年中休業うつらうつら日記(2024年6月8日~6月14日)
24年6月8日
昨日の夕方、Gくんちからキャラバンを借りてきて、息子の部屋の引き払いの手伝いをする。
23時45分ごろに下北スズナリの近くで拾ってくれと言うから、家でお風呂に入ってごはんを食べ、21時半頃出発。
本棚分解するかもしれないから一応工具とか持っていこう。
Gくんが小型冷蔵庫を車載してくれたから、ペットボトルの紅茶と緑茶も持って。
ブックオフに行って時間をつぶそうと考えていたんだけど、出発してすぐに気づいた。
もう、どこのブックオフも閉まる時間だった。
うーん、考えオチだったか。
ゆるゆるとドライブして、環七沿いのガストに入って時間調整することに。
私は抹茶わらび餅パフェ、せいうちくんは小豆クリームパフェ。
こないだ観たえすとえむ原作のドラマの「いいね!光源氏くん」みたいだ。
ここで生まれて初めて「配膳ロボット」を見た。
テーブルの間をするすると通って、胴体部分に注文の品の乗ったトレイを置いてある。
我々の席に来たのでトレイを取って「戻る」ボタンを押したら、またするすると厨房へ帰って行った。
床にレールなどがあるわけではないので、うちのルンバみたいに店内の構造を覚えていて自分で判断して移動するんだと思う。
お客さんとぶつかりそうになった時とか、どうするのかな。
便利になったのか、労働者の仕事が奪われたのか、「鉄腕アトム」に出てくる「米粒に文字を書く名人」がロボットに負ける話を思い出してしばし盛り上がる。
店を出て、ちょっと早めにスズナリ近くに着いて息子に連絡。
「遅れてるけど、もうじき出るね。ごめんね」と返信があって、10分後ぐらいにやって来た。
先日Uさんとの2人インプロコントの会に来てくれた元TVディレクターの人(カンパを3万円も入れていってくれたらしい。親の我々でさえ2人分で5千円だったのに!)がまたパフォーマンスパブの方にも来てくれて、息子のやるインプロ講習会を受けていったそうだ。
「すごいよね、僕みたいな若造から何かを学ぼうって姿勢が。いいつながりができて、嬉しいな」と喜んでいたので、「いい人に会えたね。これからしばらくカナダ行きであなたはいないけど、その人が気が向いた時に通ってくれるといいね」と話す。
私もこないだ話したところでは、息子たちが発信している「若者文化」に職業柄の興味と心からの関心の両方を持っているように見受けられた。
大宮の息子の家まで、せいうちくんがナビを無視して「ドタ勘」で走るので、早く着いたのか遅れ気味だったのかわからない。
頼まれてるのは本棚とその中身だけなので、今夜中にやっちゃおう。
「2人のどっちかもしくは両方がとっておきたい本は、引き取って本棚に並べておこうね」と、まず残す本を選んで、持ってきた段ボール箱に入れる。
息子は「段ボールなくても紐でくくれば大丈夫だよ」と言って箱を用意してなかったのだが、いざ段ボール箱に詰め始めたら「やっぱり段ボールの方が便利だね」とあっさり。
些細なことを面倒くさがるな!引っ越しの時には近所のスーパーやコンビニで箱をもらってくるものなんだ!
