[PTA]役員決めで不満がでて当たり前な理由
先日書いた記事の最後に少し法令について触れました。
でも法令違反はダメだよね
でも、いくら子どもの環境を良くするという大義名分のもとでも、法令に違反しているような運営や活動はダメですよね?
これだけ大きな団体になって、たくさんの人が関わって、たくさんのお金が絡んでくると、いろんな法令(法律や条例など)が関係してきます。
とにかく法令に反するような運営や活動はやめませんか?
たとえばなんらかの法律でPTAの参加が保護者に義務付けられている
→これなら、よほどの事情がない限り「全員参加」で当然。
しかしそんな法令はありません。
だから、実際には「参加したい人だけが参加する集団」です。
①日本国憲法で「結社の自由」として「団体に加入・脱退する権利」が保障されています。
いくら「学校自治」が認められていても、公立学校が保護者からこの「結社の自由」を奪うのは明らかに憲法違反です。
つまり、学校長が「入会・退会の自由」をきちんと認めていない団体を校内に置いていることは違憲である疑いが非常に強い。(基本的に憲法は国や公共団体に対する権利なので、PTA会長さんに対して「違憲」を訴えるのは難しいかも)
②PTAは消費者契約法の対象となる事業主です。
PTAが「消費者契約法」の対象となると書くと、ちょっと違和感を感じる方もいるかもしれません。
どうしても「消費者」という言葉は、「何か販売しているものを購入する人」という感じがします。
しかし実際にはPTAについてもはっきりと条文に書かれています。
消費者契約法第2条第2項「この法律(第43条第2項第2号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。」
とあります。
この中の「その他の団体」について
「「その他の団体」には、民法上の組合(民法第 667 条~第 688 条)をはじめ、法人格を有しない社団又は財団が含まれる。各種の親善、社交等を目的とする団体、PTA、学会、同窓会等といった法人となることが可能であるがその手続を経ない各種の団体がこれに含まれる。」(消費者庁の逐条解説より)(太字処理は付加しました)
と書かれています。
なぜ、「役員決め」でもめる・不満が出るのか
先日のスッキリの放送でテーマになっていた「役員決め」について、なぜ不満が出るのか。
こたえはかんたん
それぞれの保護者が、「役員決め」のシステムを承諾したうえで入会したわけではないからです。
たとえば、「こども1人につきノルマ1回」であろうが、「ポイント制」であろうが、「くじびきで決められる」であろうが、「学校から勝手に指名される」であろうが、
もともと入会時に、「うちのPTAはこのような形で、役員・委員を決めていますが、それでもよろしければご入会ください」という説明があり、
そのうえ入会手続きしたのであれば、それは
「あなた、分かっていて入会したのでしょう」
で終わりです。
もし不満があるなら、それこそ「ご自分が役員になって改革してください」
ということになります。
しかし・・・・・・・
「PTA入会=消費者契約」という事実
実際には入会時にそのような詳細を説明しているところは少ないかと思います。
また入会届すら存在していない、つまり入会手続きすら行われていないところも少なくありません。
仮に入会届があったとしても、入会(=契約)時にはその内容の詳細を示さなければいけません。
もし十分な説明がなければ「契約取消」の対象となります。
また、個人の権利を著しく侵害するような契約内容は、いくら規約に書いてあろうが「無効」です。。
このあたりは、政府広報オンラインの「これだけは知っておきたい
消費者契約のABC」を見ていただけると、イメージがわきやすいかと思います。
じゃあどうしましょうか
まず、入会届・入会手続きが存在していない学校の場合、そこを調えてもらうことが必要です。
その際、PTAはもちろん①の理由から学校や教育委員会に働きかけることも可能だと思います。
もちろんすんなり「はいわかりました」とはならないかもしれません。
とくに教育委員会は「PTAはうちとは関係ないので~」と逃げる可能性が高いでしょう。
しかし、「消費者契約法に違反して会員を集めるような違法な団体が学校施設の一部を優先的に利用しているのは、子どもの身に危険を感じる」
などと訴えてみるのもいいかもしれません。
入会届・退会届があっても「役員決め」についての詳細を説明がない場合は、
入会しないか、あるいはすでに入会している場合は退会してしまうか、
退会を認められなければ、消費者契約法にもとづいて「契約取消」を行うことも視野にいれる。
(時々、「会費を払ってるから入会を認めた」という論理でゴリ押ししようとする人を見受けますが、そんなことが通用するなら、「霊感商法」やり放題です。)
でもPTAのP会員は同じ地域の人だから
もしPTAを抜けずに、「役員決め」のやり方などを変えていくのであれば、自ら会長などになるか、今の会長さんに働きかけるかしなければいけません。
いつも思うのですが、PTAの役員をしてくださっている方は、基本的に一保護者がほとんどだと思います。
だから、その人たちがいろんなことを知らなくても責めることはしたくありません。
でも、知ってもらう努力はします。
PTAをめぐって起こった法律問題の責任は、基本的に「PTA会長個人」にふりかかります。
ですから、PTA会長さんに、このような形で運営をしていると、問題があったとき大変ですよ。変えていく方法を探りませんか?と提案するのがいいかもしれません。
そうはいっても障壁は高く
そうはいっても、そんなにすんなりいくものではありません。
特に学校長の理解がなければ、PTAの適正化は不可能だと思ってください。
個人情報の問題も深く
運営していく上で、重要になってくるのが個人情報の問題です。
こちらについても看過できません。
少し前にPTAと個人情報について書いていますので、よろしければそちらをごらんください。
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