BPOの根本的な課題
最近多い業務フロー改善の相談で必ず出てくるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)。ちょっと問題のある業界なので書いてみた。
◆日本にはBPOは存在しない?
国内でもBPOとしてサービスを提供する事業者は多いですが、これらの企業が、本来の意味でのBPOの機能をしているのか?について考えてみる必要があります。
BPOとは?
BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)は、社内の業務プロセスを一括で外部企業に委託する仕組みであり、自社の専門的な知識・技術を用いて他社のサービスをサポートするビジネスモデルです。本来的には、業務の遂行に加えて、プロセスの改善までが業務範囲に含まれます。
国内でBPOを提供している企業をおおまかに分類すると:
①IT系
プログラミング/Web制作/インフラ保守など
②非IT系
コールセンター/営業/総務(事務)など
となっていますが、国内の代表的なBPOを見渡すとテックプロバイダーや人材派遣会社が中心でそれぞれ提供するサービスが分化されすぎている印象を受けます。
過去に相談を受けた事例を見ると結局のところ、多くのBPOはテクノロジーベンダーや人材派遣会社の延長にしかなっていない、単なる受託企業になっている可能性があります。
IT系のBPOはさておき、非IT系BPOについては、本来人材派遣の上位概念である筈なのですが、実態として業種名のみをアップグレードしている似非BPOであるケースも散見されます。
◆非BPOによるBPOの課題
本来のBPOでない企業によるBPOサービスの問題は何か?ですが、シンプルに言えば十分なサービスを提供できない事でしょう。欧米だとBPOは戦略的なコンサルとして、ビジネストランザクションの処理を行うだけでなく、包括的な改善提案を含めた事業者です。
しかし日本のBPOは、単なる人材派遣会社(あるいはテックプロバイダー)であるため、顧客の言いなりに業務をこなすことに特化しており、自発的に業務の改善提案をすることは得意としていません。
特に近年では業務のデジタル化(DX)が重要なミッションとなっており、このような業務を得意としている人材派遣企業は多くはありません。
私の本職であるイベント業界でも同じような問題がおきており ”イベント運営出来ます!” と言う会社に発注したら、人材派遣会社だったり通訳・翻訳会社だったりということは発生しており、結局、専門のイベント会社を追加で雇ってコスト高くなるケースはよくあります。
最近特に目につく自治体向けBPOというサービスがありますが、某人材派遣企業のサービス概要をみると、基本的には専門人材の派遣サービスであって、本来的な意味でのBPOではないようで、こちらも人材派遣以上のサービスは期待できないような気がします。
◆目的を考えれば答えは見える
それでは、BPOが何をすべきなのか?ですが、まずは顧客が何をやりたいのか?目的にフォーカスすることです。至極簡単な事で、雇い主企業がやりたいのは、特定業務の遂行、そして改善です。
これには、単に顧客の言いなりになるのではなく、常に客観的・論理的な目線で業務を分析し、改善できる部分については、仮に顧客に負荷が掛かろうとも、最終的に全体の最適化ができれば問題がないという意思で取り組むことではないでしょうか?