とっておく本は2箱ほどで収まったので、続いて我々がもらって自炊してもいいマンガや本。
すでにうちにデータがあるものも多いが、4年ぐらい前にスキャナを代えてから画質がぐんとよくなっているのでもういっぺん取り直しのものもたくさんありそう。
思い切って「600」のエクセレントから「1200」のスーパーエクセレントに精度を上げてみようかな。
データの大きさが単純に倍になるが、こないだクラウドの契約を10テラに上げたからなんとかなるんじゃないだろうか。
思い出深い、柔道部の部室に置いていた小林まことの「柔道部物語」全10巻ももういいのか。
これは個人的に保存しておこうかな。
息子の青春の象徴だもんな。
持ってきた6箱を使い尽くしてしまったので、あとは積み上げてビニール紐でくくる。
息子はやたらに高く積もうとするので、「それじゃ運ぶ途中でずれて崩れちゃうよ」と本を減らさせる。
裁断済みとは言え、本をくくって運ぶことについては我々はすっかり慣れているのだ。
たくさんの本の山ができ、あとは空になった本棚の棚板を外し、持ち出すだけだ。
どうやら真ん中で縦に2つに分解できそうだったので、持ってきたドライバーを使って細い2つの本棚に分ける。
これならキャラバンに楽々積めるだろう。
息子に「ドライバーってあったの?」と聞くと、「ない」と簡潔な答え。
じゃあ、持ち込んだ時にはどうやって組み立てたんだろう?
謎を残したまませいうちくんと息子で本棚を背負って階段を降り、キャラバンに積んで、それから段ボール箱を運んで積み込み、最後に紐でくくった本の山を隙間に詰める。
駐車場まで20メートルぐらいあったので、持ってきた台車が役に立った。
あと、取っておきたい日用品を少し入れた状態のプラケースを2つと、うちから貸し出してる(て言うか。あげたつもり)の電子ピアノを預かってほしいと頼まれ、それは聞いてなかったぞと思いながらも、まあそれぐらい家のどこかに押し込めるだろう、と息子が乱暴に雑貨を詰めるのを見守る。
え、過去のコントライブのDVDとか捨てちゃうの。
我々がもらって帰ろう。
こうして荷物の積み込みが終わり、おなかがすいた息子がコンビニにカップヌードル買いに行くと言うから私の分もお願いした。
引っ越し前夜みたいな気分で食べる夜中のカップヌードルは美味い。
せいうちくんは、
「残りがけっこう大変そうだけど、Mちゃんが帰って来てから2週間ぐらいあるから、あの人ならてきぱきと片づけるだろう。最後は業者さんを呼んで家電とか持ってってもらうってことだし。僕が経験した最悪の引っ越しは、朝、手伝いに行ってみたら他の手伝いの人たちと家主が宴会の挙句に酔っ払って爆睡していて、全然準備ができておらず、炊飯器にまだご飯が入ってるような状態だったやつだったなぁ」と意味ありげに私を見る。
いいじゃないか、なんとかなったんだから!
私たちは用意の2人用寝袋で寝て、息子は続きの窓側の部屋で自分の布団敷いて寝た。
労働のあとは眠い眠い。
でもやっぱり眠れなくて、しばらくマンガ読んでた私だった。
新婚さんのつつましい、でも愛情にあふれた住まいを見ると自分たちが結婚したころを思い出すなぁ。
夢中でやってるうちにここまで来られた。
あとどのくらい行けるかわからないけど、息子夫妻にも我々にも、幸せな日々が降り積もりますように。
と、朝起きたのが今日の9時半。
無理を言って息子の家に泊めてもらったのも、柳家喬太郎さんの落語のチケットを取る日だからなんだよね。
いったんはスマホから申し込むやり方に慣れておこうかと思ったが、やはりPCの方が何かと早いし、慣れてる。
そこでせいうちくんは2台のノートPCをリュックに入れてきてたってわけ。
もう会員ナンバーもそれぞれのPCに入れて会って、ログイン画面が出ていた。
あとは時間になったら猛烈な勢いでチケット争奪戦を行うだけ。
毎回なんとか友人の分も合わせて4枚(会員1人あたり2枚まで取れる)を確保してきているが、10分以内に会員対象の売り出しは満席になって終わってしまう。
1回だけ、取れなかったときに「一般申し込み」で奇跡のリカバリーを果たしたことがあったけど、いったいどうやったのか自分でも覚えてない。
まあ、運だね。
スマホ画面に大きくデジタル時計を出し、9時59分30秒ぐらいから息を止めてその瞬間を待つ。
10:00。
ささっと喬太郎さんの会のURLをクリックし、会員申し込み昼の部2枚を選択し、「座席選択」に移る。
ああ、ここでいつも「ただいま回線が込み合っております。もう一度やり直してください」のメッセージが出るんだよな。
隣ではせいうちくんも苦戦してるが、じきに「取れた!」と大声を上げる。
もうゲットしたのか?!
