吉松隆の<英雄>
日時:2023年3月11日(日) 東京芸術劇場
会場:13:00
開演:14:00
終演:16:10
・演奏:東京交響楽団
・指揮:原田慶太楼
【曲目】
・鳥は静かに…(吉松隆)
・鳥のシンフォニア”若き鳥たちに”(吉松隆)
第1楽章「Prelude」
第2楽章「Toccata」
第3楽章「Dark steps」
第4楽章「Nocture」
第5楽章「Anthem」
・タルカス(エマーソン・レイク&パーマー/吉松隆)
―休憩20分―
・交響曲第3番(吉松隆)
第1楽章「Allegro:Adagio grave - Allegro molto」
第2楽章「Scherzo:Allegro scherzando」
第3楽章「Adagio:Adagio」
第4楽章「Finale:Andante sostenuto - Allegro molto」
吉松先生の古希コンサートへ足を運んできました。
鳥のシンフォニアは音源化されていないので、今回初めて拝聴する作品。それ以外は、音盤で何度も拝聴した大好きな作品ばかりです。
オープニングの鳥は静かに…は最小12名~最大37名で演奏可能な作品ですが、今回は37名編成だと思われる(すいません。奏者の人数を数えてなかったです・・)
最小人数(12名)で演奏されたのは、2012年にNHKで放映された「鳥のいる風景~日本人作曲家のえがく魂の飛翔」が記憶に残っている。
(演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団×高関健)
今回の演奏は、ガッチリ固めた演奏ではなく、浮遊感のある旋律に導かれて温もりのある演奏だった。中間部の各ソロが見事でした。まるで、一羽の鳥を愛でるように、優しく育むような演奏でした。
(私の中で)今回一番の目玉である、鳥のシンフォニア。
1楽章は、各楽器が旋律を立奏して演奏する。視覚でも聴覚でも、どの楽器が旋律を演奏しているのか一目瞭然となっているのは、青少年のための管弦楽入門と位置付けている本作に相応しい作風であると感じた。
ほぼ切れ目なく演奏される2楽章は、一聴すると変拍子に聞こえるが、4/4拍子で小節線を跨ぐようなフレーズとなっているため、古典的なクラシックの堅さを感じさせない演奏でした。
ブルースやジャズ、シベリウスやベートーヴェンの要素を取り入れた3~5楽章は、聴いたことがある人なら”あっ、〇〇だ”と気づく方がいると感じる。クラシックや現代音楽を知らなくても、老若男女問わず楽しめる作品で、プロアマ問わず演奏できる作品だと認識致しました。
前半最後はタルカス。金管楽器(特にトランペット)はハイトーンの連続で演奏するのは至極困難だと思いますが、ピッコロトランペットで演奏されたりと工夫されていました。
(吉松先生はピッコロトランペットを隠し持って演奏すると怒るらしいが)
多少傷はあったものの、原田さんのバトンに導かれロックの重さと流暢な音楽が上手く綯い交ぜとなった演奏だったと感じております。
前半でお腹いっぱいになってしまいましたが、休憩を挟みメインである交響曲第3番。”圧巻”でした。この一言に尽きます。
1楽章の畳み掛けるような弦楽器群の演奏には鳥肌が立ちました。2楽章は、吉松先生の「トラウマ氏の庭」にも引用された軽妙な作風。3楽章の首席と副主席のチェロのソロは荒野に佇む二人の侍が刀を構えて睨み合っているような緊張感でした。
演奏終了後、吉松先生が「これからもオーケストラをよろしくお願いします」と仰っていました。AIやエレクトロニクスの進化で、人間が楽器を演奏しなくなる日は未来永劫ないとは絶対に言い切れませんが、作曲者→演奏者→聴衆というリレーは一生崩れることはないと感じております。吉松先生の作品も藤岡幸夫さんから原田慶太楼さんへ新しい世代にわたりました。次の世代にバトンが受け継がれて未来永劫、吉松作品が演奏されることを願ってやみません。
終演後、吉松先生と原田慶太楼さんのサイン会を開催されるということで私も並びました。長蛇の列でサインを頂くのに30分掛りましたが、お二人にサインして頂いたスコアは一生の宝物です。
(ちなみに、KENJI・・・宮沢賢治によせるのスコアにして頂きました)
中には、海外から来場されてスコアを購入し、お二人にサインを頂いている方もいらっしゃいました。吉松作品が世界中で愛されているというのは嬉しい限りです。
会場では、吉松先生の作曲ノート、スケッチ稿、手書き楽譜が展示されていました。残念ながら写真撮影NGでしたので記録はないですが、生で吉松先生の作曲姿勢を伺えたことは得難い経験でした。
さて、年内に吉松交響曲が演奏されるコンサートはまだあります。以下に記しておきますので、興味のある方、足を運んでみてはいかがでしょうか?
■4月22日(土)17時開演
・演奏:日本フィルハーモニー交響楽団
・指揮:原田慶太楼
【曲目】
・交響曲第6番「鳥と天使たち」
■6月9日(金)19時開演
・演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
・指揮:藤岡幸夫
【曲目】
・交響曲第3番
■6月16日(金)
・演奏:関西フィルハーモニー交響楽団
・指揮:原田慶太楼
【曲目】
・交響曲第3番
■10月1日(日)昼公演
・演奏:オーケストラ・ポミエ
・指揮:村瀬涼
・会場:フェニーチェ堺 大ホール
【曲目】
・喜びの歌(A.オネゲル)
・リトミカ・オスティナータ(伊福部昭)
・喜びの島(C.ドビュッシー)
・交響曲第4番(吉松隆)
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