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派遣現場に潜入?

 本職はマーケティングなのですが、ローカルなSME(中小企業)から事業承継とか採用とか、色々な相談が舞い込んできます。
 中小企業とは言っても数十人〜数百人規模の会社から中には千人規模の医療機関まで、個人企業の悩みは様々です。
 企業の共通部門を中心に増えているアウトソーシングの評価に関するお話しです。


◆共通部門はアウトソースしやすいが・・・

 今日の企業の事務や経理といった共通部門では、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)という形で正社員でなく部門ごとアウトソースするケースが増えていて、大企業では数十〜数百名規模のスタッフをアウトソースするケースもあります。 
 専門職の採用、教育などのコストを考えるとBPOはメリットもありますが、同時に雇用主企業側で部門業務の把握が難しくなるケースも増えています。

◆ブラックボックス化するアウトソース現場

 実は最近アウトソース現場の仕事内容の把握に困っている企業は多く、色々と相談を受けたりしています。
 一般的にはBPOや派遣現場に出向いて、現状の作業内容の把握からフローの問題点探しを行い、改善提案等を行うのですが、近年は現場に中長期に渡り駐在し、より深いレベルでの現場作業フローの理解と改善提案を求められるケースも増えています。

◆"なかのひと"として潜入

 最近の面白いケースでは、実際の現場に派遣社員として入り込むアプローチがあります。
 自然な形で既存の派遣現場に入り込み、リアルな状況把握を目的にしています。短くても数ヶ月の時間は必要となりますが、今日の複雑化した派遣現場のフロー評価には、このくらいドラスティックなやり方が必要ということです。

①派遣先(現場)企業からの依頼
 主に既存のBPOや派遣会社の業務フローが効率的に厳正に行われているかのチェックが目的。
 この場合雇い主企業の社員として現場配属されると派遣スタッフ側が警戒するため、別会社からの派遣として勤務することもあります。

②派遣元(派遣会社)からの依頼
 こちらは派遣会社本社から支店の業務評価と改善が目的ですが、派遣先の雇い主/派遣元の合同で実施されるケースもあります。
 派遣会社の新人スタッフとして配属されるので活動の秘匿性が高く、既存フロー問題点から現職スタッフの本音の聞き取りまで、様々な情報収集が可能です。

◆問題の本質探しがミッション

 過去に派遣会社本社が支社マネージャークラスのパフォーマンスチェックの為に依頼したケースでは、実は本社側のオペレーション改善が必要だった事例もあります。

 実は派遣会社がこのような調査をする場合、課題がどこにあるのかを理解していないケースも多々あります。
 おそらくなのですが、本店&支店規模で運営しているBPOや派遣会社の場合、個別の支店レベルでのオペレーションを把握しきれないため、自社の問題点を見失う事が多いからだと思います。

◆顧客を見失う事も多い

 よくあるのが "顧客は誰なのか?" を見失なっているケースです。

 これは特に窓口や受付で対カスタマー業務を行う場面で発生しますが、現場マネージャーと現場スタッフ間での "誰が顧客か" と言う認識がズレているケースです。最近サポートした医療機関のケースでは:

マネージャーにとっての顧客 ⇒ 雇い主である病院

スタッフにとっての顧客 ⇒ 受診する患者

 窓口を任されている以上、あくまでも顧客は患者なのですが、派遣会社としても競合の多いなか、雇い主企業を繋ぎ留めるために、現場マネージャーが雇い主企業の無理な要望を受け入れたり、雇い主側の問題を放置することが散見されます。特に後者の顧客への忖度が大きな問題を生んでいるケースが多いです。

◆BPOの本来の仕事

 派遣会社とBPOの役割の違いとしては、BPOは顧客現場のオペレーションを創り、それを日々改善していく事が要求されるので、この部分が疎かになってしまうと、只の派遣会社となってしまい、顧客企業としても高いフィーを支払う意味がなくなってしまいます。
 BPOとして重要なことは、単に顧客の言うことを忠実に行うことではなく、より良いプロセスを提案することで共に作っていく事です。単に顧客に従うのであれば、それはただの人材派遣です。

 共通部門業務の人材確保や業務改善のアイデアとして、このよう評価も重要となってきています。

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