そのあとはせいうちくんも私の会員番号からログインし直して、2人であと2枚を取ろうと試みる。
またせいうちくんが「取れた!」。
こういうのは器用とかPCさばきが上手いとか関係なく、単なる運なんだけどね、敗北感があるよね。
いずれにせよ来る8月にまた「喬太郎さんを聴く会」が開けそうで、喜んで友人2人に「取れました!」との報を送る。
振り返ればたった8分間の激闘であった。
友人2人ともとても喜んでくれたよ。
真夏の暑さに弱いK子ちゃんはちょっと腰が引けてるようだったけどね。
息子を起こして、
「父さんたちの用事は終わったから、荷物を運ぼう」と声をかけ、支度ができたところでキャラバンに乗って、せいうちくんがハンドルを握る。
昼近くなっていたので道は結構混んでいて小一時間かかった。
家でまた荷物を搬出し、さすがに息子がほぼ1人でうちまで運んでくれたので、せいうちくんはその間にキャラバンをコインパーキングに停めに行き、私は寝転んで眺めてた。
なんとか「余剰の間」に本棚も本も納まって、あとはこれから1年かけて自炊をするだけだ。
「焼肉食べたいな」って息子が言うから、近所の焼き肉屋にランチ食べに行った。
我々だけでは決して来ないが、息子とはよく来るなぁ。
お財布は少し痛い。
24年6月9日
今日は午後から娘の面会だ。
長く停めているとコインパーキング代がかさむので、とりあえず車を走らせて昔よく行ったイタリアンファミレスに行ってみる。
昼近くではあるが、さすがにまだ11時台、すんなり3人座れた。
わりといつもおんなじ物をオーダーする我々はピッツァ・マルゲリータにアンチョビをトッピング、それからキノコとガーリックのスパゲッティ、茄子とトマトのスパゲッティ、そしてこれは絶対に欠かせない「ポルチーニ茸のリゾット」を〆にお願いする。
息子が気を利かせたか自分が食べたかったからかパスタを2つとも大盛りにしてくれたので3人でもいっぱい食べられた。
昔からよく来ていたので、息子もとても懐かしそうだった。
と、息子とせいうちくんが誰かの話をしている。
「Kさんがさぁ」
「Kさんって、誰だっけ?」
2人は顔を見合わせてた。
「僕の元カノだよ」
ああああ、思い出した。
私がすごく入れ込んでてぜひ母子になりたいと熱望してた娘。
「忘れよう、忘れなきゃ、と思ってたんだよ!彼女と別れたショックで、母さん、『もうこれ以上あなたの恋人に入れあげたくないから、今度連れてくる子は結婚する子にしてね』って言ったよね」
「うん、そこは僕が悪かった。でも、ちゃんと今、幸せに結婚してるでしょ」
「MちゃんはMちゃんで可憐すぎて可愛すぎて、遊びに来てくれると浮かれて緊張しちゃうから困る」とぶつぶつ言う私だった。
12時半頃に店を出てみたら、レジ付近には待ちの人がたくさんおり、身動き取れないほど。
外のベンチまで延びていっぱいになってる。
やはり昼食には早めに入るのが大事だなー。
おなかいっぱいになって、13時半からの娘の面会に向かう。
コロナによる隔離体制が少し緩んでいっぺんに4人まで会えるようになっててよかった。
これまでのように2人までだったら、せいうちくんと息子を行かせて私は下のロビーで待ってるつもりだったんだ。
廊下の端のサッシを開けてウッドデッキに出ると、そよ風が吹いていい感じ。
