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エマージングビジネスを考える

 円安、高齢化、GDPの低下などなど元気のない日本経済。グローバル経済で発生するエマージングビジネスの乗っかることは重要で、それが出来るかどうか?が今後の成長の肝となっていくと思います。

 年末と言うことで、90年代からの気になるトレンドをメモ。


 過去の新興ビジネス(エマージングビジネス)を考えてみると、一番のインパクトがあったのはインターネットであって、これによって新聞、雑誌、テレビといったメディアが変わっただけでなく、世の中の通信インフラが劇的に変わったことを否定する人はいないだろう。

身近にあった年代別のトレンドは?

◆1990年代〜2000年代

 90年代に携帯電話がコモディティとして普及して、国内外のトレードショーでも携帯電話の展示が大きなスペースを占めていた。日本は所謂フィーチャーフォン(ガラケー)の技術革新が進んで、長く国内メーカーが携帯端末市場を席巻していた時期。
 その後、90年代後半から台頭したインターネットによって、自分のいたメディア業界は大きな変革期を迎えた訳で、仕事のやり方も自分のキャリアにも大きな影響を与えたのは間違いない。
 特にインターネット広告の分野は、アドテクノロジーが新聞テレビ雑誌といった従来の広告メディアのビジネスモデルに多大な影響を与えた。

 2000年代に入ってからは、携帯電話やインターネットが大きく成長し旧来インフラの置き換えが進み、日本のクローズドな携帯電話エコシステムがiOSやアンドロイドといったグローバルなエコシステムに置き換えが進んだ。

◆2010年代

 ソーシャルメディアの台頭は、個人にメディアに匹敵する影響力を与えた。特に動画プラットフォームでは多くの配信者が活動するようになり、この時期にでてきた暗号通貨(仮想通貨)は、従来の中央集権化された通貨システムに対して新たな潮流を生んだ。

 ソーシャルメディアと暗号通貨の反映は多くの犯罪も生み出したが、あらゆる世代のエマージングビジネスにおいて、必ず起きているのが詐欺的なビジネス。1989年にNTTが開始した有料情報サービスのダイヤルQ2などでも、偽造テレカによる通話や企業オフィスの会議室忍び込み週末に通話したまま放置して不正な利益を得るなどの問題が発生した。

 また2016年には統合型リゾート推進法が可決し、日本にもいよいよIRリゾートが誕生しカジノが解禁されることとなった。

◆2020年代

 世界的なコロナのパンデミックで幕を開けた2020年代。過去に例を見ない円安が進み、さらには長期化するウクライナ紛争などから資源のコストが上昇し、円安の日本には大きな影響を与えた。
 世界的に大きなトレンドとなったのはグリーンラッシュ。治療用途、娯楽用途を含め、大麻(マリファナ)の利用規制が大きく緩和された。

日本が乗り遅れる2020年代のトレンド

 過去の話はさておき、これからのことを考えると、今グローバルで起きているトレンドについていけるかどうかが重要になってくる。
 様々なエマージングビジネスがあるのだけど、日本経済に大きな影響を与えることが可能な2つのグローバルトレンドがある。

◆IR法(統合型リゾート推進法)

 2016年に成立して、2025年までに国内で3箇所の統合型リゾートを建設し、統合型リゾート推進法。第一期として国内で3箇所のIRリゾートがオープンする。(のちに2031年までに修正?)
 2020年初頭に発生した新型コロナウイルスのパンデミックにより、表向きの議論はあまり進まなくなってしまった様ですが、実は水面下で予定調和的に進んでいるよう。
 長く続いたパンデミック明けで、パニック的にインバウンドツーリズムが回復する中、受け皿としてのIRは成長が見込まれる分野ですが課題となるのが:

・人材の不足
 少子高齢化、外国語人材不足などにより、リソースが圧倒的に不足している。海外から労働者を受け入れるなどと言っても、この円安で日本に魅力を感じる人材はいるのか?

