「枚方市学校園安全共済会」の謎
大阪府枚方市には「枚方市学校園安全共済会」という謎の組織があります。
理事のうちの半分が枚方市PTA協議会(以下、「市P」)から、残りの半分は教育委員会や校長会から出ているにも関わらず、市Pも教育委員会(枚方市)も「うちとは関係のない組織だ」と言っています。(どちらも責任者による正式な回答メールあり)
そしてこの「枚方市学校園安全共済会」が学校の教職員や枚方市教育委員会の職員を使って、「保護者がPTA非会員である児童の差別」を行っています。
「枚方市学校園安全共済会」とは
全国的に学校園での子供たちのけがにかかる費用の負担を補助する保険として「スポーツ振興センター」による共済保険があります。
これはその施設に通うすべての子どもが入会対象です。
大阪府枚方市ではこの「スポーツ振興センター」の共済でカバーできない部分を補うものとして「枚方市学校園安全共済会」というものがあり、
枚方市からも多額の補助金が出されている事業です。
(数年前までは予算の半分以上、ここ数年は事業費の半分)
この「枚方市学校園安全共済会」は「PTA会員の子ども」のみが入会の対象となると共済会の事務員、学校長、教育委員会、市Pは言っています。
しかし、実際の財政状態や、運用方法、共済会の会則、そもそものPTAの活動目的から考えても、
この共済会を「PTA会員の子ども限定」の会員サービスとすることはおかしいのですが、PTAだけでなく、学校や枚方市教育委員会までもが「PTA会員サービス」であると主張しています。
現状の運営で「すべての子ども」を守ることができるのに、なぜわざわざ「PTA会員の子ども」に限定したいのか謎
後に詳しく述べますが、この共済会の掛け金は単位PTAの会計から支払われているのではなく、児童ごとに掛け金が徴収されている現状ですので、
これの対象をわざわざ「PTA会員の子ども」限定にせずに「すべての子ども」としたところで、PTAの会計に何ら影響はありません。
にもかかわらず、本来「すべての子どもを対象」とするはずのPTAが「PTA会員の子ども」限定サービスを学校や教育委員会を巻き込んで行っていることは、公益性があるとは言えません。
「公益性の実現が難しい」「PTA会員の負担が増える」ということもない中で、なぜあえて「PTAの理念」に反するような会員サービスを行うのか理解に苦しみます。
以下により詳しく現状を記していきたいと思います。
PTAの理念と学校
そもそもPTAとはどんな組織でしょうか。
まず大前提としてPTAの活動というのは、その学校の全児童・全生徒を対象としたものです。
PTA会員になった人の子どものためだけに活動する組織であれば、
公益性はありません。
公益性がなければ、学校施設を優先的に(無償で)使ったり、学校の先生に勤務時間中に作業してもらうことはできません。
そのあたりは、「月刊司法書士 2020年2月号」に憲法学者の木村草太先生が寄せられた文章を読んでいただければわかりやすいと思います。
「月刊司法書士」公式サイトのWEB上で無料で読むことができます。
https://www.shiho-shoshi.or.jp/monthlyrep/50745/
とくに24ページの「二、学校とPTAの関係」を読めばわかるように
学校施設の中の一教室を占有して使用し、光熱費も学校側に支払っていないということは、「教室の使用料や光熱費」は市民の税金から支払われているということになる。
地域の他の団体と比べて圧倒的に優先して学校施設を使用できるのは、
会員サービスではなく、学校のすべての子どもを対象としたボランティア団体であるからです。
このことを前提に、枚方市の「枚方市学校園安全共済会」(以下「安全共済」)の運営について考えて行きます。
現状(令和2年度時点)の運営
安全共済の電話番号やメールアドレス等の連絡先は、一般の保護者には公開されていません。
(電話番号は存在しているが、学校のみが知っていて使用できる)
実際の手続きや、掛け金の徴収は学校が行っている。
また安全共済の事務局(電話)は枚方市教育委員会の中にある(利用料は免除)
安全共済の掛け金は「スポーツ振興センター」の共済の掛け金と合算して学校経費として登録している児童の口座から引き落とされる。
「スポーツ振興センター」の共済は全児童が対象である
↑
これらを見ても、どう考えてもPTAの活動ではなく、学校が行っているものにしか見えません。
「PTA会員の子」に限定するなら、すべての子どもが対象の「スポーツ振興センター」の共済会と一括して登録や手続きを行うのは、かなり違和感を感じます。
枚方市民の不利益
枚方市民の税金で給料が支払われている学校の教職員や教育委員会の職員が、「PTA会員サービス」に従事していることは、枚方市民に不利益をもたらしています。
安全共済会は教育委員会内にデスクを置いているが、使用料などは免除されている。単なる会員サービスのための組織であれば、他の団体と比べても著しく不平等です。
安全共済会や教育委員会は「PTA会員の子」に限定する根拠として、共済会の規約に「会員は単位PTAとする」とあるからと説明している。
↓
しかし「単位PTA」の保護の対象は「その学校に通うすべての子ども」であるはず。
仮にこれを根拠に「PTA会員の子ども」と限定するなら、枚方市内のすべての単位PTAは「会員サービスを行うための組織」となり、「すべてのこどものためのボランティア組織」というPTAの理念に背き、「PTA」とは呼べない組織となります。
枚方市では「PTA会員の子」だけが「児童」?
