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対話を重視した校内研究とは?

 先日、僕が取り組んでいるプロジェクトのミーティングに福岡県の小学校の校内研主任の方が参加してくれました。彼女は、事前の指導案作成に力をいれる校内研から、対話とリフレクションを重視した校内研への変革に取り組んでいました。どこの自治体でもある形骸化した校内研究からの脱却を実現するために、試行錯誤して来た話を聞かせてもらう機会になりました。
 僕自身、校内研のあり方にはずーっと課題感を持っていたので、今回、同じ思いを持って校内研改革に取り組んだ先生の話を聞けたのはとても貴重な機会となりました。まず、現状の校内研の課題をあげてみます。

  • ほとんどのメンバーがお客さんになる

  • 授業を行う人への負担が大きい

  • 負担が大きい割にやった後の達成感や学びが少ない

  • なんなら、2度とやりたくないと思ってしまう人もいるくらい

  • 指導案を書くことが目的になっている

  • 子どもがどう学ぶかよりも、教師がどう教えるか

  • 発表が終わったら、研究が終わり

  • 教師の学びの機会になっているのだろうか?

というようなことを感じていて、あげてみればキリはなさそうです。ちなみに僕の学校が取り組んでいた昨年度までの研究はこれらの課題をいくつかは解決できていた自負はあります。(まだまだ、解決できていないところもありましたが、良くはなっていたはず!)

 さて、本題です。今回、話を聞かせてもらった中で自分の学びになったことをいくつか書き残しておきたいと思います。


校内研を改革するために最初にアプローチしたのは誰?

校長だそうです。
やはり管理職の理解があると話がうまく進みやすそう。研究を始める前の年が、ちょうどコロナで年始に2ヶ月ほど休校があった時だったそうで、職員同士の関係性に大きな課題を感じていたそうです。それを何とかしたいと校長に相談したところ、同じ課題感を持っていて、次の年に校内研推進委員長のポストを任されたそうです。
この立ち回りが上手いと思いました。管理職を味方につけて、役職をちゃんともらうことでその後の動きがしやすくなります。自分自身の現状を顧みると、とても足りていない部分だなと反省です。

また、人事が決まった年度末に校内の先生たちに「校内研に対して感じていること」をリサーチし回ったそうです。つまり、職場の先生たちの現状を把握したわけです。この地味だけど、コツコツした動きがものすごく重要に僕には思えました。いくら、推進委員長の理想を掲げいても、他の先生たちがついてきてもらえなければ何も変わりません。そのために職員の願いや思いを知ることを地道にすること不可欠だと改めて感じました。
その中で、さらに大事だと僕が思うのは、「1番反対しそうな人」にこそ個人的にアプローチすることです。「反対しそうな人=思いが強い人」だと思います。そのような人は提案を受けた時に、納得がいかなければ必ず反論してきます。もちろん議論を深めることは大事なのですが、職員会議などでの人数が多い場で理解をすり合わせることは難しい部分もあります。だからこそ、先にそういう人とは話をしておくことで、理解し合える可能性が経験上高まります。(大破する時もありますが!)

どのように対話を進めたの?

研究所年度は、まず、先生同士のコミュニケーションの量を確保することを意識していたそうです。そのために月1、2回の校内研の時間には、必ず対話の時間を設定していました。例えば、「なぜ先生になったの?」「子どもの頃学校は好きだった?」というようなお題をもとに小グループで話し合ったそうです。こういったお題は、普段の業務をしている中だと中々話せなくないですか?以前はきっと飲み会の場などで先輩と語り合ったのかも知れませんが、今の時代ではそういった機会も減ってきているような気がしますし、家庭の事情などで、そもそもその場に参加できない人もいた気もします。だからこそ、校内の業務時間内にこういった対話をする時間を確保することで、お互いの背景や教育観を知り合うことで、相手に対する理解や興味が深まっていくと思います。
さらにこの対話を行うときに設定した、3つのマナーがものすごく重要だと感じました。

  • 経験や肩書きに縛られないこと

  • 全員に話す機会が与えられること

  • 全ての意見がまず、受容されること

この聞いてみれば、当たり前のように思えることを、はっきりと明示させながら対話を行うことにとても意味があると思います。日頃の職員室でのコミュニケーションを見ていると、どうしてもベテランの意見が優先されたり、一部の人しか話していなかったり、今までにない意見やイメージがつかないことに拒否反応を起こしていたりする場面は見かけませんか?僕はものすごく経験があります。
しかし、このマナーを明示しておくことで、そういったことをしないことがいいコミュニケーションをつくる要素なのだということを体験しながら学ぶことができるのです。これは是非真似したいと思いました。

今回紹介したことは、この校内研究の序盤の序盤のことですが、長くなってきたので、一旦終わりにしたいと思います。福岡の小学校の校内研主任の方とお話ができるなんて、少し前までは考えても見なかったです。技術の進歩に驚くと同時に、今回の機会を作ってくれたプロジェクトの仲間に大感謝です。

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