娘は相変わらずしかめっ面をしてることが多いけど、表情に力を入れるとそうなっちゃうんだろうな。
いっぺんだけ、「きらきら星」と言ってみたらとても嬉しそうに笑顔になった。
小さい頃通った「きらきら星園」と毎日みんなで歌った「きらきら星の歌」を思い出してるのかな。
息子が、とてもやさしい顔で娘に頬を寄せて内緒話をしていた。
何の話だろう。
「お姉ちゃん、カナダに行ってくるね」って言ってるんだろうか。
1時間の面会時間のうち45分があっという間に過ぎてしまったので、血中酸素濃度のアラームが鳴りがちなこともあって早めに病棟に戻る。
どうやら花粉症が出ているのが原因らしい。
じゃあ、外気にあててしまったのは失敗だったかしらん。
「弟は1年たったらまた来るよ。父さん母さんはまた近々来るからね」と手を振りながらお別れした。
下のロビーに着いたところで、せいうちくんは「あっ、病棟に渡す書類を忘れていた!」とエレベータで上へ戻り、息子は「ちょっとトイレ」と消えた。
ここに来ると思いだす。
20歳の娘が腸捻転を起こし、急な開腹手術となり、我々夫婦は夜中ずっと待合室に詰めていた。
当時けっこう激務だったせいうちくんはソファで寝てしまい、私は「これだけは!」とつかんできたiPad(当時、Proは存在しなかった)で、昼間入れたばかりの有吉京子のバレエマンガ「SWAN」全14巻を読みまくっていた。
手術中の患者の情報が出ているモニタに、「20歳1か月。女性。手術中」と出ているのを何度見ても「手術終了」にはならない。
最初に会った医師は「3、4時間といったところでしょうか」って言ってたけど、結局手術が終わって麻酔でうとうとしている娘に会えたのは夜も明ける頃だった。
「手術中にどうしても人工肛門を建設せざるを得なくなり、時間がかかりました」と説明されたが、なんだか頭に入ってこなかった。
2人で車に乗り、真東に向かって帰ったのででっかい朝日が正面に見えていた。
私「ダメかもしれない、って、思った」
せ「うん、僕も思った」
私「ダメでも、仕方ないのかな、って思った」
せ「うん、僕もそう思った」
と言葉少なく家に帰り、せいうちくんはほとんど寝ないで会社に行った。
そもそも20歳まで生きられるかどうか考えてなかったので、もう33歳になったんだなぁ、と思ったら涙があふれてきた。
娘の生に意味があるのかないのか、どうしても私にはわからない。
彼女をこのほとんど動けない肉体の牢獄に閉じ込めた張本人として、申し訳ないと心から思う。
トイレから帰ってきた息子に泣いてるところを見られてしまった。
「どうしたの?なんで泣いてるの?」
「娘ちゃんに会うと嬉しいけど、複雑なんだよ。生きてるだけで嬉しいけど、悲しくないわけじゃないんだよ」と言うと、息子は「そうだね」と手をぎゅっと握ってくれた。
今日の息子はお店の方にバーカウンターの仕事で行くのだそうで、我々を家まで送り、その次に埼玉のGくんちに車を返しに行き、そして下北沢に行くというハードスケジュール。
まあ自分たちの部屋の引き払いだからね。
そういえば昨日は定例金曜ZOOM飲み会だったなぁ。
全然忘れてたよ。やはり家族の予定が入るとそれで頭がいっぱいだね。
お客さんとして高校時代の恩師が2人と柔道部の女子キャプテンが来てくれると言って嬉しそうだった。
元気で行ってらっしゃい!
