(再掲) ■土壁の環境負荷 LCA ライフサイクル評価について 2014記事を再掲します
●地球の自然破壊を可能な限り小さくすることを目指すべき、これからの時代に「土壁の家」はどれだけ有効なのでしょう?
その温熱環境や一次エネルギー消費量、CO2排出量については
近年、様々な設計者・研究者の皆さんの研究成果が出ています。
その中、ライフサイクルアセスメント(LCA)評価としての有効性が認められれば、更なる評価につながります。
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その研究を私が非常勤講師として一緒に土の家のワークショップの授業をさせていただいている前橋工科大の先生方と学生、
そして長野の工務店 アトリエDEFさんの共同で行われています。
その中間報告として昨年度の日本建築学会の関東支部で報告された成果の一部をご紹介します。
(発表は前橋工科大の竹中徹君、石川恒夫先生、三田村輝章先生、アトリエDEFの大井明弘さん。
詳しくは2014年2月 2013年日本建築学会 関東支部研究報告集 2014年2月をご参照ください。)
研究は上田市のアトリエDEFさんの本社に土壁とビニール壁紙を使った実験棟を建て、その ライフサイクル評価をするというもの。環境負荷の算出には産業環境管理協会のMiLCAを使用し、項目としてCO2排出量とエネルギー消費量を生産、輸送、施工の面でトータルに比較した結果が以下の通りです。
結果として「土壁の家」が「ビニル壁紙の家」に比べ
CO2排出量がの約21%、
エネルギー使用量が約17%
それぞれ約1/5と 圧倒的に少ないことがわかりました。
土壁の短所として言われる2点について考察として、興味深いことがあげられています。
1 工期・・・工期が長くなると敬遠されがちな土壁の「乾燥期間」は環境負荷に反映されず、環境負荷を抑えることに有効に働いている。
2 施工手間・・・土壁の施工だけを見ると、土壁の家はビニル壁紙の家の
CO2排出量が 約4.6倍、
エネルギー使用量が 約4.5倍。
ただし、生産、輸送を含めた総合では圧倒的に土壁の家が小さい。
特に生産領域では土壁の家はビニル壁紙の家に比べ
CO2排出量が 約1/22
エネルギー使用量が約1/25 と 圧倒的に小さい。
という結果です。
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現代の家づくりではコストをどう抑えるかが大きい訳ですが、
環境負荷=地球へのコストは最終的に人間に還ってくるもの。
地球に負荷を与えれば与えるほど、
それを回収するコストは、我々の子孫の代にわたり将来増え続けます。
この結果も考慮して、これから家づくりをされる建主の皆様に
「自分はどのような家に住みたいか」を選んでいただきたいと思います。