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グランド・ブタペスト・ホテル
久々に観たら、めちゃくちゃ面白かった!
めちゃくちゃおしゃれでかわいくて笑えて、しかし最後ズシンと来る。超お勧めです。
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かわいい!おしゃれ!急にどぎつい!
ウェス・アンダーソンという監督は、ハマる人はめちゃくちゃハマる、ハマらない人は何が面白いのかわからん。。。という監督だと思います。
とりあえずこの「グランド・ブタペスト・ホテル」は万人受けかつウェス・アンダーソン印が詰まっているので、まずこれを観るのがいいかと思います。
とにかく、徹頭徹尾左右対称、シンメトリックな画面構成が、徹頭徹尾、かわいい!おしゃれ!ヨーロッパ的なおしゃれ!
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。。。なんだけど、唐突にド下ネタとグロが出てきたりします。それが割と度を越してどぎつかったりして、謎です。それがまた味なんだけど。
お話は、とある有名な作家の墓地の前で、女の子がその作家の本「グランド・ブタペスト・ホテル」を読み始めます。
すると映画はその本の中のお話となり、作家が「グランド・ブダペスト・ホテル」滞在中に聞いた話が元である。と語られます。
話は飛んで、その作家が若い頃にホテルのオーナーの富豪から聞いたお話が語られます。そのお話が。。。と入れ子構造になっています。
でその富豪が若い頃にホテルのボーイだったころのお話が本筋なのですが、
ライムスター宇多丸さんが言っていましたが「我の強いおっさんと利発な若者の、ちょっと世間から浮いた二人の歳の差友情もの、からの疑似家族もの」ですね。わたくしこういうお話大好きです。
シュールで笑えるいいシーンが多い
とにかくシュールで笑えるシーンが多いです。(笑っていいのかこれ。。と思いつつ笑ってしまう)
みんな大好きウィリアム・デフォーが凶悪な殺し屋として出てくるのですが、あまりに凶悪すぎてちょっと笑ってしまいます。
あと、物語後半のスキーのチェイスシーンが名場面なのですが、あまりにもスキーが速すぎて、めちゃくちゃ面白いです。ここは本当に面白い。
修道院から逃げるときに思いっきり像を倒してぶっ壊すのも唐突すぎて笑えます。
油断させて急にズンと来る
と、「面白いなー」と観ていると、これ第二次大戦前のヨーロッパが舞台なのですが、急に戦争の影がズン、と来て、唐突に重くなります。
あまりに唐突で、「え?これで終わっちゃうの?」とビックリしてしまいますが、しかしメッセージとして言わざるを得なかったのでしょう。
Marvelous Grace(驚くほど優雅)な精神は時代を超えて受け継がれていく
それまでの冒険活劇から一転して、かなりきつい終わり方をしますが、しかし、そこからこの物語は入れ子構造である意味が現れてきます。
主人公グスタヴは不幸にも時代の犠牲者となってしまいましたが、しかし彼の「Marvelous Grace(驚くほど優雅)」な精神は、本として、時代を超えて受け継がれていくのです。
てかグスタヴって劇中けっこうしょうもないおじさんなんですが、しかし精神は気高いんですよね。誇りを見失うな!精神的貴族たれ!ってことですね。
「Marvelous Grace(驚くほど優雅)」であれ!いい言葉だなあ。
おしゃれ!かわいい!笑える!ですが、
おしゃれ!かわいい!笑える!だけじゃない、とても複雑で面白い話でした。
お勧めです。