スマートウォッチが急にやる気をなくしてしまって
真っ黒いままの顔をしたスマートウォッチ。習慣で左腕に巻き付けてはみたものの、何も表示してはくれない。それでもいつもの電車に乗れるし、買い物もできるという気まぐれさ。何か変化があるだろうかとボタンを適当に長押ししてみると、ちょっと震えてみたり馴染みのないオレンジ色のアイコンを表示してみたりしてくる。そしてそれもすぐに消えてしまう。また気づくと、ふいに時刻がだけ表示されてすぐに真っ黒の顔に戻る。もう電車に乗せてくれるだけの、すこし重たい腕に巻き付いた謎の物体である。
急なボイコットに辟易しながら、国内シェア率80%超えの製品がこんな感じなら、人間もこのくらい適当にやらせてもらっていいんじゃないかって気分になってくる。チキンなのでいつも通り出社はするけれど、心のなかで顔を真っ黒にして、今日はどれだけ仕事をしたフリで乗り切れるか試してやろうと思う。ちょっと震えてみたり、馴染みのない拡張子のファイルでも量産してみようか。