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「その4」心マトリクス&ゆるアツ

はじめに

 今回は、心マトリクスとゆるアツの関係性について紹介します。
 葛原先生の言葉の中に“ゆるアツ”というものがあります。ゆるの意味は、緩さ。アツの意味は、熱さであると考えています。教師の立ち振る舞いに、この“ゆる”と“アツ”を位置付けることで、子どもの自己理解と自己調整がより正しく、そして深く捉えられるようになるのではないか?という仮説です。


心マトリクスとゆるアツの関係性

教師が発揮したい、「ゆるさ」と「アツさ」

 教師が積極的に発揮したいのは“緩さ・熱さ”です。特に意識しておきたいのは、基本的に“緩さで良い”ということです。ゆるアツの名前の先頭に“ゆる”が来ているのは、緩さこそが、子どもの自己調整に大きな関係を持っているからではないかと思います。
 緩さというのは、何でも許す・寛容でいる、というより、見守っているという意味合いが強いです。ここではあえて“へらへらしている、にこにこしている”と言います。(X:隆さんの言葉を借りました)

自己調整 vs. 他者調整

 というのも、教師は教室の中で比較的簡単に権威を発揮できる立場にあります。その大人が、子どものすること一つひとつに対し「それは〇〇じゃない?」と指摘をしたり、疑惑の表情をしたりしていると、子どもたちは大人の顔色を疑うようになります。先生が良いっていうことをしよう、先生に怒られないようにしよう。これでは、自己調整どころか、先生による他者調整になってはいませんか。
 僕は、人というものは、権威のある他者からの影響を受けた時点で、結果を自分事として受け取ることが難しくなると考えています。教師として、子どもたちにつけたい力は、子どもが自分で自分自身のコントローラーを握り、自分で意思決定する事ではないでしょうか。上記のような状況は、大人が大きなコントローラーを持ち、子どもの意思を無視して、行動決定させているということです。自分のやりたい事ではなく、他者に指示された手段を取った場合、成功や失敗をしてもどこか他人ごとのように感じませんか。(=これらを暑さ・圧さと呼びます)
 そうではなく、教師は環境づくりや補助の役割に徹し、子どもが自分自身で意思決定できるようにするために、常にへらへら・にこにこして待っておくのです。そうすることで、子どもたちは“自分の行動による結果”を正しく受け取ることができ、その結果を積み重ね、分析することで“自分”というものの輪郭が見えてくるのではないでしょうか。この輪郭こそが、自己調整するための現在地であり、トリガーです。そのためにも、教師は“緩さ”を教室内で発揮し、子どもの動きを待つことが大切です。

アツさは不必要なのか?

 では“アツさ”はいつ発揮するのか。基本的によっぽどのことがない限り“暑さ・圧さ”はなるべく使わなくてよいものだと思っています。その理由は先ほど述べたとおりです。
 残りの1つの熱さは“子どものやる気を引き出す・背中を押す”という意味合いが強いです。下の図でいうところの、オレンジゾーン(教師が積極的にフィードバック・具体化する)です。
 この位置にいる子どもたちの良さ・価値について、教師が熱く語ることで、子どもたちに向かうべき目標を示すことができます。向かうべき目標を示すと、向かうべきでない目標が明確になり、二点を比較することで、自分の現在地が正しく受け取れるようになります。現在地を正しく受け取れるようになると、次の一歩が明確になります。
 熱さを意識的に子どもたちに向けることで、次の一歩の助けができるというわけです。内容が重複しますが、『次の一歩』が自分で意思決定したものであれば、自分の行動による結果を正しく受け取れる、自己調整できるようになる、ということです。

最後に

 結論として、教師に大切なのは“緩さ(=待つ力)・熱さ(=語る力)”であり、子どもたちの意思決定・自己調整を応援するための在り方だということです。
 読んでくださり、ありがとうございました。

自己調整と教師の在り方

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