舘野泉”こころの音楽”
日時:2024年2月4日(日) 三井住友海上しらかわホール
会場:14:15
開演:15:00
終演:17:17
ピアノ:舘野泉
【曲目】
組曲「エイヴェレの星たち」より(U.シサスク)
第2曲「エイヴェレに降る惑星」
風のしるし・オッフェルトリウムより(間宮芳生)
第2曲「山にいて夜毎鳴く鳥の声…」
タピオラ幻景より(吉松隆)
第3曲「水のパヴァーヌ」
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より(J.S.バッハ/Jブラームス)
第5曲「シャコンヌ」
—休憩20分—
左手のための二つの小品(A.スクリャービン)
小泉八雲の「怪談」によせるバラードⅡより(P.H.ノルドグレン)
第1曲「振袖火事」
サムライ(光永浩一郎)
組曲「そして船はいく」より(谷川賢作)
さよならは仮のことば
そのあと After That (to Maria)
のんのんずいずい
~アンコール~
赤とんぼ(山田耕作/梶谷修)
舘野泉さんのピアノコンサートを拝聴するため、しらかわホールに足を運びました。本公演で私が、しらかわホールに入るのは最後の予定となります。
個人研究している吉松隆先生の影響で、舘野泉さんの演奏はCDで何度も拝聴しました。しなやかで繊細なタッチの演奏はいつ拝聴しても惹かれます。
今回は、プログラムと曲順を変えて演奏されました。最初はシサスクの作品で幕開けです。ほぼ同じ音型で揺蕩うように音楽が進みます。そこに紡がれている音楽は、さながら満点の星空を眺めているようでした。
続いて、間宮芳生さんの作品。現代曲に馴染みのない方は少々入りづらい作品かと感じましたが、夜空に鳴く鳥の声が堪能できたのではないかと感じております。
星→鳥ときて、最後に吉松隆先生のタピオラ幻景の「水のパヴァーヌ」で締め括りました。立野さん曰く「200回以上演奏してきた」とのこと。スコアを所持していますが、左手ピアノの作品とは思えないほど難しいと感じております。少々粗さはありましたが、繊細と力強さを兼ね備えたタッチで演奏して下さいました。本作品の生演奏を鑑賞でき幸せでした。
前半最後は、ブラームスが編曲したシャコンヌ。チェロ、吹奏楽、オーケストラ、マリンバ、ピアノ、左手ピアノ・・様々な編曲で本作を拝聴してきましたが、ブラームスが編曲した版が一番好きです。
立野さん曰く「若い時に、プゾーニ版もブラームス版も知っていたが、惹かれなかった。左手ピアニストになってから、ブラームス版を演奏するようになったが、最初、練習している時はつまらないなぁ、つまらないなぁ・・と思いながら練習していた」とのこと。これには驚きでした。ただ、ふとした瞬間に本作品の魅力が分かり、今では「弾いていると精神が研ぎ澄まされ、身体がそれに動かされていくのを感じる」とのことです。
暗譜での演奏。演奏者、指揮者によって音楽に風格が出るというのは、演奏経験を重ねている方でないと出せないものだと感じている。指揮者の朝比奈隆先生の演奏を拝聴して、そのように感じました。
今回の演奏は、ミスタッチやペダルミスが散見されましたが、それを払拭するほどの音楽がそこにあった。これは、生演奏でした体感できないですし、舘野泉さんの演奏でしか味わえなかっただろうなと感じております。
休憩を挟み後半へ。
谷川賢作さんの作品は全曲拝聴してみたいですね。オシャレな作品でした。
光永さんの作品は、初演が上手くいかなかったとのことですが、今回の演奏は武士道という言葉が相応しい演奏だったかなと感じております。
アンコールは、梶谷さんが編曲された赤とんぼ。往年の名作をこのように編曲されるのか!と感じました。楽しかったです。
しらかわホールに足を運んだのは、本公演を含めて5回ほどになる。最後のお別れに吉松作品を拝聴出来たこと、そして舘野泉さんの演奏で締め括れたことに感謝しております。数々の素晴らしい公演を作られたしらかわホールさんに心から敬意を表します。
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