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新聞記者vsAI記者

〜シンプルに考えよう〜:〜:〜:〜
テクノロジーや政治や専門知識を省いて、難しいことを誰にでも分かりやすく!
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 トーダイでも非トーダイでも新聞記者には変わらないと思うけど、東大新聞だから仕方ないか^_^

◆プロとセミプロの違い

 出版社で営業をやっていた当時には、やむなく自分で広告特集とかのコンテンツを書くことがありました。プロのライターではなくても、日々クライアント(主に技術系)とお話しをし、毎月自社の技術系雑誌を20冊以上読むと、自然と技術には明るくなるし記事を書く技術も習得します。
 ただ今でも絶対にプロの編集者に敵わないと思うのは正確さは勿論ですが圧倒的なスピード

 90年代半ば、シリコンバレーの支局に席を置いていた当時のこと。週末に某編集者宅に集まりスーパーボウルを観戦中にハイエンドPC誌の記事が一本飛んだとの連絡が入って、日本の編集者から電話。その場にいた記者がちょっと企画していたソフトウェア開発会社の社長インタビュー記事をその場で日本に電話インタビューして、1時間ちょっとで2ページ半の記事を作る。もちろん普段からのコミュニケーションあってこそですが、あの短時間で、クオリティの高い記事を書けるのはさすがプロ。

◆執筆に関わる3つの要素

・スピード
・正確性
・読ませる技術

 当然の話しですが、スピードという意味ではAIが圧倒的に早いのは否定できません。
 そして正確性については、存在するファクトを列記していくという意味でAIが優位。ヒトによる作業も真面目にやる限り優秀なのですが、限られた時間という現実をみると思い込みなどによる間違いが多いのも事実で、これは経験と裏取りに頼るしかありません。
 よく聞かれる生成AIの問題としてハルシネーションがあります。ハルシネーションとは、人工知能(AI)が事実に基づかない情報を生成する現象のことで、まるでAIが幻覚(=ハルシネーション)を見ているかのように、もっともらしい嘘(事実とは異なる内容)を出力してしまうことです。

 最後にヒトに残されたのは読ませる技術です。これについては情緒的な文書力を含めて現時点ではヒトが優位な部分です。生成AIの執筆するコンテンツは正確性については十分ですが、現時点では感情や遊び、無駄の要素が含まれないため、この部分だけはヒトの編集者がリードしています。

◆編集組織の未来

 プロの編集組織では、一般的にポリシーを作る編集長、コンテンツクオリティを担保する副編集長(デスク)、記事を執筆する記者(ライター)というように役割分担がされている。生成AIが台頭する世界では、各役割に変化が生まれてきます。

 2015年に執筆したコラムでは、未来の編集部はCMS+QC(デスクによる品質管理)+マイクロペイメント(執筆者への支払い)に集約されていくと言う予想をしました。

 この枠組みの中でも編集部が特定のライターを抱え込むことはないのですが、新たな生成AIによるエコシステムの中では執筆はAIに置き換えられることになりライターは不要となります。そして品質管理の部分が大きく変わることになると想定されます。
 従来の予測であれば、デスクの役割は記事の品質管理が中心であったのが、生成AIエコシステムではデスクの仕事はAIが執筆した記事に ”読ませる技術” を盛り込んでいくことになります。これは従来的な査読によっての作業ではなく、デスクがプロンプトを作り込み生成AIが魅力的なライティングをできるようにする作業となるでしょう。

◆ヒトとAIの棲み分け

 生成AIの進化が早すぎるので、どんな時間軸で考えるかによりますが現時点で考えられるのは、社内向けのレポートのように読むことが求められている文書はAIが優位。ヒトは自らの実績をアピールするために盛りますが、それは社内向け文書にはノイズ。反対に社外向けのプレゼン資料は読ませる工夫が必要なので、まだヒトによって書くことが優位。
 あとは、どの時点で生成AIがヒトの能力を超えるか?になりますが、プロの編集者(ライターも)であれば、プロンプトの生成を学びましょう。

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