
【300字小説】お正月の傷心
クリスマス直前に3年付き合った彼女に振られた。所謂イブイブの日にだ。ほかに好きな男ができたらしい。確かに最近は俺たちの付き合いもマンネリ化してきていて、だからこそ普段行かないような場所へデートへ行ったりもしていたのに。彼女からしたらそれがしっくり来なかったらしい。いつものように穏やかに、退屈なくらい平穏に過ごしたかったのだと。けれど落ち込んでいる暇はない。なぜならば年末だから。そして俺は正月だ。
正月である俺は、失恋直後でも年が変われば直ちに、厳かに、粛々と、明けなければならなかった。それは宿命だ。
良い年になりますように。今年は誰よりも俺自身が願っている。「あけましておめでとうございます」