アメリカでドンキー3のRTAを走ってきました【SGDQ2024参加レポート】
本記事は、2024年6月30日~7月6日にアメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスで開催されたチャリティスピードランイベント「Summer Games Done Quick 2024(以下、SGDQ2024)」に『スーパードンキーコング3(以下、ドンキー3)』走者として参加したレポートです。イベントやRTAの概要については、以下の記事をご覧ください。
今回は1月のAGDQ2024に続いて2回連続の現地参加となりました。渡航やイベント参加手続き等に関する内容は、前回のレポートに詳しく記載済みですので、本記事では詳述しないことにします。
当選に至るまで
2024年3月、SGDQ2024の走者募集が始まりました。まずは飛行機代を調べ、前回とさほど変わらない金額で渡航できることを確認し、今回も現地参加で応募することにしました。AGDQ2024の際に会った走者達にまた参加する約束をしていたことや、夏は長年の憧れだったMLB観戦も可能であることが大きなモチベーションでした。
4月末のゲームリストでは、GBA版『ドンキー3』当選の文字を発見。8回連続落選中だったため通ると予想していなかったので、発表の瞬間は夢かと思い、受け入れるのに時間がかかりました。
GBA版『ドンキー3』は、GDQ初参加であった4年前からずっと、現世界記録保持者のAnankozとのレースで応募し続けてきた作品です。オンラインのみの応募だったAnankozは残念ながら落選でしたが、そのAnankozからも採用祝いのDMが届き、より一層頑張ろうという気持ちになりました。
ちなみに5月に設けられた2次応募期間(2月14日以降発売のゲームが対象)ではSwitchリメイク版『マリオvs.ドンキーコング』を応募しましたが、こちらは落選でした。
準備期間のこと
現地参加が決まり、まずは同行してもらう友人(幼馴染)との旅程調整を開始。一人旅だったAGDQ2024では移動中心細かったうえ、宿泊代が高くついてしまったため、次に渡米するときは可能な限り2人以上で行きたいと考えていました。「大谷とGDQ観にアメリカ行こうぜ」「いいよ」という脊髄でのやり取りを経て、友人の初海外旅行が決まりました。
早速AGDQ2024の際に経験した手続きの流れをそのまま友人に共有し、パスポートの作成からGDQの参加登録までを済ませてもらいました。5月9日には2次応募分の枠を除くスケジュールが発表されたので、このタイミングでロサンゼルスでの観光を含むスケジュールを確定させ、フライトやホテルを確保。AGDQ2024では到着2日後の出番が時差ボケのせいで少し辛かったので、今回は会場入り前に4日間たっぷり観光し、その間に体内時計を調整するプランを選択しました。
解説者探しについては、以下の理由で難航しました。
GBA版『ドンキー3』の海外走者はヨーロッパに多く、現地参加可能な走者がいなかったこと
現地のランでは解説者にも現地参加が求められるようになったこと
最終的に、AGDQ2024の『ドンキー1』と同じくV0oidとGlanに解説してもらうことになりました(彼らはGBA版走者ではないため、Anankozが解説に必要な知識をまとめてくれることになりました)。また、日本語解説については4年前のRTA in Japanでもコンビを組んだアジーンさんにお願いしました。6月にはRTA EXPERIENCE #11にて初めてオフラインで解説いただき、SGDQ2024に向けて余裕のあるスケジュールで準備を進めました。
プレイの練習としては、上の国内イベントに向けて4年振りとなるリハビリに取り組んだほか、6月の帰省期間に実家でワールド別の練習に取り組みました。自己ベスト49分41秒に対して、ワールド別ベストタイムの合計が49分25秒。4年前に近い水準まで実力を取り戻せたと思います。
渡米直前には、北米の走者に渡す約束をしていた『ドンキー2』『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』の初期版カートリッジに加え、現地に持ち込む日本食やお土産を用意しました。検疫の関係で肉類のエキスが含まれる食品はNGなので注意が必要です。
