「RTA in Japan Winter 2022」バーボン愛好家による『進め!キノピオ隊長』解説&ボランティア参加レポート
バーボン愛好家のとんこつです。普段はTwitchにて『スーパードンキーコング』シリーズや『マリオ&ルイージRPG』シリーズのRTAを中心に、基本的に毎日配信しています。
本記事は、2022年12月27日に『進め!キノピオ隊長』解説者として、28日~30日に会場受付ボランティアとして「RTA in Japan Winter 2022」に参加したレポートです。
また、夏に続いて今回もGame*Sparkライターとしての現地レポートを執筆させていただいております。本記事はGame*Sparkには書かなかった内容が中心になりますので、まだの方は先に以下の記事からお読みいただければ幸いです。
解説決定に至るまで
8月15日、「RTA in Japan Summer 2022」閉会のタイミングで、冬の6日間開催が発表されました。応募開始日はその12日後の8月27日、夏の余韻さめやらぬ中でした。夏に落選した『マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー(以下、マリルイ4)』を再応募すると決めていたので、応募受付開始後すぐに手続きしたところ、うっかり応募順で1番に。特に気にしているわけではありませんが、1番目の応募作品は過去にあまり当選していないジンクスがあります。
『マリルイ4』のRTAは応募期間中に大きく研究が進み、9月14日には当時の世界記録にあたる3:13:09というタイムを達成できました。結果はまたも落選でしたが、悔いのない応募になったと思います。その後『マリルイ4』は9月25日に「Long Speedrun Summit 2022」で、10月17日に「RPG Limit Break 2022」で披露させていただきました。
もう1つの応募作品については悩みどころでしたが、蛍火さんより「SFCゼルダドンキーメトロイド ボス逆走リレー」にお誘いいただきました。『スーパードンキーコング』の「Reverse Boss Order」は7月に「Summer Games Done Quick 2022」で披露したばかりだったので、応募にあたり不安はありませんでした。応募期間中は『神トラ』担当の蛍火さん、『スパメト』担当のサスレイムさんが記録を狙う様子を拝見できて勉強になりました。結果はこちらも落選でしたが、冬の会場で「ボス逆走リレー」を是非観たかったとの声を多数いただいたことは嬉しかったです。
採用ゲームリストが発表されたのは、11月6日。自分の落選は残念でしたが、記録を詰め直す機会をいただけた、くらいに捉えてすぐに気持ちを切り替えます。リストの中には、夏の応募一覧で存在を知って以来、密かに当選を祈っていた『進め!キノピオ隊長』がありました。
『進め!キノピオ隊長』自体は未プレイのゲームだったのですが、興味をそそられたのは、その攻略順が理論的に計算されているところです。SLDCさんによる以下の解説記事は専門的な内容ではありますが、たまたま明るい分野だったので、その理論的詳細とSLDCさんの貢献を自分なりに理解できました。
個人的には以下の点が特に素晴らしいと考えています。
攻略順選択を数理最適化問題に落とし込み、求解・実用している点
既存の攻略順が最適であることの理論保証を与えた点
ステージ毎・ダイヤ数別のクリアタイムデータを実際に収集した点
各走者にとっての最適解を(データさえあれば)一瞬で計算可能な点
SLDCさんとは5月にカルチャー雑誌『BANDIT Vol.1』を手渡しいただいた際に初めてお会いし、それをきっかけに配信にお邪魔するなどの交流が生まれました。また、「RTA in Japan」当選前にも他のイベントで何度か『進め!キノピオ隊長』RTAを披露されていたので、それらのランも陰ながら応援していたのでした。
