円香から見た宝石箱へのイメージ
そして、シャニPから見た宝石箱のイメージ
の二点から解釈を進めていこうと思います。
円香から見た宝石箱へのイメージ
ではまず、円香から見た宝石箱について情報をまとめてみましょう。
まず、そもそも宝石箱は円香が部屋を掃除していた時に見つけたものでした。
箱には鍵がかかっており、開けることができない。鍵も紛失しているようでした。
宝石箱の中身は本人も覚えていないようでしたが、「わざわざ大事にしまうものなどない」
と中身が空っぽである物だと考えているようです。
「中身が空である以上価値などない」とも、
先ほどの宝石箱=樋口円香という仮説を元にして考えるのであれば、
樋口円香は自身には価値がなく空っぽである
と考えていることがわかるでしょう。
これは前回のG.R.A.D.編を踏まえるとより分かりやすいかと思われます。
自らの言葉を軽いと評した部分と繋がっている概念ですね。
ただ、反証として
「ならばなぜ鍵をかけておく必要があったの?」
という話が出てくるでしょう。
確かに、中身が空である。価値がないものである。と考えている以上、鍵をかけて必死に守る必要があったのか?という意見が出るのは自然ですよね。
「大切なものを守るために作られた箱だった」とも矛盾しそうですし…
しかしながら、これは全くの逆なのではないか?と私は考えていまして、
「空であるが故に彼女は鍵をかけなければならなかったのではないか?」
という説を提唱させていただきます。
円香は自らのパーソナリティとは別に、アイドルとして当たり障りのないペルソナを被っている…というのはWINGからピトス・エルピスまで読んでいるPさん方には周知の事実であることと思います。
これがなぜなのか考えたときに、先ほどの円香の自己評価を踏まえると自ずと答えが導けます。
円香にとって自らは価値の無い空の存在でしかない。
であれば、
「そんな空の自分をアイドルという人気商売の売り物にするのは無理がある」
と考えるのが自然でしょう。
もちろん彼女はアイドルの仕事をこれからも続けていきたい!という強い動機はあまりありません。
ですが、幼馴染のみんなとこれからも一緒にいるためには、アイドルでい続けなければいけない……………
…………かもしれない。
それならば、こんなところでアイドルをやめるという選択を取ることはできないでしょう。
つまり彼女は、
これからもアイドルでい続けるためにはファンの望む姿でなければならないと考えているのではないでしょうか。
纏めると、
彼女にとって自分は魅力のない空っぽの存在であると考えており、
(宝石箱の中身=空)
アイドルをこれからも続けるためには、
価値のない自分の人間性を悟られてはならない
=空である宝石箱の中身を悟られないように鍵をかける必要がある。
という考えを持っているという解釈になります。
シャニPから見た宝石箱のイメージ
ではシャニPサイドに移りましょう。
これまで前提として、宝石箱の中身=空であるとされてきましたが、
シャニPは空いてしまった宝石箱から音が鳴り始め、それが宝石箱ではなくオルゴールであったことを知ります。
オルゴールが空でないということは、先ほどの仮説から当てはめれば、
彼女の本性は空などではないことが分かるはずです。
ではその隠された、円香の魅力とは?
これはやはり、ピトス・エルピス最大の名台詞
「樋口円香には激情がある」に帰結するのでしょう。
シャニPはこの激情こそ円香の魅力であると考えたわけですね。
しかし、これを読んで樋口円香の激情についてすぐに理解できた人間は多くないかもしれません。
シャニP目線パートでは順を追って、この樋口円香の激情とは何を指すのか紐解いていきましょう。
まず、これを紐解くにあたって重要なのが、
円香とシャニPが同時に話すあのシーンでしょう。
作中で円香は歌に対する表現にとてもこだわり、何度も歌いなおしていました。
アイドルとしてい続けるための仮面(ペルソナ)を研ぎ澄ますために、誰もが見向きするような正解を求め続けたんですね。
最終盤でも彼女は自身の歌声に否定的であり、違うと何度も自身の歌を否定します。
しかし、シャニPにはこれが魅力的に映っていたんです。豊かな音で美しいと。
これは直前のオルゴール…
宝石箱に対してのイメージとぴったり合致します。
円香が宝石箱の中身に価値を示さなかったのと同じように自らの意思で表現する。その歌は価値がないとしましたし、シャニPは宝石箱に興味を示し、それがとうとうオルゴールであることまで突き止めました。作中でも明言がありませんが、シャニPはきっとこのオルゴールの音色を気に入っていたことでしょう。
(直後に円香の歌への評価が来たので、文脈的にそうだろうという推測です)
長くなりましたが、纏めると
シャニPはこの何度も正解を求め続けて歌うその姿勢をこそ美しいと思ったわけですね。
つまり、この何度も正解を求めて歌う姿勢そのものが彼女の激情であるという事になるのですが、これだけじゃ少し説明不足な気がします。もう少し掘り下げてみましょう。
なぜ彼女は何度も正解を求めて歌うのか?
──────おいおい寝ぼけたか教授さんよぉ?
さっきお前がアイドルでい続けるため、誰もが見向きするような正解でい続ける必要があるって言ったんじゃねぇのか?
