のほほん別居58 2021.9.4
今年最初の花火は
寒くて
雨で
そういえば
去年は一緒に見てた
当たり前のように
当たり前の事として
花火がよく見えるねと
買ったこの家で
ひとりで見てる
きっとたぶん最後の夏
半分は雲の中で
あろうことか
あと半分の妄想の中で
違うなにかを描いてる
止まない雨の中
デスクの上であぐらをかき
窓を大きく開けて
あの頃は知らなかった
にごにごのビールを飲みながら
あの頃と同じ窓から見てる
望むとも望まなくとも
あの頃とは違う景色を見てる
激しくなる雨の音が途方もなく優しく
9月のありえない寒さの中
布切れ一枚がむやみにあたたかい
あの頃は後ろばかり見ていて
今は前ばかり見ている
ほんとはそういう人間で
だからひとりでしか生きられない
オーガニックな野菜より
カップラーメンの方が
生きてる実感が湧いたりする
生々しく生きていたい
見て見ぬふりした違和感は
いずれ容赦なく自分に返ってきて
嫌というほどに覆いかぶさる
けどそれに
一番安堵しているのはわたしだ
そっか
嘘でも
弱くていいよと言ってくれたその言葉に
どうしようもなく救われたんだ
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