他のイベントで走られる際に解説を担当していたのが、今回の共同解説者であったNozさんです。Nozさんとは個人的に開催しているイベント「Tonkathon」に走者として参加いただくなどのご縁が以前からありました。既に完成されていたおふたりのコンビに割って入るのは躊躇われましたが、それでも「2人解説体制」をオプションとして提案することで、少しでも良い選択肢を検討していただけたらと思い、解説オファーのDMをお送りしました。快諾いただいたおふたりには感謝しかありません。
また、今回は現地ボランティアとしても応募し、会場受付として当選しました。「RTA in Japan」には過去に走者で4回、解説で1回参加していますが、ボランティアでの参加経験はありませんでした。今回は恩返しの気持ちや今後のイベント運営のための勉強目的、仕事内容に対する興味から応募しました。10月の引越しで会場の「note place」までのアクセスが良くなったことも後押しになりました。
準備期間のこと
解説参加が決まり、まずは3人でのキックオフミーティングを11月16日に行いました。SLDCさんが目指す方向性を確認した後、お酒を片手に雑談タイム。本番で披露したバーボン(ウイスキー)の解説や、amiibo発動時の寸劇などのネタは、この時SLDCさんが発案したものが元となっています。また、別イベントの解説や運営で12月4日まで個人的に多忙であったことから、本格的な準備開始を12月5日に設定していただきました。
また、解説を担当するうえで自分も走者でありたいという気持ちから、1週間でRTAを習得するチャレンジ企画を行いました。挑戦にあたっては、2-18「バトルタワーの頂上」でキノピオのamiiboを使用した方が12秒速いということで、その代用品として使えるキノピオの「パワーアップバンド」をNozさんからお借りしました。もちろん、4秒短縮のためにDLCも購入しました。リアルマネーの力は偉大です。
準備期間中に自分で『進め!キノピオ隊長』をプレイしたのは、初プレイのために6時間、練習から初通しまでのRTA関連で20時間ほどでした。タイムは1:36:23と、練習時間の割には悪くないものの物足りない結果に。いずれは1時間30分切りにチャレンジしたいところです。練習に使用したSLDCさんによるRTAガイドは、基礎知識からテクニック解説まで広くカバーされているので、ご興味ある方にはおすすめです。
原稿に関しては、Nozさんが「Puzzle Game RTA Festival 3」用に作成していたものをかいのかせきさんにブラッシュアップしていただき、そこからは3人で協力して内容を練り上げました。本番が近づくと3人でのリハーサルはもちろん、Nozさんとふたりで毎晩のように通話も。上手く息を合わせるための準備に多くの時間を割いていただきました。トーク内容の選定にあたっては「RTA in Japan」の走者向けガイドラインや、SHIGの実況マニュアルを参考にしました。公式用語を意識して使用するうえでは、「コース」のことを普段は「ステージ」と呼んでいるので、その言い換えに最も苦労しました。
本番期間のこと
開幕前日の12月25日、設営作業真っ只中の「note place」にお邪魔して、もかさんから2種類の名札を受け取るとともに、2023年3月にシカダさんと共同主催予定のRTAイベントのフライヤーを搬入しました。フライヤーの配布を快諾いただいた運営の皆様と、封入作業を手伝ってくださった関係者の皆様には心から感謝しています。
26日の開幕は自宅で迎え、夜には練習部屋でSLDCさん、Nozさんと現地リハーサルを行いました。今回はレッドブルだけでなく、運営で用意してくださったラベルレスの水も会場内で提供されていたので、解説者としては非常に助かりました。受付で配布される「N95マスク ラムダライン」の使用感も好みでした。
27日の本番当日は、朝の任天堂ゾーン最初のゲーム『星のカービィ Wii』が終盤を迎えていた6時台に現地入りしました。最後の原稿チェックを済ませて、いよいよ出演者席に移動。技術トラブルで開幕直後に仕切り直しにはなってしまいましたが、その後完走までの80分間は、体感では一瞬でした。SLDCさんのプレイは非常にスムーズで、特にエピソード3ではRTA技の予告→成功→拍手の流れをテンポ良く繰り返す形となり、解説していて楽しかったです。