また、今回は『ドンキー3』の時間帯の司会進行(ホスト)について、普段配信を見に来てくれて日本語を勉強しているらしいhappybythreeから、是非担当させてほしいとの連絡がありました。5度目の参加にして初耳だったのですが、ホストのシフト決めにあたっては、走者とホスト側双方の希望をGDQ運営にメールで送ることで、なるべくマッチングしてもらえるよう考慮されるとのこと。メールを送った結果、希望通りhappybythreeにホストを担当してもらえることになりました。
その他、本番までの期間で以下のフォーム類に必要事項を記入しました。
走者向けフォーム(タイマータイミング、使用するハード等)
走者Tシャツ受け取り用フォーム
リストリーム解説者向け情報提供フォーム
SNSプロモーション画像用フォーム
4つ目はイベント1週間前から投稿される走者紹介画像のための情報です。今回始まった新たな取り組みですが、イベント開始前から個別に取り上げてもらえるのは有難い限り。
イベント直前には若干体調を崩してしまいヒヤリとしましたが、抗原検査は陰性で一安心。処方された薬で症状(喉の痛み)もすぐに落ち着きました。出国前週に別イベントへの運営や参加が重なり、ゆっくり休める時間を確保できない状況だったので、今後は遠征前の体調管理にもっと気をつけたいところです。
渡米期間のこと
観光編@ロサンゼルス
(GDQに関わる内容だけ読みたい方は、本節を飛ばして「SGDQ編@ミネアポリス」へ進んでください。)
6月30日。出国当日の朝は4時に起床し、Japanese Restreamで海外イベントの『マリオvs.ドンキーコング』RTA解説を担当しました。その後は通し練習と荷造りを済ませ、正午に家を出て羽田空港で友人と合流。ロサンゼルス行きの機内では3時間ほど眠れました。
ロサンゼルス到着後はLAX FlyAway(シャトルバス)でユニオン駅へ移動し、駅構内のTraxx Restaurant & Barでハンバーガーを食べました。チップは基本的に料金の20%前後。レシートにチップ額を記入し、カードで支払います。食事後はUberでホテルへ移動。友人は寝室の通気口がうるさく寝付けないようだったので、フロントに連絡し、ホワイトノイズマシンを手配しました。
翌日は朝からユニバーサル・スタジオ・ハリウッドへ。お目当てのニンテンドーワールドに1時間早期入場できるアーリーアクセスチケットを用意し、朝7時からゲート前に並びました。ゲートからニンテンドーワールドまではかなりの距離があるので、7時半には園内に入りぞろぞろと移動開始。
7時50分ごろニンテンドーワールドに入ると、マリオ映画で見た景色が目に飛び込んできて、いきなり感涙。マリオカートに並んでいる間に通ったクッパ城には、壁抜けに利用できそうな柱もありました。その後は園内の他のアトラクションを半日かけて楽しみ尽くしました。この日のチケットはアーリーアクセスが30ドル、入場券が149ドル。高額ではありますが、入場券には2日目無料の特典が付いてくるので、2日かけてじっくり回るのも良さそうです。
夕方からはサンタモニカへ移動し、20時の日没までゲームセンターで豪遊したり、The Lobsterで蒸しロブスターを食べたりして過ごしました。西海岸の夕暮れは言葉にできないほど綺麗でしたが、最も印象に残ったのは爆速で回る観覧車でした。
ロサンゼルス3日目はゆっくり10時に起床。友人はドアを叩いても電話を掛けても12時まで起きて来ないので心配しましたが、14時間ぐっすり寝ていただけでした。お昼はサブウェイのサンドイッチをホテルの中庭で食べ、夕方ごろドジャースタジアムへ向かいました。
初めてのドジャースタジアムはとにかく規模がデカく(駐車場だけでも約16,000台)、試合前から大興奮。スタジアム名物のドジャードッグには、自分でピクルス等をトッピングします。味は普通のホットドッグですが、球場の雰囲気込みで絶品です。チケットはネット裏の2階席(ロッジレベル)で100ドルの席でした。
試合はいきなり大谷の2ベースヒットを皮切りに先制すると、中盤には綺麗なセンター前ヒットで2安打目。試合は7回途中まで2-3でリードを許す展開でしたが、大谷の活躍は十分見られたのでこれ以上は望まないようにしよう、と友人と話していると……
大谷の第4打席は何と27号逆転2ランHR!このためだけに今回の旅費を全額払う価値があると思えた瞬間でした。その後は再逆転を許すも、9回裏2死ランナー無しからの3連打でドジャースは逆転サヨナラ勝利。隣に座っていた地元ファンのおじさんとハイタッチして喜びを分かち合いました。ホテルに帰ってからの祝勝会で飲んだビールは、人生で一番美味しく感じられました。
4日目はロサンゼルス観光最終日。せっかく部屋に広いキッチンがあったので、ランチは近くのスーパーで食材を購入しパスタを作ることに。見慣れない調理器具の使い方に戸惑いながらも、初めての料理配信を楽しみました。