・IRビジネスの誤解
 IRは、単なるハコモノでは成立しない。IR=カジノではない。統合的なエコシステムがあって初めて機能する。

 まだまだインバウンドビジネスがGDPに占める金額は1%と小さいのですが、ホスピタリティは日本の強みを活かせる分野として伸ばしていきたいところ。

◆グリーンラッシュ

 19世紀のゴールドラッシュになぞらえて、グリーンラッシュと呼ばれるカンナビス(大麻)産業。日本でも最近CBD(大麻由来の成分で違法な成分を含まない国内でも合法なもの)については流通しているが、まだまだ一般的なコモディティとしては、大衆の理解が得られていない。
 世界ではウン兆円ビジネスとなっているカンナビスビジネスではあるが、これだけは認められることが無理かもしれない。

 世界の大麻市場の売上は、2031年には1,495億米ドルに達すると予測されていて、2022年から2031年までの予測期間中に20.1%の複合年間成長率を記録する見込み。2023年7月頭の為替レートで21兆円を超えるので徳川埋蔵金(?)と同じ規模になる。
 ちなみに2023年度の一般会計総額が過去最大の114兆3812億円となる予定で、カンナビス産業は国家予算の18%近い規模となる。

エマージングビジネスが理解されない理由

 IRビジネスにしてもカンナビスビジネスにしても実態が見えていないため論理的に判断されていないのは事実。

◆実態が見えていない

 統合型リゾートについては、カジノという側面に注目が集まっていて、本来のビジネスモデルが理解されていない。
 ラスベガスの事例でみると、ビジネスの7割以上はカジノ以外の収入であって、ホテル、飲食、エンタメなど、周辺経済に対して大きな効果があることは間違いない。これらすべてのインフラが相互的に機能し合って初めてIRビジネスは機能する。

 そしてカンナビス産業については、"IR=カジノではない"のと同じように"カンナビス= 違法ドラッグではない"という理解がされていない。

 カンナビス産業においても医療、食品、産業用など、嗜好品として利用以外がのシェアについての数字があれば分かりやすいのですが、この数字が見当たらない。分かっているのは、大麻は医療・産業分野で以前から流通しているので100%が嗜好品用途ではないということ。
 逆に、実際に健康に害がある飲用アルコールやタバコといった嗜好品がほぼ100%のセグメントであってもそれが合法となっているという矛盾が発生しているのは事実。グローバルで見ても、タバコを健康に良いものとして見ている産業セクターは存在しないが、カンナビスをメジャーな産業セクターとして扱う展示会は多い。

◆論理的思考の欠如

 上記の実態を考えれば、絶対にGOの筈なのだけど、そこを論理的に処理できないのが日本の課題。

おそらく世界的な共通認識としては:
・まずは害がないならやる
・まずは儲かるならやる
・問題があれば考え直す

で良い筈なのだけど、そこで出来ない。

 一般的な日本人の感覚は、まだ起きていないマイナス面を考えて考えて絞り出して、それを100%解決しようとする。

だからできない。

私が問いたいのは:
では、過去に事例があるからと進めた事が100%うまく行ったことありますか?

 今考え直せないのなら、日本はこの世界的なトレンドから取り残されます。

◆自ら変わることが苦手

 本来日本人は変化への耐性は強い民族の筈です。大戦、占領、地震、パンデミック、外圧的変化などなど、幾度もの環境変化を経験しても、常に適応して生き延びてきた民族です。

 でも何故か自分からは変われないんですね。

 国力の維持のために重要なプロクリエーション(出生率)の維持。実際に初めて前年比を下回ったのは2005年ですが、1990年代には既に分かっていたこと。でも、有効的な政策は何も行われませんでした。

 ダーウィンの進化論では、環境に適応できたモノのみが生き残ったと説いています。環境に合わせて変化を受け入れられない民族に未来はないのではないでしょうか?

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