イギリスでの人種差別について
人種差別、それは古くから続き今もなおなくならない差別。人種という生まれ持った人間の本質的なもので差別をされるというのはどれほど辛いことなのか、イギリス生活計2年ほどになるのだが、私は幸運なことにいまだに度の過ぎた差別をされたことがない。私の住んでいるところの影響もかなりあると思うのだが(田舎すぎて学生数の方が街の住民より多いし、割と多国籍な環境)、日常生活と都市部での観光通して大きな差別の経験がないのだ。やはり、海外留学や赴任を考える方にとって、避けては通れない課題なのが差別問題。対策法なんてものはわからないが、自分なりになぜ差別を受けにくいのか考えてみる。
一応差別は受けた。入学して1週間も経たずオドオドしていた時期に、大学のキャンパス内でイギリス人集団から "Yellow!!!"と叫びかけられたぐらいで、当初はその後に "What's up, white Monkeys!!" (調子どうだい白い猿) と言い返してやれば良かった!と後悔するぐらい楽観的、というより人種差別をされたことがダメージにならなかった記憶がある。それから今までの約ニ年間、一度も差別を受けずに生活してきた(もちろん小さい差別はあった。高校生ぐらいの子達になぜかバス内から中指を立てられるという謎事件は起きたが、所詮こんな田舎育ちで日本語の素晴らしさすら理解できずに、いずれはそこら辺にいる太った酔っぱらいになるだけの可哀想な猿たちだな、と同じく日本人の彼女とバカにし返すくらいのレベルだった)。もちろん、キャンパス内のアジア人の数は少なく圧倒されたり、遺伝子的に筋肉がつきやすいとか顔立ちの綺麗さ、髪質、英語(彼らの母国語、我々の外国語)での会話力などやはり彼らよりも劣る部分はあるが、それは差別でなく違いである。言語の壁についていうなら、我々の英語力不足でなく、彼らが母国語しか喋れないが故の、我々が仕方なく外国語としての英語をしゃべっているのである。なので我々の方が優れている。と捻くれた考えをするまでになってしまった。
話は戻るが、母の友人の息子もイギリスはロンドンに3ヶ月程の短期留学をしたそうで、彼は市内のバーガー屋でバーガーを食べている最中に、イギリス人にバーガーを投げつけられたそうだ。また、写真撮影をしている際に、勝手に自分の写真を撮ってもらい、お金を請求され、挙げ句の果てになぜか1万円ほど支払ってしまったらしい。しかし、少なくとも私と彼女がロンドンやバーミンガムを訪れた際には、一度も差別を受けたことがなかった(夜中の酔っ払いは除く。彼らは論理的思考力をアルコールによって失っており、シラフなら言わないようなことを言っているのは明白だし、そもそも彼らは誰にでも絡む)。
なんとなくだが、差別をされるかどうかは、舐められるかどうかにかかっているのではないかと思う(もちろん、イギリスは比較的アジアン差別がひどくないことと、私がもっと酷い差別をされたことがないことが大前提だが)。自分自身、体も小さくなく割と堂々としている方で、何よりもむやみにヘラヘラしない性格であるため、そもそも舐められないというのがやはり大きい気がする。プラス、差別されても言い返す準備はすこぶるできてるし、なんなら言い負かしてやりたいぐらいの気持ちまである。さらにいうなら、言い返したことによって喧嘩に発展しても対応できる自信まである。それぐらい、人種差別に対する対抗心というか、闘争心をもっている。実際に、日本人の友人たちと買い物している際に、ニーハオニーハオと言いながら吊り目のポーズで近寄ってくるジジいはいた。その際は普通にムカついたので、"We ain't Chinese, you think all Asians are from China?"と返してやったが、日本韓国中国の区別がつかないのも理解できる。我々だって、ドイツベルギーフランス人の違いなんて言われてもわからない。問題は、わからないことでなく、なんの根拠もない仮説を立てて勝手にそうだと推測して、それを差別的に表現することなのだ。
こんな感じで勝手にイギリスでの人種差別について考察してみたが、私がうけたそれより酷い差別なんてごまんとあるだろうし、私もこれからもっと酷い差別を受けるかもしれない。ただ、差別に対して恐怖心や羞恥心を感じる段階から、差別に対する反抗心が芽生え差別されたらムカつくようになると、自然と舐められなくなり差別をされないかもしれない。あとはやたら観光客っぽくしないこと。観光だろうと留学だろうと、差別や犯罪に狙われるのは浮かれた観光客っぽい人である傾向は高い。差別をされても、落ち込む必要はゼロである。そもそも差別する人は精神的に不安定であり、しばし自己の中に不安やコンプレックスをかかえているような人だと思うし、そのような人間に言われた事で、今まで生きてきた自分を否定するのはもったいない。