人見知りの話せること

職場の先輩が異動になるので、送別会があった。
おばあちゃんの家みたいな畳張りの部屋にテーブルと椅子が並び、おばあちゃん家で出てくるみたいな煮物やお刺身、焼き鳥とおにぎりが出てきた。
この送別会の会場であった居酒屋は前にも来たことがある。なんなら職場ではお馴染みの場所みたいなものなので、場に関しては今日もおばあちゃん家みたいだなくらいの感情しかなかった。

それよりも何よりも、言いたいのは、私は飲み会が苦手だということである。
職場の人間との関係が悪いというわけではないのだが、いかんせん飲みの席となると自分のいるテーブルはいつも沈黙が生まれるような気がしてならない。リアクションはとれるけれど、自分から話題を振れない。言ってしまえば職場の人間との話題がない。同じ卓によく喋る人間がいてくれると、その人の話す言葉に反応していれば良いので楽だなとか思っている人間だ。

私はインターネットに汚染されているオタクである。ネットミームやオタクには通じるネタの話が飛び交う飲み会なら手を叩いて爆笑して喜ぶのだけれど、残念ながら職場には通じそうなパソコンくんパソコンちゃんはいないし、今日わかったが上司はちいかわのちの字も知らなかった。だからインターネット上では鉄板みたいな話だって恐らく全く通じないだろう。
ゲームの話か死生観の話しかできないような人間だし、世間一般に通じるオチのある持ちネタなんてものも当然ない。
ここまで書いてても我ながらつまんねー人間だなと思う。おもしれー奴と呼ばれるためには、3回くらい転生しないと駄目な気すらする。

そもそもこうして一人で反省会をしている時点で自分の陰キャ具合が如実に現れている気がしてならない。反芻思考とかいうんだっけこういうの。

仲良い人なら仲良く話せるけれど、微妙な距離感の相手にはどう話をしたら良いのだろう。飲み会が嫌いな癖に断れなくて出席して、終わったあと出席したことを後悔するという負のサイクルから逃げ出したい。今日二次会のカラオケからは逃げることができたことだけが唯一の及第点である。カラオケに行くなら歌いたいので、ヒトカラでいい。過去に気の迷いで参加した二次会のカラオケでは一曲もまともに歌えないのに後日きっちり割り勘で料金を徴収された。仕方ないとは思うけれどあれはぼったくりだろう。

おばあちゃん家みたいな居酒屋から駅に向かう途中で、異動になる先輩と少しの間隣で話していたのだが、その先輩からも「人見知りなのが勿体ないね」と言われてしまった。先輩にはお世話になったし事実人見知りなのはその通りなので、先輩との別れる悲しみと自分の駄目さの両方に涙してしまった。

本当に、どうしたらいいのだろう。
幸いにもネットミームが通じてバカ騒ぎできる話し相手は職場でなければいるので完全終了というわけではない。けれど、職場での自分はきっと陰キャの人見知りなんだろうなと思うとやるせない。

静かにゲームと死生観の話だけする飲み会とかないかなあ。最近ゼルダの伝説知恵のかりものというゲームをクリアしたので、MVPはピーハットだよねとか、過去作ふしぎの木の実でとあるダンジョンのボスキャラとして出てきたバロムが知恵かりにも出てきたねという話をしたい。
ふしぎの木の実もあのグラフィックでリメイクされないかなと淡い期待を抱いている。
私が最初に触ったゼルダの伝説なので、私にとってはちょっと特別なのだ。

やっぱり、こういう話ならすらすらと思い浮かぶんだよなあ。

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