小学校の時の場面緘黙の友達の話。
今日は、私の昔話を書こうと思います。
久しぶりに同じクラスになった友達が喋らなくなっていた
小学校の1、2年生のときに同じクラスで、仲良くしていた友達のA子ちゃん。
とても明るい子でした。
3年4年5年とバラバラのクラスになり、廊下ですれ違っても、ニコっとする程度になってしまいました。
6年生で同じクラスになり、久々に話しかけたら、首を縦にふったり、横にふったりして、にこにこするだけ。。あれれ??なんで喋らないんだ?風邪でもひいているのかな。。
これまでA子ちゃんと同じクラスだった子に聞いてみると、
「3年生のときに男子に声をバカにされてから、喋らなくなっちゃったんだって」
あんなに明るかったA子ちゃんが、喋らない??
いやいや、まさかまさか。。。喋っちゃうでしょ、友達が喋ってたら、、、。
と思って、他の友達も交えて喋っているときに、何気なくA子ちゃんに話を振ってみるけど、やっぱり手を叩いたり、首をふるだけ。
当時の私は、こう思ったんですね。
「A子ちゃんの声は全然、変じゃないし、また一緒におしゃべりしたいもん!」
とはいえですね、、、どうやっても喋らないので、夏休みが終わるくらいまでは何もできませんでした。
もはや「喋らないA子ちゃん」に慣れてきて、受け入れちゃってる自分もいたわけです。
大人になって、場面緘黙という言葉を知りました。あの時のA子ちゃんはこれだったのかな、、とすぐにA子ちゃんのことを思い出しました。
学校をお休みした友達に電話をしてみた
6年生の夏休みが終わり、新学期が始まってしばらくした頃、A子ちゃんが学校をお休みしました。
私はなぜか電話をすることにしました。今でも謎です。
電話をするとA子ちゃんのお母さんが出ました。自分の名前を言って、
「A子ちゃんいますか?具合大丈夫ですか?」と聞くと、
「元気ですよ。A子は家にいますよ。」
「代わってもらえますか?」
「え?」
「喋らなくていいので、代わってもらえますか?」
「ちょっと待ってね。」
「・・・・」
「もしもし、A子ちゃん?A子ちゃんなら、受話器を1回叩いてね」
「(コツン)」
「あ、A子ちゃんだ!元気?あ、そうだ。はい、なら受話器を1回叩いて、いいえなら受話器を2回叩いてね。元気?」
「(コツン)」
「あ〜、良かった。何か病気にでもなったのかと思って電話しちゃったー」
「・・・」
「宿題とかプリントとかもらった?」
「(コツン)」
「宿題やった?」
「(コツンコツン)」
「笑。まだやってないのー?大丈夫ー?」
「(コツン)」
こんな感じで会話?をしました。
それから、なぜか私、ほぼ毎日電話したんですね、、。
何回目かの電話で、
「A子ちゃんいますか?」
「はーい、ちょっと待ってね。(A子〜〜〜とんとんちゃんから電話だよ〜)」
(はーい)
え??今のA子ちゃんの声。。これまでこれすら聞こえてこなかったのに。
「(コツン)」
「あ、A子ちゃん!」
子供ながらに、若干、私に気を許してる感じがしたんですね。聞こえてもいいか、みたいな。あえて、聞こえたよ、とは言いませんでしたが。。
謎に電話をかけ続ける私。そして少しづつ変化。
学校であった出来事や、テレビの話題とか、面白かったね、ムカついたよね、とか、そんなどうでもいい会話をしていました。。ま、相変わらず、コツン、とコツンコツンの会話で。
でも、それが秋になった頃、A子ちゃんが電話で笑うようになっていたんですね。
喋らないけど、ふふふって声を出して笑ってくれたりして。。最初は、多分我慢していたっぽいけど、出ちゃった、みたいな感じでした。先生のマネとかして私も笑わせたくて仕方なかったんですね。
でさらに、時が経ち、冬が始まる頃には「コツンとコツンコツン」ではなく、
「うん、ううん」に変わっていったんですね。でも、すでに笑った声を聞いていたから、コツンじゃなくて、「うん」と言われた時も、しばらく気づかなかったんですね。で、しばらく会話してて、
「あれ?今、うん、って言った?」
「うん」
「やったー!」素直にこう言ったのを鮮明に覚えています。
