年中休業うつらうつら日記(2023年8月5日~8月11日)
23年8月5日
前夜の定例ZOOM飲み会には長老もやってきた。
法事で奥さんの国元に行っていたらしい。
他の参加者GくんSくんと来週末の流星合宿についていろいろ話し合っていた。
うちもとっても参加したいんだけど、その翌週にクルーズ行くから、ちょっと無理。
せめて船の上から夜空を眺めることにしよう。
2人とも昨日の妹さんとのやり取りですっかり消耗してしまい、買い物以外は家にこもっていた。
おかげで原作をのひなおのドラマ「明日、私は誰かのカノジョ」第一部を全部観ることができた。
風俗店やレンタル彼女、ガルバ(ガールズバー)、ホストクラブなどについて非常に勉強になった。
「お金は貯まるけど自分がすり減っていく感じがする」のだそうだ。
そりゃそうだろう。
この人がホストにハマってソープに勤め始める話が深刻。
ホストクラブと風俗嬢の間で経済が回っているのだなぁ。
夫婦の安定感を再確認できたよ。
お金のやり取りなしにいつでもできるからなぁ。そう言うと、長老はいつも大真面目な顔で「うちは料金制だった」と暴露する。
様々なメニューに値段がついているそうだ。
結局ほぼとんとんになるらしいのも笑える。
こういう家庭内娯楽なら、いくら楽しんでもいいと思う。
23年8月6日
「明日、私は誰かのカノジョ」の第二シーズンを全部観た。
やはり女性性を売る仕事には賞味期限があると言うか、だんだんランクが下がったお店に勤めるようになるんだな。
若くてきれいなうちにしっかり稼ぐ堅実派もいるが、恋人ができてしまうと生活のルーティンが変わってしんどいらしい。
「そもそもお金もらわないでやるセックスがもう無理」なのだそうだ。
午後は2人とも恐る恐るそれぞれの楽器を練習。
せいうちくんはフルートでドレミファソラシドがなめらかに吹けるようになった。
私も楽譜の最初の1行ぐらいはなんとか弾ける気がしてきた。
「全曲通してやりたいタイプだろうけど、完全に指が覚えるまで1行ずつやるのがいいと思うよ」とせいうちくん。
あいかわらず胸が重い。
妹さんがどんなにお母さんが好きであっても、せいうちくんとお母さんの関係とは違う。
嘘をつかれ、言うことはコロコロ変わり、指摘すると「そんなこと言ってない!」とキレる。
そんな相手とどう話したらいいんだ。
妹さんにとって「お母さんは1ミリもぶれていません」であっても、現実にせいうちくんは様々なことで振り回されている。
このギャップをどう伝えたらいいのか。
せいうちくんは、
「2人とも話の通じる相手じゃない。話さないようにするしかない。鎖国して、長崎の出島だけで細々と交渉を続けるだけ」と割り切るつもりらしい。
でも、それは大人の対応なのか、彼が何が何でも家族ともめるのがイヤで逃げているのか、どっちかわからない。
正直なところ、せいうちくん自身もわからないそうだ。
23年8月7日
整形外科にて、鎮痛ジェルとシップをもらってくる。
腱鞘炎は軽いやつが長引く特殊なタイプだから、入浴中に手を握ったり開いたりの運動をしたり鎮痛ジェルで炎症を抑えて行くしかないそうだ。
シップは院内処方なので薬局に行く用事がなく、せいうちくんが仕事の合間に2人分の皮膚科のリフィルをもらってきてくれた。
1回処方箋をもらって薬局に預けておけば、1カ月分ずつ3回にわたって出してもらえるシステムだ。
皮膚科の薬もこれで3回目。
来週はまた病院に行かなくちゃ。
開胸手術後7年経ってもまだケロイド止めの薬が必要とは、自分はよくよくのケロイド体質だなぁと思う。
ずーっと妹さんのことが尾を引いて、今日はせいうちくんの仕事が終わるなりお風呂も入らず夕食も食べず、寝てしまった。
おかげで夜の1時という半端な時間に起きてしまって日記書いてるわけだ。
睡眠薬を飲み足して、もう1回寝よう。
23年8月8日
本当に何にもしないでぐんにゃりしていた。
マンガすら読む気がしない。
活字を追えば少しはまともな気分になるかと思って図書館で借りた本を読んでみたが、やっぱりダメ。
人間、精神的にダメージを受けるというのは恐ろしいことだなぁ。
ということは、妹さんの方も傷ついているのだろうか。
だが、彼女の好きなものをよく思わないからと言って、すべてを彼女に合わせるわけにもいかない。
彼女は「自分の大好きなお母さんを大事にしろ」と言っているが、せいうちくんにとっても同様に大好きなお母さんにすることはできない。
せいうちくんは自分の身を守るために嫌なものは嫌というしかないのだ。
彼女はせいうちくんの好みを攻撃する。
せいうちくんは彼女の好みに従わないが、攻撃はしない。
息子から連絡があった。
大学の卒業証書がこちらにあるか、という問い合わせだ。
スキャンして送ってやって、「何に使うの?」と聞いたら、「学童保育で働くのに必要みたい」。
こないだ道路整理のバイトを始めたと思ったら今度は学童の手伝いか。
教員免許も保育士免許もないんだから雑用しかできないと思うが、あっという間の展開だね。
「道路整理はやめるの?」
「空いた日に道路整理を入れる方向で考えている」
なんだか急に働き者になってしまったな。