パンフレットなどの表立った資料や、共済会の規約にも「PTA会員の子ども」のみを対象とするという文言はありません。
また令和2年度に行われた包括外部審査においても「PTA会員の子どもを対象とした」という文言はなく「児童」と書かれています。
これは会員限定のサービスであるとするなら、「会員サービス」であることを隠ぺいして、市の補助金を得ているのではないかと勘繰ってしまいます。
枚方市では、「児童」と呼んでもらうためには、親がPTAに入らないといけないのでしょうか?
枚方市は「枚方市学校園安全共済会」に対して、事業費の半分を補助金を出しています。
それは5月1日時点での「学校園管理下の児童数」に基づいて補助金を交付しています。
しかし、その「学校園管理下の児童数」は「保護者がPTA会員である子」は含まれていないのでしょうか?
実際には「全児童数」で補助金を得て、運用は「保護者がPTA会員の子」に限定しています。
このことを枚方市教育委員会は容認しているということが問題です。
「枚方市学校園安全共済会」ではなく、「枚方市学校園PTA安全共済会」?
安全共済会の会則には「会員は単位PTAとする」とあります。
「会員は単位PTAの会員とする」とは書いていません。
つまり単位PTAがとりまとめて、それぞれの学校園で運用していく形ですが、この共済事業の対象児童を「保護者がPTA会員の子」に限定するなら、枚方市の単位PTAはすべて会員サービスを行う集団となります。
掛け金はPTA会費からではなく、児童の口座から
パンフレットなどにはPTA会費と市の補助金で運営されていると書いていますが、実際には児童名の個別の口座(給食費等の引き落としに使われているもの)から児童単位で掛け金を納入しています。
児童はPTA会員ではありませんので、PTA会費で運営されているというのは事実と異なる記述です。
さらに、現時点で児童別に掛け金を徴収する運営方法をとっているので、今のままの運用でPTA非会員でも掛け金を支払えば共済会に加入できることで、だれも不利益は被らないはずです。
逆に児童名で掛け金を徴収している以上、仮に保護者がPTA会員かどうかで加入できるかどうか決まるのであれば、PTA会員であるという個人情報を「枚方市学校園安全共済会」に提供することの同意確認が必要です。
またスポーツ振興センターの共済と合算して引き落とされていたり、実際にけがをしたときの保険金の申請は、スポーツ振興センターに提出する用紙をもって、「枚方市学校園安全共済会」にも申請したこととなっています。
全児童が対象のスポーツ振興センターの共済と、保護者がPTA会員である児童が対象の枚方市学校園安全共済会の共済が、1枚の紙で申請できるのはおかしな話ですね。
受益者負担?
枚方市教育委員会の担当者は「受益者負担だから…」ともっともらしいことを言いますが、これも素人な回答です。
PTAといえば「受益者負担」と言っとけばいいみたいな紋切型(にもなってない)の回答しかできない教育委員会に辟易します。
そもそも、「卒業式のコサージュなどでPTAが配るときに必要であれば、非会員は費用を負担する必要がある」というのが受益者負担の話です。(これはこれで、問題あるとは思いますが)
しかし、この共済会の話は、「枚方市の税金が事業費の半分つぎこまれている共済事業」において、「保護者がPTA非会員の児童はたとえ掛け金を払っても加入できない」という状況なのです。
つまり、「金を払わない」なんて言ってなくて、そもそも「保護者がPTA会員でなければ、その児童は事業の対象から除外される」ので、加入したくてもできないということです。
先ほどのコサージュに置き換えれば、「PTAでコサージュ配るのに、うちは非会員だけど、みんなと一緒にコサージュ欲しいから、費用払うので配ってください」と言った保護者に対して、
「保護者がPTA非会員であれば、お金を払ってもコサージュは配りません」
と言っているのと同じです。
しかもコサージュはすべてPTA会費から購入されているかと思いますが、
「枚方市学校園安全共済会」は事業費の半分が市の補助金です。
なぜこんなことがまかり通っていて、教育委員会も見過ごしているのか謎です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?