その後、普通に会話ができるようになるまであまり時間がかからなくて、3学期が始まる頃には、電話では普通に会話できるようになっていましたし、学校でも2人だとこっそり話していました。
別の友達に電話のことを話したくなった。
そうなってくると、私はそれを別の友達に言いたくなったんですね。
「ねぇ、私A子ちゃんと電話で話してるんだよ」って。
「えーーー!うそー。どんな声?どんな声?」
「普通だよ。本当に、普通。私より高い声。」(私は地声がとても低いのです)
「えー聞きたーい!」
ま、当然の流れなんですが。
当時、私の友達グループは6人だったんですが、その中にA子ちゃんも入っていました。残りの5人で作戦を立て、おしくらまんじゅうしたら、笑って声出るかな、とか、、、話してました。(かわいすぎる・・・)
電話でもA子ちゃんに話しました。みんな声聞きたいってさ〜。学校でも普通におしゃべりしたいな〜っていってみました。
完全にフリーズされました。でも、その後、少しづつ思ったことを話してくれました。ずっと喋ってないから、恥ずかしいことや、ずっと喋ってないから、一発目に変な声出ちゃったらどうしよう、とか、、なんかそんな話していました。
でも、喋りたくない、とはいってなかったから、5人の友達と一緒に、鬼ごっことかいろんなことをして、偶然声が出るのを待ちました。話かけたりもしました。
声出して笑った!
そしたら、2月の卒業を間近に控えた頃、声を出して、ふふふって笑ってくれたんですね。確か、鬼ごっこしてA子ちゃんが鬼で友達が捕まった時とかそんな感じだったかな。みんなで喜んだの覚えてます。A子ちゃんは、「しまった」という顔をしていたのが印象的でした。
私、担任の先生に、こっそり話したんですね。
「A子ちゃん、声出して笑ったよ。卒業式の返事できるといいな。」
担任の先生は、「へ〜、笑ったんだ!」と驚いていましたが、もしかしたら、A子ちゃんのお母さんから、私とは電話をしているのは知っていたんだと、今は思います。
それから声を出して小さく笑うようになったA子ちゃん。
相変わらず、電話はしていました。卒業式の話もしていました。
「返事してみようかな、、」と話をし始めたのも2月ごろだったと思います。
卒業式で返事できるかな
3月になって、卒業式の練習が始まったものの、返事はせず、、友達と笑いはするが、しゃべりはしない、という状況だったA子ちゃん。
正直、やっぱり返事は難しいのかな、と半々くらいの気持ちでいた私。
私は卒業文集委員をやっていて、同じ委員の中にグループの友達もいて、作業をしながらA子ちゃんの話をよくしていました。
「大丈夫かなぁ。返事できるかなぁ。電話では何て言ってるのー?」
とかそんな感じの会話。。
A子ちゃんは、電話で話していると、やっぱりまだ迷っている、とよく言ってましたけど、卒業式の前日に電話したときは、「する」って言ってました。
すごく嬉しかったです。頑張って!と言いました。
いよいよ卒業式。
五十音順だと、かなり後半のA子ちゃん。逆に、さっさと順番が回ってくる私。
自分が終わった後は、もうA子ちゃんの順番が来るまで、なぜか緊張。
いよいよA子ちゃんの名前が呼ばれると、
「はい」
言ったーーーーーー!!!できたーーーーー!
小さい声だったけど、ちゃんと聞こえました。
涙出ました。もう、なんだかすごーく嬉しくて。
正直、小学校の卒業式の記憶は、ここしかないんですね、私。
その後、地元の中学に上がったA子ちゃん。私とは違うクラスになりましたが、中学に入ってからは、普通におしゃべりしてました。
残念だけど、あんなに電話していたけど、中学を卒業する頃には、なんとなく疎遠になってしまいました。今頃、どうしてるかな〜。
そういえば、つい先日、母から聞きました。
小学校の卒業式の後、母はA子ちゃんのお母さんに、泣いてお礼をされたらしいです。それあの日に聞きたかったわ〜。30年以上も経って初耳でしたが、久しぶりにA子ちゃんの事を思い出しました。
しかし、今の子ならスマホがあるし、コツンとやらなくても、LINEでできちゃうんだろうな〜。
長めの文章、最後までお読み頂きありがとうございました。