しかも「月に数日働いて20万円もらえる」なんて夢のようなインチキ臭い話ではない。
地に足がついている。
妻のMちゃんの言う通り、親の援助を断ち切ったのが息子のやる気に火をつけたのだろうか。
まことに良い妻は男を頼もしくする。
結婚式やワーキングホリデーの費用にするのだろう。ガンガンかせいでくれ。
23年8月9日
昨夜から長老の山荘で流星群を眺める合宿が行われているようだ。
何日も前からZOOMメッセンジャーグループで「誰が、いつ、どうやってくるか」の打ち合わせをしていた。
長年顔を合わせていない先輩も来るようで、私としては行きたくてしょうがない。
しかし来週から10日間休みを取ってクルーズに行くせいうちくんはこれ以上の無理はできない。
何より、はしゃぎすぎて予定を詰め込み過ぎる傾向のある私が疲れ果てて、また血尿でも出るのではないかと心配しているらしい。
「せいうち家は不参加で残念です。夏季特別ZOOM飲み会やってください」と口惜しい気持ちをつづったら、長老から、
「せいうち家はもう太平洋か?」と。
「船は月曜からです。海の夜空で流星群を探します」と言っておく。
ZOOM飲み会はみんな着いたばかりで疲れてて早寝してしまうので、今日の夜やってくれそうだ。
せいうちくんには、
「えらいね。よくガマンしたよ。船でたくさん楽しもうね」と頭をなでられた。
名古屋のCちゃんは、「もうクルーズ5日前だけど、準備は進んでる?楽しみよね」と励ましのLINEをくれた。
いつも気にかけてくれてて、音沙汰ないと最低でも月イチはLINEで様子を聞いたり励ましてくれる。
大切な友人、賢者Cちゃん。
「外国船だからか、区分がめっちゃ難しい。せいぜい慎ましくフリーの食べ物に群がっているよ」
「そもそも旅行自体が慎ましやかではないのだが…うちも11月にはピカピカのLECSUSが届くよ。また一緒にドライブしようね」と喜びの声。
名古屋人の最終ゴールはレクサスなのか。
かつてはクラウンと言われていたものだが。
午前中は眼科に行く。
目ヤニが止まらないのでここ2週間点眼薬を使っていたが、あまり良くならない。
先日採った検体を分析したところ、ブドウ球菌が出ているそうだ。
それに効く点眼薬を新たに処方された。
2週間たっても改善しないようならまた来てくれって。
治るといいな。
午後は心療内科の通院日。
先日来の妹さんとのトラブルを報告し、気分が重苦しいこと、何もする気が起きないことを報告する。
「そりゃあ、妹さんは遺産を狙ってますね。どこもそうなんだよね。相続は必ずもめる」
「お母さんの介護をしている、と言いたいようですが」
「介護の寄与分なんてほとんどないよ。まあ、ここはダンナさんにしっかりしてもらって乗り切るしかないね。薬はもう目いっぱい出しているから、これ以上は出せません。うちに監査が入っちゃう。罰金払わないといけなくなっちゃうんだよね。30日分出すから、それでなんとかしのいで」と説得された。
今、1日倍量ぐらいのんでるが、もちろん身体に悪いし、もともと薬はやめる方向で考えていて、コロナ発生に従ってのストレスから減薬を一時中止したまま、いろんなことが起こっては打ちのめされて行くので薬は増える一方なのだ。
帰りはくたびれたので贅沢だがタクシーを使う。
5分ほど歩道で待ち、ちょうど来た車に乗り込んだとたん、バケツをひっくり返したような雨が降ってきた。
「いいところで拾っていただいて助かりました。これで路上に突っ立っていたらひどい目にあうところでした」とお礼を言うと、
「最近は異常気象というか、こういう急な雨が多いですね」と運転手さん。
災害用にカセットコンロのボンベを自宅に10本用意してあるのだそうだ。
うちはせいぜい水と乾パンぐらいだよ。
見習わなくっちゃ。
家に着いたところでちょうど薬局から午前中に送った処方箋の目薬とついさっき送った心療内科の処方箋の薬ができていた。
薬をもらって家に帰り、水風呂に入ってエアコンでひと涼み。
毎日暑い。
23年8月10日
迫りくる船旅のために、2カ月放っておいた髪の毛を切りに行く。
ついでに白髪染めもしてもらった。
赤っぽくするのが好きだと知っている担当さんが、
「もう一段階、赤くしてみましょうか」と提案してくれたので、喜んで乗った。
出来上がりはずいぶん明るい。
昔から黒くて多い髪がイヤでしょうがなかったので、嬉しい。
去年の夏に暑さに負けて相当短くしたところから、晴れてボブヘアの形にまでなった。
担当さんも「やりましたね!」と喜んでくれた。
「次に来るのは11月末の結婚式の時になりそうです。さらに長めのボブにできそうですか?と聞くと、
「けっこう伸びると思いますよ。結婚式、楽しみですね!」と笑顔で送り出してくれた。
ちょっとの外出がとてもしんどい。
暑すぎるんだ。
自転車で3分の距離なのに、身体が火照ってしまい、帰るなり水風呂に飛び込んだ。
さあ、ここからはエアコンの効いた部屋でマンガを読んでせいうちくんの帰りを待とう。
20時から山荘組とZOOMする予定なので、晩ごはんは間に合わずにピザ。
向こうでは料理の得意なNさんが来ていて6皿を超えるほどの美味しそうなメニューを写真で自慢する長老。
くーっ、食べたかった!