私は私で、結婚35年と65歳の誕生日のプレゼント合わせて最新型の「iPad Pro 13」とキーボード付きケースとapple pencil(USB-Cタイプ)をひとそろい買ってもらって大喜び。
早速起動してiPhoneからデータをたたき起こしてアプリが全部ダウンロードされるのを待つ。
時間はかかったが、これでi文庫HDが入って、これまでよりきれいな画質でマンガが読めるはず。
あああ、綺麗だ。描線がくっきり見える。
256GBだったのを512GBにしてもらったから、今までの倍、本が入る。
本当はナノテクスチャーグラスが使われている1テラにしたかったんだけど、さすがに高いし、テラまでは必要ないからあきらめた。
薄くて軽い。とても嬉しい。
こんな高いものを、
「キミが毎日トイレの便座並みにお世話になる日用品なんだから、納得できるいいものを買いなさい」と言いながらぽんと買ってくれるせいうちくんは最高の夫だ。
せっかくタブレットの性能が上がったんだから、これまでスキャナの600dpi(2番目に精度が高い)で取ってきたスキャンだけど、今後はデータ量が倍になるのを覚悟で1200dpiで取ってみようと思う。
実のところ見た目で差が出てるのかどうかわからないんだが、スキャナにもタブレットにも本気の本気を出してもらいたい!!
そして私のお下がりの重たいiPad Proをもらったせいうちくんは、これまでiPad miniで片ページずつ読んでいたマンガデータを12.9インチの大画面で見開きで見られるようになり、それはそれは感動していましたとさ。
何テラも元データ持ってるんだから、ちっちゃく見てたらもったいないよね。
息子が帰って来てから聞いたら、ずっと彼を見守ってくれて時折FBで励ましてくれる国語のC先生と高3当時担任だったY先生が来てくれたらしい。
私がお母さんにこっそり「男子部キャプテンと女子部キャプテンで、なんとかならないでしょうかね」と聞いて「ないないない。ないですぅ~!!と大爆笑された女子部キャプテンのEちゃんも来てくれたって。
今は警察の刑事課にいて、海上自衛隊員との合コンで知り合った人と結婚したらしい。
いいよね、お国の一大事には一緒に飛び出していけそうだし、互いの仕事にも理解がありそう。
ただ、想像するだに堅苦しい合コンだったのではないだろうか。
パブに来てくれるお客さんには高校時代の友人も多いので、C先生は、
「林賢くんがハブになって10年以上たってもみんなをつないでいてくれる。素晴らしいことだと思う」と言ってくれたんだって。
頑張ってきて、よかったね。
24年6月10日
今日は1日バイトに行っていたのであまり顔を見てない。
夜は一緒に「舟を編む」を観る。
息子は最初あまり興味なさそうだったのなんか忘れたように、夢中になって観ている。
しかしどんなに夢中でも、イマドキの若い者は時折スマホを見て、場合によっては簡単に返信を打っている。
気に入ったドラマぐらい平常心で集中して見なさいよ、まったく。
24年6月11日
息子は昼から演劇の稽古。
わりと早く終わったので20時頃には帰ってきて「今日の夕食は僕が作るよ」と昨日から宣言していた通り、焼きビーフンと味噌汁をまったく手伝いなく自作してくれた。
息子の手料理を食べるなんて、初めてかも。
味噌汁にはキャベツの芯まで入っていて、彼がフードロスを避けようとしている姿勢が見受けられた。
美味しかった。
ずっと観てきた三浦しをん原作のドラマ「舟を編む」の最終回を、今日観ることができた。
息子は大変感動しており、「いいドラマだった。原作とは全く別物で、新しい作品を1本書くぐらいの力が入っていた」とつぶやいていた。
「DVDに焼いてあげようか?Mちゃんも観られるように」と聞いたら、