午後からはグリフィス天文台から360度広がる絶景を眺め、ハリウッドに移動して街歩き。その後のユニオン駅への移動では初めて地下鉄(レッドライン)を利用しました。安全面を考えてここまでの移動は全てUberでしたが、一律1.75ドルで乗れる地下鉄は破格の安さです。
ユニオン駅ではPhilippe The Originalでロサンゼルス名物のフレンチディップを食べ、2夜連続となるドジャースタジアムでの野球観戦へ。球場では2300円相当の高級たこ焼きに並びました。この日の試合は投手陣が崩れ、4-12での敗戦。初回に大谷のヒットや3、4番の連続ホームランが出たのが唯一の盛り上がりでした。帰りはユニオン駅まで無料のドジャースタジアムエクスプレスを初利用し、日付が変わる直前にホテルに戻りました。
翌日は早朝の飛行機でGDQ会場へ移動する予定でしたが、さすがに疲労が溜まっていたのでお昼の便に変更。ロサンゼルス国際空港で軽食を済ませ、ミネアポリスへと移動しました。
SGDQ編@ミネアポリス
7月4日夕方、ミネアポリスに到着。アメリカ国内の移動ですが、時差があるのでこの日は1日が22時間しか無く、不思議な感覚です。常に30度付近でカラッと晴れていたロサンゼルスとは対照的に、ミネアポリスでは小雨が降っており日本に近い気候でした。
GDQも5日目に突入したこの日は、夕方にどうしても現地で見たい作品があったので、電車を乗り継いで急ぎ会場へ。入念な下調べも幸いして余裕もって到着、ホテルとイベントへのチェックインを済ませました。受付ではネームパスに加えて無料のレッドブルとドリトス(いずれもスポンサー)も受け取りました。
スタッフ付き添いで会場内のガイドを受けつつ各部屋を回ると、走者待機スペースにはRTA犬、Peanut Butter君がいました。AGDQ2024ではオンラインで『Gyromite』を走る様子を現地から応援し、一目でファンになったのですが、今回は現地参加と聞き、絶対に会場で観ると決めていたのでした。
試合が始まると満員の客席はドジャースタジアムに勝るとも劣らない大盛り上がり。MLB式の応援でPeanut Butter君の走りを応援しました。最後は延長11回裏に劇的なサヨナラホームランで幕切れ!GDQ現地でしか味わえない最高の瞬間にいきなり立ち会えました。終了後はPeanut Butter君がロビーに現れ、色々な芸を披露するファンサービスも。モフモフの毛皮を触らせてくれました。
その後はThe Yeteeのブースで走者Tシャツを受け取り、100台以上ものモニターが置いてある広いカジュアルゲーム部屋で軽くウォームアップ。解説のV0oidやGlanとも合流し、再会のハグを交わしました。深夜には走者専用の練習部屋で通し練習を行い、この日は眠りにつきました。
7月5日、出番前日。この日はゆっくり起きてGlanが走る『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』を応援した後、会場付近のKeys Cafe & BakeryにてlolFortifyからステーキエッグを奢ってもらいました。日本では朝からステーキを食べるのは考えられませんが、アメリカでは割とスタンダードな朝食とのこと。lolFortifyとは日本のゲームソフト2本(『ドンキー2』含む)と北米版『マリオ&ルイージRPG2』を物々交換し、スーパーでお土産用のレッドブルを大量に購入して会場に戻りました。
午後はGTAceによる『スーパーマリオブラザーズ』を鑑賞。本番直前に壇上で5分切りをマークしたという世界トップクラスの走りを堪能しました。夕方には巨大なブラウン管でリハーサル。細かいバックアップやテクニックを解説陣に共有しながら52分台で完走しました。
リハーサル前には機材トラブルが発生。長距離の移動を経て接触不良になってしまったのか、SFCコントローラーをゲームキューブに繋ぐ変換アダプターの調子が悪く、急に全ての入力が受け付けられなくなる事態に。World 9 Gamingの窓口に機材を持ち込んでチェックしてもらいましたが、結局改善できず。本番で問題が起こらなかったので良かったものの、予備を用意することが難しい機器の不調は勘弁してほしいところです。
夜は走者仲間が皆『スーパーマリオワールド』のレースを観たいとのことだったので、その間にHell's Kitchen Minneapolisで友人とディナーへ。お目当てはフライドポテトにグレービーとチーズがたっぷりかかった料理「Poutine」。AGDQ2024で初めて食べて以来の大好物ですが、友人も気に入ってくれたようでした。