そんな声が聞こえてきそうです。確かに私は先程そのような発言をしましたね…
少し冷静になって考えてみれば先程の主張への違和感が見えてくるはずです。
もし、本当にファンに求められる姿になりたいだけなら、
彼女に言わせれば笑っているだけで何とかなるはずです。
しかし、彼女は、
トレーナーに求められたクオリティに達しても繰り返し練習を一人続けていました。
それは、ギン子ちゃんとのことがあったからかもしれません。
彼女との約束を果たすため、頑張らなければならかったと言うことも考えられます。
それでも「正解」という言葉を使ったことにはかなり違和感があります。
相手に受ける表現の正解なんて、状況によって千差万別に変化していくもののはずです。
しかし、彼女の中にはこんなあやふやな答えのなさそうなものに、正解が存在しているんですよ。
まるで、模範解答を知っているかのようです。
加えて、彼はこの何度も歌うその姿勢をこそ美しいと思ったと話しました。
もし、これがファンに求められた姿になろうとしていた事に対してなのだとしたら、
そんなマイナスの状況にシャニPが惹かれるはずはないでしょう。
あまりにも彼らしくない。
以下のことを踏まえ、このシーンにおいてファンに求められる正解を求めていた…という解釈は間違いと言わざるを得ないでしょう。
では、なぜ彼女は何度も歌ったのか?
彼女はトレーナーから求められた基準に達しているにも関わらず歌い続けました。
これはつまり、
この正解という概念において他人が介在する余地はなく、
彼女の中にしかない正解の規定、ルールのようなものが存在している
ということです。
これを言い換えるのであれば彼女には、
こう在れたら間違いないという何か絶対的な、揺るがない指標がある
ということになります。
それに近づきたい、そうなりたい…
それこそが彼女の激情の正体ではないでしょうか?
それは、彼女自身気づいていない(箱の中身を空だと思い込んでいる)んですが、シャニPにはその歌声を通してそれを確信したわけですね。
纏めると、
そもそも彼女の言う「正解」というのは、
彼女の中で明確で絶対的な基準点があるからこそ出る発言であり、それに近づきたい、そうありたいと思うとても強い感情が彼女の中で渦巻いている。
それこそが彼女の激情であり、シャニPはそれに気づき、尊いものだと感じた。というわけですね。
すげぇコミュだな改めてまとめてみても…
では最後に、シャニPサイドでの宝石箱のイメージについて情報をまとめましょう。
シャニPがよく調べると宝石箱はオルゴールであり、寂れた音色が鳴り始めた。描写こそないものの、恐らくシャニPはその音色を気に入っていた。
オルゴールは、最終盤での円香の歌声と合致する描写であり、シャニPにとって円香のその歌は美しいものであった。
美しいと思ったのは、円香にとって絶対的な正解があり、そう在りたいと思っている=(激情)ことを、歌声を聞き確信したから。
以上です。あなたもこれでピトス・エルピスの良さを、知りましたね。
余談
余談にはなるのですが、実はこの激情に気づくシーン。
G.R.A.D編にて伏線が張られています。
前回G.R.A.D編にて私が割愛した話がまさにこれです。
前記事内にて詳しく説明したので、今回は細かな説明は省略いたしますが、
G.R.A.D時点で円香が思ったより感情で動く人間である可能性に気づいていたんですよね。
だからこそ彼は「今日、確信した」のでしょう。
余談ついでにもう一つ
ここまで考察してきましたピトス・エルピスなんですが、この解釈を踏まえるととあるカード名の謎を解釈することができまして追加で紹介します。
あくまで妄想の域を出ないのであしからず…
そのカードとは初期PSSR「カラカラカラ」です。
このカード名どういう意味なのかいろんな方が解釈されてると思うのですが、私なりの解釈をお話しします。
今回私は、コミュ内にて円香が
空である自分をひた隠しにしている
ことをお話したと思います。
私はこの、ひた隠す、オルゴールに鍵をかけるという事から
殻にこもると言う事を連想しました。
なので円香は
空 だから 殻にこもっているわけです。
空 だから 殻…
カラ ダカラ カラ…
カラカラカラ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ソーレ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ここ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
カラカラカラ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
――――――—―――すいませんふざけたい病が出てしまいました。
カラカラカラ=空(だ)から殻ではないかということです。はい。
加えて、この流れで自然に話し続けるのもどうかと思いますが、中身がある箱を振るとカラカラと音がしますよね。
つまり、カラカラカラとは
自身が空であるが故に殻にこもっているが
その中には確かに何かが眠っている…
というまさにピトス・エルピスで今回お話した内容にぴったり、シンクロするという解釈ができるんですね。
仮に事実なら恐ろしい伏線張りです。怖いよ~このゲーム
終わりに
ここまで記事を見ていただきありがとうございました。
ピトス・エルピスにて彼女の激情があることはご理解いただけたと思いますが、ただ、このコミュ明確にLPとのつながりがあるコミュなんですよね。
明らかにLPの前日譚として作られています。
実際今回の解釈が当たっているとすれば、彼女はアイドルのステージにおいて自己表現ができていないことになりますから。Pとしてはやるせない気持ちでしょう。
円香のアイドルとしての在り方をめぐる論争。その決着であるLP。
是非まだ読まれていない方が居ましたら、読んでから次回の記事を楽しみにお待ちいただければなと思います。
次回は特に気合を入れたいところですじから、お楽しみにお待ちいただければと思います。
では、これにて講義を〆ます。最後まで見ていただき、本当にありがとうございました。
最後に軽く宣伝をさせてください
私が所属させていただいているSHINY CORDでは様々な企画が行われており、その内私は412に輝かせよう!という412秒で何かのスライド発表を行う企画によく参加しています。
企画内でも樋口円香論をお話させていただいていますので、私の肉声による発表を見たいというもの好きは是非参加してみてください。オーディエンスが多いと楽しいので。
もちろん、プレゼンターも大歓迎です。お前らの熱い想いを聞かせてくれ。
それでは本当にこれで〆ます。それでは。
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