「いや、僕ら家ではほとんどテレビ観ないから。カナダから帰ってきたらまた見せてもらうよ」って。
荷物を増やしてもしょうがないもんね。
Amazonで20%引き1万7千円ぐらいの中型辞書「大渡海」を模したDVDボックスを売ってて、ドラマ中で柄本弟が天才装丁家として手掛けたあの箱が、ぜひ欲しい。
しかしせいうちくんは「BRなら考えるけど、DVDはやはり画質が落ちる。4Kで観てしまうと、もうDVDでは満足できない」と言って反対している。
確かに録画も焼いたBRもある状態で、箱だけ欲しいからって1万7千円はなぁ…あきらめよう。
「ハルガスミが装丁すれば白紙の本でも売れる」というキャッチフレーズは面白かった。
息子がうちに寝泊まりするようになってもう1か月ほど。
来週にはMちゃんが出稼ぎから帰ってくるし、それまでに部屋ももう少し片づけておいてMちゃんの心労を避けてもらいたいので、土曜には追い返す予定。
いろんな話をしたなぁ。
そもそも彼が「しばらくうちに置いてほしい」と言ってきたのも「僕はなんでも継承が大事だと思っている。お父さんとお母さんからの継承をしっかりして、カナダに行きたい」ということだった。
我々も、これといって今更彼に伝えることはもうないが、カナダで1年Mちゃんとすごしたあとの彼はもう別の関係というか、これが最後の親子の団欒だと思うので、嬉しい。
実際、小さい頃のエピソードや私たちの結婚、娘が生まれた時のことやせいうちくんがずっと私を支えてきてくれたことなどを、これまでも折に触れ話してきたが、まとまった形で伝えられたと思う。
息子の、小さい頃母親の様子が明らかにおかしくて不安だったことも、今はもう理由がわかったし、その頃とは全然違うから大丈夫なんだそうだ。
ただ、他人をほっとけない(常に私の相手をしてもらいたい)私と暮らすのはなかなか骨の折れることで、せいうちくんが引き受けてくれてる限り大丈夫なんだけど、この先も息子の人生に干渉しないでいられるだろうか。
ただ、もし息子がMちゃんと離婚しても実家に戻ってきてもらっては困る、あなたとずっと一緒に暮らす自信はない、とはっきり言っておいた。
だって、そもそも実家から追い出す原因になった「牛乳飲んだコップをすぐに洗わないので途中に白い線が入っていたり底になかなか取れない牛乳の汚れが付いたりしている」の、まだ直ってないんだもん。
2週間ぐらいは「いい子」にしてたが、3週間目ぐらいから地が出てきたように見える。
「Mちゃんに追い出されないように、なんでもよく話し合って、Mちゃんの言い分をよく聞きなさい」と言うしかない。
「チ。-地球の運動の法則-」全8巻でかなり有名になった魚豊の第二作「ようこそ!FACT(東京S区第2支部)へ!」第3巻が出たので、楽しみにしていた息子にすぐ読ませる。
ここまではあまり面白くなくて、この先どう展開するかで価値が決まると言っていたのでわくわくしてたが、案外すぐに返しに来た。
「ダメだった?」
「うーん、かなりダメだね。そもそも次巻で完結って書いてあったけど、まだ何にも描けてない。今の若い人がこういうのに騙されちゃったら可哀そう」
「それは『陰謀論』に騙されること?『陰謀論をバカにする側』に騙されること・」
「どっちにしてもだよ。将来に望みが見いだせない人たちをただ不安にさせてるだけ」
厳しい意見だね。
キミはいろんな意味で「勝手にリア充」な人だから大丈夫なんだろうけど、
24年6月12日
息子に散歩に誘われた。
「お母さんの具合が良かったら、どう?」
健康のためでもあるし、何しろ息子に誘われちゃったんだから断れるわけがない。
いそいそ出かけていきましたよ。日盛りの暑い11時過ぎに。
「どこ行きたい?」と聞かれても、このへんで私が常時用があるのはあそこだけだ。
「ブックオフ」
「近くにあるの?」
「家から南西の方にある。徒歩15分ぐらい」