やはりガッツレンタカーで車借りて、1人ででも行けばよかった!
それか、青春18きっぷで鈍行で行く人いる?という鉄ちゃんのGくんの誘いに乗る手もあった。
せいうちくんがいないとどこへも行く気がしないというのはこういう場合大きな弱点である。
もっとも、船旅を控えているわけで、5年前に毎週のように長老たちと8時間カラオケマラソンをやっていた時は血尿が出るほど身体を傷めてしまったので、ここは行かぬが吉であろう。
「台風が横浜を直撃するじゃないか。船は出るのか」と面白がっているような長老に、
「乗るだけは乗せてもらえるでしょうね。その晩は出航しないってのはありえますが」と答える。
まあベッドと食事にありつければ御の字だ。
40分のZOOMの切れ目には雲が晴れて星が見えて来たらしく、4人の流星観測者たちはビール片手に全員消えてしまった。
ZOOMを閉じて、荷造りの続きでもするか。
23年8月11日
あいかわらずせいうちくんの実家問題で悩んでいる。
2人とも食欲がなくなるほどだ。
なぜ妹さんにあれほど罵倒されなければいけないのか。
なぜお母さんは子供たちを争わせておくのだろうか。
そう悩みながらも、せいうちくんがうらやましい気持ちがある。
彼は「家族の一員である」ことを期待されているからだ。
「望ましい息子、兄であってくれ」と願われているからだ。
実家において、私の存在は否定の対象でしかなかった。
「どうしてあなたはそうなの」
「あなたが勝手だから私たちが迷惑する」
少なくとも、「こうあってくれたら」という期待をされたことはない。
はぐれ者であることが私の存在意義だった。
だから、これからのことを相談され、話し合いに入れてもらえるせいうちくんの立場は羨望ものだ。
たとえお母さんと妹さんが癒着していても、お母さんにはせいうちくんも必要なのだ。
「誰かのスペア」や「比較の対象」ではない。
お母さんが妹さんにこっそり金銭的援助をしていても、せいうちくんは少なくとも「家族信託」の受託者だ。
そんなふうに家のことに関わらせてもらえたらどんなに良かっただろう。
私は、どんなにみじめで歪んだ愛情でも欲しがる「愛情乞食」だ。
「話せば誰でも少しは分かり合えるし、話し合うべきだ」と考える私に対して、せいうちくんは「話すだけ無駄。あの人たちは自分の考え以外のものを認めない。どんなに事実を突きつけたところで、怒鳴り散らし始めて問題をうやむやにするだけだ」と言う。
しかし、じゃあ徹底抗戦かというと「やはり家族だから」と手を緩めてしまうそうだ。
「家族がここまでひどいとは」という気持ちと「家族だからなんとかなるのでは」という気持ちの間で態度を決めかね、立ち尽くしてしまうらしい。
これから起こるであろう両親の老化や病に際して、せいうちくんが「なんとかすること」が大いに求められている。
それを「あてにされている」とうらやむとは、私はなんとさもしいのだろう。
「何にもしないでお金だけ持って行くつもりでしょう!」という恫喝も、本当に蚊帳の外に置かれて参加させてもらえなかった私からすると、問題にかかわっていられるだけマシな立場に思えるのだ。
こうしてせいうちくんと私の思惑は絡み合いながら誤解や無理筋を生み、お互いさえ責め合ってしまう。
どっちも、相手の家族の構造はとてもよく理解できて、それに対してどうするべきかもわかるのだ。
その行動が互いに無理であり、そうできていたらとっくに親きょうだいとの悩みは解消していただろうことまで。
自分の弱さを認めたくない気持ちから、つい相手を責めてしまう。
そこまでわかっていながら傷つけあうのを止められない。
せめて船でゆっくりして浮世の憂さを忘れたいものだが、そもそも出航日に台風が横浜を直撃するコースを取っている今現在、前泊して横浜にいるか朝うんと早く出かけるか、そもそも船は出るのか、悩ましいことだらけだ。
お盆休みにずどんとぶつかってくる台風に、多くの人たちがおろおろしていることだろう。
間が悪い、とはこういうことなのか。
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