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LTspiceでSパラメータの基礎を体験(スミスチャート編)
LTspiceなどのSPICE系アナログ回路シミュレータの基本は回路動作を再現し、結果を(測定器に置き換えれば)オシロスコープ、スペクトラムアナライザ、電圧計、電流計のように表示します。
しかし、周波数が高くなると回路動作自体を再現することが難しくなり、普通はSパラメータを利用してシミュレーションを行います。測定器で言えばネットワークアナライザに相当します。
内部動作を回路的にシミュレーションしないSパラメータは、ある意味、入出力特性しか扱わないIBISモデルに近いかもしれません。
LTspiceには類似パラメータとして「Yパラメータ」「Zパラメータ」などもありますが、今回、ここで体験するのは高周波で一般的な「Sパラメータ」とします。
■Sパラメータについて
Sパラメータとは端子に入力した信号(入射波)と、そこから戻ってくる信号(反射波)の関係を表しています。
具体的なSパラメータの定義は以下の図のようになっています。例えばPort1のインピーダンスをZinとすると、この入力端子(Port1)に接続するブロックの出力インピーダンスがZinになっていれば反射波は存在しません。言い換えるとb1=0と表現できます。
![](https://assets.st-note.com/img/1688607733751-xVzngLRd7I.png?width=1200)
Sパラメータ付属の番号は最初の数字が出力端子、二番目の数字が入力端子いうイメージです。
例えばS11なら端子1に信号を入れて端子1から出てくる信号、S21なら端子1に信号を入れて端子2から出てくる信号のイメージです。
Sパラメータを求める場合、例えばS11はa2=0と言う条件があります。この意味は「2 port Net-work」の出力インピーダンスがport2の端子に接続される負荷と同じになっていると言うことです。
最初から具体的にイメージをするのが難しいSパラメータの定義が出てきましたが心配しないでください。十分に理解できなくても、ツールとしては大いに役立つパラメータになります。
入出力インピーダンスが共にZoで使用される回路では
S11=入力インピーダンス
S21=順方向挿入損失
S12=逆方向挿入損失
S22=出力インピーダンス
を直接、表すパラメータになっていて非常に使いやすくなります。
以降、具体的な設計例を体験しながらSパラメータのイメージを膨らませていきましょう。
■ネットワークアナライザとは
Sパラメータを扱うには、先ず、パラメータを測定する必要があります。一般にはネットワークアナライザと言われる測定器は使って測定します。
測定ブロック「DUT」を以下の図のように接続して測定しますが、ネットワークアナライザの種類によっては、「パワースプリッタ」や「カプラー(方向性結合器)」が外付けになることもあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1688607886666-DXjea3s7Ts.png?width=1200)
測定結果は後程、説明する「スミスチャート」上などに表示され、マッチング調整などに使われます。
■LTspiceでSパラメータを求める設定
Sパラメータの測定法等がイメージできてきたと思うのでLTspiceを使ってSパラメータを求めてみましょう。
Sパラメータを求めるには「.netコマンド」を使います。負荷の抵抗をR1、信号源をV1とすると設定の仕方は2通りあります。
.net I(R1) V1
or
.net I(R1) V1 Rin=50 Rout=50
前者の場合は信号源のインピーダンスは信号源設定でRser=50、負荷インピーダンスもR1=50と実際に接続しておきます。
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