「散歩、たったそれだけ?」
「それぐらいが今は限界」
日差しの下を往復30分。決してナメていい距離ではない
というわけでやってきましたブックオフ。
どうも息子は本やマンガよりフィギュアやゲームに興味あるみたい。
無理もないか、「鳥山明さん亡くなって、すぎむらこういちさん亡くなって、ドラクエ12はいったいどうなるんだ!」と雄叫んでいるようなヤツだから。
「よく行くブックオフ」というのは決して優良な狩場ではない。
よほどの大変動が起こらない限り、そこにあるマンガや本は先週も先々週も先月も半年前もあったものなのだ。
このマンネリを脱するには遠くのブックオフに行くしかないが、さすがにそのためだけに電車で遠征する気にはなれず、結局、車中泊の途中でしょっちゅうブックオフに寄りたがり、どうかすると荷物を増やしてしまうおまぬけな夫婦が出現するのだった・
今日も収穫なしだけど、息子が一緒だとなんか楽しい。
彼は今、どうもいろいろうまくいきすぎていて、楽しすぎて、「人生の前借をしている」気分なのだそうだ。
「先の分を今使っちゃってて、残りの量が少なくなるんじゃないかと思うんだよね」と弱気なので、
「今、前借してる未来のおかげであなたは成長するから、大きくなるから、必ず大きなリターンを得ることができるはず。今、前借しちゃったあなたは、もう前借しない時の『手札のない自分』じゃないんだよ。未来の自分に投資してると思ってみなよ」と励ましたが、通じたかどうか。
夕方から夜勤のバイトを入れたそうで、パン工場に働きに行くんだってさ。
「何するんだろう。パンを焼かせてもらえるわけじゃないだろうし。袋詰めかな」
「えー、あれシールする機械ってけっこう扱いが難しそうじゃん。初心者バイトには無理っぽいよ」と話し、最後の言葉「いずれにしても消費社会に飲み込まれそうだ」とともによろよろ出かけていった。
散歩の帰り道にコンビニ寄って、私がタバコ買ってたら冷凍ラーメン「買って」って持ってきたのは誰だったんだ。
消費社会が過剰なら、今、家にいくらでもあるカレーでも食べときゃいいじゃん!」
「これ、セブンの限定品なんだよ~」
のまれてるなぁ、消費社会に。
24年6月13日
いつも私が眠りに落ちるのは5時頃なので、特に息子を待つという気持ちでもなくいちおう風呂を沸かしてベッドでマンガ読んでた。
柴門ふみの「薔薇村へようこそ」が4巻で完結したんだが、リゾート地だったところに様々な事情から住もうと思い立った人々を扱った連作マンガ。
あの人の絵はどうしても好きになれないのに、お話づくりが上手すぎる!
あんなドラマチックなこと、一生にいっぺんでも考え付きそうにない。
さすがは柴門ふみであるなぁ、とため息。
そこへ息子が帰ってきた。
起きて待ってたみたいに思われると癪だから、「うたたねして、今起きました~」てな顔でキッチンに行ってみる。
放心した顔でタバコをふかしている彼がいた。
「疲れた?」
「うん」
「何が一番疲れた?」
「パンの廃棄」
「なに、焦げちゃったやつとか、捨てるってこと?」
「ラインを流れてくるパンを見て、形が悪い奴はひょいととって捨てちゃう」
「豚の飼料とかになるって聞いたことあるよ」
「豚も可哀そうに。パンなんか食べたくないだろうに」
「いや、雑食だから何でも食べるよ」
「とにかく、食べ物への敬意が失われそうなんだ。精神的にしんどい。人も多すぎる。もっと小さいとこならいいなぁ」
「そういうところは初心者で飛び込みのバイトなんか雇わないんじゃないの?」
「そうなんだよなぁ…」
カナダに行く前だからもうお金のためだけに頑張れ、って思ってるけど、非正規雇用はいつでもある代わりにきついし、人間的に成長する機会になるかどうかは甚だ怪しいと思う。
何かのスキルを持ってないと、この先はキツイんじゃないだろうか。