個人的に1番心配していたのは、「登場から約5分間一言も喋らず、バーボン愛好家として唐突にウイスキーの解説を始める」いう掴みのトークでしたが、会場の笑いが取れて安心しました。3-21「オバケ画廊のワナ」で用意した早口数学オタクパートで噛まなかったのも良かったです。
また、2-3「夕焼けのトロッコマウンテン」に設けた運試しのコーナーで、25%の「キノピオ カート」を引き当てたSLDCさんの豪運もお見事でした。他のおもちゃが出たときのパターンも当然用意しており、「ジャンピング マリオ」が出たらNozさんが、「ドンキーコング」が出たらとんこつが、「ピーチ姫」が出たら翌日『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』を走ったネコしょうゆパフェさんがそれぞれおもちゃを受け取る予定でした。
現地や生配信で盛り上げてくださった視聴者の皆様、改めてありがとうございました。YouTubeのアーカイブも公開から10日で約12万回再生いただいており、SLDCさんのプレイと『進め!キノピオ隊長』というゲームの素晴らしさを多くの方に知っていただくきっかけになれたことを嬉しく思います。また、Twitterなどで投稿していただいた多くの感想やファンアートにも感謝です。
(余談ですが、その日の夜の打ち上げではお店にバーボンもスコッチもなかったため、白州ハイボールをいただきました。)
28日はチャンネルトレーラーの作成等でお世話になったちょろさんとランチをご一緒した後、『進め!キノピオ隊長』のスピンオフ元の作品である『スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド』や、現在34時間プレイして全くクリアが見えていない『Pogostuck: Rage With Your Friends』などを観客席で観戦しました。前者の解説では前日のキノピオ隊長ネタをいくつか拾っていただき、有難かったです。
その後は一時帰宅して、23時からの受付ボランティアに備えて仮眠。朝4時まで初のボランティア業務を行いましたが、運営のbecoさんが一緒だったので心強かったです。シフト中は『大工の源さん~べらんめ町騒動記~』の解説音声が受付まで響いてきて、ふたりで笑いながら楽しく聴いていました。
30日は0時から4時までohonさんと一緒に受付業務を担当してから一時帰宅して睡眠を取り、昼過ぎから夜まで主にラウンジでの歓談を楽しみました。夜ご飯はシカダさんとラーメン納めに。会場周辺の飲食店の多くが年末休みに入っており、バックアップ出番を控えたシカダさんを歩き回らせてしまったのが申し訳なかったです。
31日は目が覚めるとシカダさんによるバックアップ作品『トランシルビィ』の出番が入りそうとのことで、急遽ソファー席へ応援に向かいました。29日に朝まで会場で待機するも結局出番が流れたりしていた様子を近くで見ていたので、最終日に出番が回ってきて本当に良かったと、自分のことのように嬉しくなりました。
年は明けて2023年1月1日。余ったフライヤーの回収と撤収作業のお手伝いのため、朝9時頃会場入りしました。運営陣とスーパーボランティアの方々に交ざっての作業だったので、足手まといになってしまう場面もあり心苦しかったですが、ほろ苦くも良い経験をさせていただきました。最後は残ったメンバーで夕食のお寿司を食べて解散。8日間連続で会場に通った、非常に濃厚で幸せな年末年始となりました。
本番を終えて
SLDCさんとNozさんをはじめ、運営やボランティア、協賛企業をはじめとする関係者の皆様、応援してくださった視聴者の皆様に改めて感謝します。「RTA in Japan」が今後も長く成功を続けることを心より願います。
また、個人としては、現地で多くの方と名刺交換やお話をさせていただき、とても良い刺激になりました。現地で勇気が出ず話しかけられなかったという方もいらっしゃったようなので、今後はもっと話しかけやすい雰囲気を出せるよう善処します。2023年も変わらずRTAを楽しみ続けますので、今後ともよろしくお願いいたします。