ホテルに戻るとインタビュー終わりのBubziaさんにロビーで遭遇。翌月参加予定のRTA in Japanの話などで盛り上がりました。次の日の午後に『スーパーマリオ64』を会場で応援することになるのですが、いつもながら目隠しとは思えないほど鮮やかでした。
出走当日の朝、起きた時点では1時間ほどの押し進行。勝負飯の白米と味噌汁を食べ、まだ人の少ないカジュアルゲーム部屋で最後の通し練習を行いました。Apricot & Strawberry味のレッドブルで気合を入れて、45分前に待機部屋へ。注意事項の説明を受けてステージ上へ移動し、音量調整や動作確認を済ませると、あっという間に12時台の本番を迎えました。
本番では「ふわふわダクト」の壁抜けを1ミスした以外は概ね好調。特に、ゲーム内の時を止める1F技がどちらも1発成功だったのは良かったです。ラスボス戦ではカメラマンがモニターに接触してしまい、使用中の画面が揺れた影響でミスをしてしまう小さいトラブルはありましたが、52分39秒という悪くないタイムで完走。クルールのダメージボイスを会場の皆で真似したのが印象に残っています。出番後は走者が壁一面に寄せ書きをするスペースに案内され、ローマ字とひらがなのサインを書き残しました。
完走後はバックコーチに座って応援してくれた皆と11人で近くのBrit's Pubへ。ここでもPoutineを頼みましたが、1人前14ドルでバケツのような山盛りの量が出てきて、注文数を間違えたのかと思いました。味はもちろん最高でした。
夜は『マリオvs.ドンキーコング』走者のViolinと約束していた、2人プレイモードのRTAを楽しみました。Violin持参のノートPCで録画も行ったため、後日記録動画として申請し、協力プレイでのフルゲームラン(リーダーボード上初)として形に残すことができました。普段は絶対に実現できないコラボを起こせるのも現地参加の醍醐味です。
その後はホテルのプールとジムで軽く運動した後、今回の大トリ、V0oidによる『スーパーマリオRPG』の応援に向かいました。中盤のスーパージャンプ100回成功で大きな拍手が起こると、最終盤には国境なき医師団への寄付額が250万ドルを突破して会場のボルテージはMAXに。AGDQ2024では最終日を前に帰国してしまったのが最大の心残りだったのですが、今回は最後まで会場の熱気の中にいられて幸せでした。
フィナーレではJapanese Restreamに出演し、前回に続き現地からのレポートを担当させていただきました。フィナーレ終了は午前3時でしたが、そのままホテルのロビーやV0oid達の部屋で別れを惜しんでいると朝5時に。仮眠を挟み7時にチェックアウトを行い、ミネアポリス・セントポール国際空港まで電車で移動。アメリカ最後の食事を済ませました。
帰りの機内では興奮から1時間ほどしか眠れなかったので、翌月にRTA in Japanでの解説を控えていた『ぶらぶらドンキー』のRTA動画をひたすらループして予習しました。羽田空港到着後は友人とお寿司を食べて解散。濃厚な7泊9日の旅が終わりました。
ちなみにYouTubeアーカイブは出番後3時間以内に、イベント全体のアルバムは帰国翌日に公開されていました。また、帰国の翌週にはJapanese Restreamでの振り返り配信を、日本からのオンライン参加だったはるともさん、らちゅさんと合同で行いました。
本番を終えて
まずはイベント参加にあたりお世話になった関係者の方々、期間中現地や配信で応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。特に解説で協力いただいたV0oid、Glan、Anankoz、アジーンさんには大変感謝しています。
また、フットワークの軽さが極まりアメリカまで付いてきてくれた友人の存在も、非常に心強いものでした。今回の旅行に関連する出費は、2人で110万円ほどでした。ちょうど1ドル161円台に突入した期間だったうえ、観光を4日間たっぷり満喫した分高くつきましたが、Uberでの移動費やホテル代を友人と割り勘した分は前回よりコストを大きく抑えられました。
経済的な負担も大きいため、次回現地参加できるのはいつになるか分かりませんが、またGDQに参加できる日が来るまで、今後も変わらずRTA活動を楽しみ続けたいと思います。以上、今回も長文になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。