彼の中でいろいろ渦巻いてるようだからそっとしといて寝たが、愛する妻と2人でカナダへ1年間行くって美しい夢じゃん。
今はそのことを一生懸命考えて。
24年6月14日
昨日は夜中にいろんなことを話して、ラス前の夜を過ごした。
せ「カナダから帰ってきたらどこに住むの?」
息子「Mちゃんがお母さん大好きだから、自分の実家の近くがいいんじゃないかなぁ。こっちとのバランスもあるから、できれば真ん中あたりに住みたいんだけどね」
せ「へえ、僕らのことも気にしてくれるんだ」
息子「当たり前じゃん」
私「うちは夫婦で仲良くやっていくからそれほど気にしなくていいよ。もっと歳とってきたら頼りにすることも増えるかもしれないけど、その頃はあなたたちも自分たちのことで忙しいでしょう」
Mちゃんちはきょうだいも多いしお母さんは元気で気が若い人だから、何かとMちゃんの助けになると思う。
そもそも東京近辺に住むとも限らない2人だし。
「もう寝ようか」とせいうちくんが寝室に行ったので、今川原正敏の「修羅の刻」をiPadで片ページずつ読んでる息子に私のiPad Proを貸してあげた。
15巻で完結かと思って放っておいたらまだ続いてるので息子のためにも買ってやろうと思ったら、なぜか18巻から20巻ぐらいがコレクター価格になってて、1冊4千円とかする。
21巻と予約した新巻の22巻は平常の値段だ。何が起こっているのか?
こういう時は値引きも値上げもないKindleが頼りになる。
そのへんKindleで買っておいたのを、iPad Pro 13で読んでもらう。
本当は自分でスキャンしたものの方が細かくて綺麗なんだが。
それでも息子は「わー、大きいね!見開きで読むとやっぱり迫力あるなぁ」と喜んでいた。
もし欲しがるようならピクセル数が同じでおもっと安いiPad Air 13を買ってプレゼントしようかと思ったんだ。
せいうちくんにもお古のiPad Proをあげて、大画面で楽しんでもらってる。
要するに私はマンガはできればいい環境で読んでもらいたいのだ。(紙がいいかデータがいいかはまた別の議論)
しかし今朝、息子に改めて聞いたところでは、
「綺麗すぎると画面から絵が浮いちゃって、マンガとして読みにくいんだよ」という感想だったようだ。
買ってあげてもきっとすぐ売り払ってしまうそうだし。
欲しくない人にまで押しつけるわけにはいかないから今回はあきらめた。
自分の幸せと他人の幸せは必ずしも同じじゃないんだなぁと、彼が出かけたあと田村由美の「ミステリと言う勿れ」の既刊を読み返しながらしみじみ思う。
私にはこれほどの幸せはないぐらいなのに。
今夜帰ってきたら最後の夜になる。
この1か月で「少し大人になった息子との家族関係」を味わった。
それでよくわかったが、私は他人のことが気になりすぎて一緒に暮らすと気が張ってしょうがない。
気を使わないで済むのはせいうちくんだけだ。
これから20年ぐらい、衰えながらも今、楽しんでいるようにマンガや本やドラマ、映画を楽しんでいければいいと思う。
未来を作っていきたい年頃の人と現状を維持したい年頃の人は、考えることも行動も違うだろうし、正しいと思うことも間違いだと思うことも違うかもしれない。
なるべく長いこと、親子で話が合う状態でいたいと思うけど、自分にそういう体験がないので想像がつかない。
これも楽しみな初めての経験になるんだろう。
明日からは北海道車中泊の準備をしなければ。
Gくんはいろいろトライしてキャラバンを電化してくれている。
今度の旅ではコンビニで買ったお弁当を暖めて食べることやいつでも冷えている飲み物を楽しめそうだ。
おーい、北海道!もうじき行くぞー!!
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