京都〜日光を9日間で走った話2024(その7)
コンビニとスーパーの最も異なる点と言えば、何でしょうか?
営業時間、品揃え、などと答える方もいらっしゃることでしょう。中には店舗数やチェーン店展開などの戦略的な相違点を口にする方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今やスーパーでも24時間営業の店舗も珍しくなく、コンビニでも各種メーカーとの提携により多彩や物品を揃えている昨今、なかなかこれと言った違いの決め手にかけるとも申せましょう。
しかし、私は自信を持って、下記の最大の相違点を主張させていただきます。
「お弁当に箸がついているかどうか」
昨日、軽快にステップを刻んでCOOPの半額シールの付いたお弁当を宿に持ち帰った私でしたが、風呂に入ってさあ食しようとした瞬間その事に気づかされ、まさに絶望の縁に立たされたことを申さねばなりません。まさか今からスーパーに戻るわけにも行くまい。
こうした状況に立たされたことは過去にも何度かあります。その際は部屋に備え付けの歯ブラシで代替することが多かったのですが、どういうわけかその宿の部屋には歯ブラシがありません。このままでは明日の行動への適切なエネルギー摂取が不可能となってしまいます。
「まさか手で幕の内弁当を食べるわけにも行くまい。なにか細長いものは、、、、」
身の回りを探索をすること5分間、私はついに、明日への活力となる栄光の架け橋をズボンのポケットから見つけることができました。その栄光の架け橋。それは、途中の商店で購入したアイスの棒でした。
途中あまりの暑さにアイスを購入して食べながら歩いていたのですが、食べ終わってからも道端にポイ捨てをすることなくポケットに入れて持ち帰る。ジャーニーランのランナーとしては当たり前の行為ですが、それがこの危機にて福音としてもたらされることになろうとは。あいにくその棒は一本しかありませんでしたが、それでも手で食べる煩雑さに比べればなんということはありません。
食べたアイスが明治パルムではなくガリガリ君だったらより柄が長くてお弁当を食べやすかっただろうという思いは無くはありませんが、それでも無事その日の晩餐を完食した私は、この上ない心地よさを持ってぐっすり眠ることができました。
その翌日は、木曽福島から下諏訪までの約60キロ。コースの難易度は高くありませんが、昼頃から雨が降る予報が出ています。案の定、奈良井宿を過ぎたあたりからかなり強い雨に降られます。
こうした雨の行脚は、誰かと同行し会話しながら走るに限ります。最後のチェックポイントの塩尻宿からの約12キロは塩尻峠超えもある厳しいコースですが、ここで前夜同宿だったランナーの方と意気投合し、下諏訪までの間、まるで箱根駅伝での相澤選手と伊東選手のようなランニングデートを行うことができました。
私が「コロナ禍以来、4年ぶりのマラソン三時間半切りを先月のふくい桜マラソンで達成した。ラスト1キロのコースに早咲きの桜が咲いており、まさに目標達成を祝っているかのようで感無量だった」と話せば、その彼からは
「地元の横浜マラソンではどうしても3時間半切りができなかったが、今シーズン初めて達成できた。ラスト1キロで段差に躓いて前のめりに大転倒したが、すぐに立ち上がって走り出し、沿道から大拍手をもらえ、無事目標を達成した」
といったエピソードを披露いただきました。「負けた!」とその当時は思いながら、ずぶ濡れにもなりながら無事下諏訪の宿に到着しました。
明日は全ルート最大の難所である和田峠超え。予報では今日の雨もきれいに上がり、絶好の晴天となる予報が出ています。私は明日の体力の温存のために早々に就寝をすることにしました。
そう、実はその和田峠以上の劇的なドラマが明日待ち受けることになる、そんなことは露ほども思いもせずに。