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JBBFと床屋の違い

 大前提として私はJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)のファンです。だけど他団体も否定する気はありません。単に鍛え上げた筋肉が好きなイチトレーニーなのです。

 ただ一人のマーケターとして考えるといまのJBBFは残念でならないので、感じたこと。筋トレに真面目に取り組んでいる人には腹立たしいこともあるけど、あくまでも一般人にどう見えるかと言う点です。

◆ 異なるものを比較しても意味はない

 JBBFが推進するアンチ・ドーピングと、欧米のプロに見られるステロイド使用は、全く別カテゴリーの存在であって、並べて比較する必要はないと考えています。アマチュアレスリングとプロレスリングが似て異なるものであるのと同じことです。この二つをめくじら立てて詰り合うことはないですよね?ちなみに私もアマチュアレスリングをやっていましたが、プロレスラーをエセ格闘家というつもりはないです。

◆ JBBFの主張

 さて、時折出てくるステロイドユーザー問題。JBBFの方の熱い想いは分かります。ステロイド使用による健康被害、そしてそれにも増して、禁止薬物を利用しての大会出場などなど、問題はいろいろとあります。

 しかし問題の本質は薬物利用そのものではなくて、薬物利用禁止の大会にステロイドユーザーが出場していることです。JBBFの大会に縁もないトレーニーがステロイドを使うこと、健康被害の問題はあれど、JBBFが何かをいう必要はありません。

 ただ、一般大衆のニュートラルな目線で言わせると、一部のJBBF会員(と言うか結構メジャーな人)の言う他団体との違いというのは「だから何?」というレベルです。

1) "JBBFが唯一ステロイド禁止を推進する団体だ!”

2) "他団体は検査してないからステロイド容認だ!”

 1)については部分的に正しいのですが、唯一ではないですよね。そして問題は2)。凄く嫌〜な発言で、こんなことを公益社団法人の役員クラスの方々が公言しているのが一般人にとっては気持ち悪いのです。

 マーケティング的には悪手です。

 唯一ドーピング検査をしている団体というのは単にJADA(日本アンチ・ドーピング機構)が、各競技1団体としか正式な検査協力を出来ないかということが一つ。別に他団体がドーピング検査を避けたいという訳ではないですね。よく比較に出されるFWJも公式にはステロイド使用を認めてはいないですね。

 検査をしていない = 公認

 ではないです。

 私の知り合いでも元はJBBFに加盟していて、現在はFWJに参加している方が数人います。誰もステロイドなんて使っていないし、相澤選手や木澤選手に憧れている普通のビルダーです。でもなんでJBBFの大会に出ないかと聞いてみると・・・・

  • 他団体と言うだけでステロイドユーザーと決めつけるのがウザい

  • 大会運営が選手ファーストではない。特に地方大会ときたら・・・・・

 FWJ等の大会に比較すれば、JBBFはエントリーフィーも入場料も値頃でボディビルの普及には大きな貢献をしています。しかし同時にその種目を広げるために存在する団体が、その普及の足かせになっているのも事実なのです。

◆ 一般人トレーニーは無関心なJBBFと他団体の違い

 普段、消費財からテクノロジーまで、様々な商品・サービスのマーケティングをやっている立場から率直な意見を言うと、JBBFとその他団体の違いは、一般人からみたら床屋(理容室)と美容院の差くらいの違いです。

 海外は知りませんが、日本では理容師と美容師の違いはカミソリを使えるか否か?くらいです。免許の違いなのだけど、根幹は利権じゃないのかと?

 理容師にしてみれば、

 "ウチは理容室だからカミソリ使えるぞ!凄いだろ”
 "美容師はカミソリ使えないからな、本物の調髪師じゃない”

 一般人からすれば、どちらも調髪が目的です。カミソリの使用可不可が、どれだけの人にとって意味があるでしょうか?

 もちろん散髪後のシェービングタイムが大好きという人も多いかもしれないけれど、調髪という行為の中ではオプションです。

 その結果として全国の美容室の件数は理容室の2倍という事実があります(床屋は男性が主な顧客という差はありますが)。もちろん昨今の理容室ブームで客数を増やしている床屋もあるのですが、それはカミソリの利用を売りにしている理容室ではなくて、他の付加価値(ユーザーエクスペリエンス=顧客体験)を生み出している理容室です。

 この構図をJBBFと他団体に置き換えるとこんな感じです(あくまでも外野から見える構図であって裏にある事情は一切考慮していません)。

 JBBFの未来を考えるために必要なのは、「ドーピング検査をしていない団体はユーザー団体だ!」という他を攻撃するメッセージではなくて、自団体の素晴らしさでナチュラルボディビルの素晴らしさを伝えて、他の付加価値を与えていくことだと思います。

◆ JBBFの未来を考える

 業界関係者は避ける話題ですが、元を正せばJBBFと他団体との歴史的な確執が原因でもあって、単なる小競り合いに一般の競技者/ファンが巻き込まれているのが現状です。

 JBBFについては、次のポストで引き続き今後取るべき行動についてマーケティング目線で考えてみたいと思います。

10/8追記:追加のポストを書いてみました↓

JBBFを救いたい!
〜マーケティングでできること〜



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