いいことがあるよ!

たべっ子どうぶつTimeというものに気づいた。
たべっ子どうぶつのパッケージに描かれているキャラたちが登場するパズルゲーム。

ここ数年たべっ子どうぶつのグッズ、イベント展開をよく見かけるようになり注目はしていたが、このアプリに関してはすこし、おや、とおもうところが散見される。

しかしコンテンツというものは大きくなればなるほど無邪気に楽しむだけでは済まなくなってくるのが常。私も子どもではないから、ただたべっ子どうぶつのかわいさのみに精神を集中させることで、このアプリの表現したかったかわいさを享受することができている。

さて、一番感動したのは、おそらくゲームをはじめたときにしか見られない、ルールを解説する画面での説明文だった。

一度にたくさんつなげるといいことがあるよ!
みたいなことが書かれていた。

いいことがある……。
ものすごく抽象的な言いまわしだが、ここでは適切だ。

具体的に、長くつなげるほど消したときのスコアが高くなる、一定の個数以上繋げるとタップしただけでまわりのピースを一気に消せるボムが出現するなどと説明することもできるが、それらをひっくるめて「いいことがあるよ!」のところがいい。

うちらもそれくらいの感じでやっていきたいものである。
契約するといいことがあるよ!
この薬をのむといいことがあるよ!
勉強がんばるといいことがあるよ!
老後のためにお金を貯めるといいことがあるよ!
投資について知るといいことがあるよ!
この壺を買うといいことがあるよ!
信じるといいことがあるよ!

その人にとってのいいことというのはそれぞれなので、結果実際よかったと思えたなら、それがいいことなのである。無責任かもしれないけれどそれしかない。


兄と一緒に遊んだクラッシュ・バンディクー2を思いだす。三、四歳のころだった。

クラッシュは常に画面手前から奥のゴールに向かって走っていく。
その道中に……
みちしるべのごとくりんごが浮かんでいて……

🍎
🍎
🍎
🍎

🦊
🐾
🐾

なぜか宙に浮かんで自転しているりんごが並んでいて……それをとりながら進む……。

なんかとるときに食べてるみたいな音……? 
咀嚼音をおもわせるような効果音が鳴るのがなおさら、食べている雰囲気があり……、

幼い私はそこばかりが非常に気になった。

それで兄にたずねた。
「りんごはからだにいいの?」

うんりんごはからだにいい。医者いらずと言われているからね。しかしもちろん私がききたかったのはそんなことではない。

主人公の動物はりんごをとると嬉しいのか? りんごをとりながら進むことが彼にとっては喜ばしいことで、つまるところそれがこのゲームをプレイする我々にとっての利でもあるのか、ということをききたかったのである。

でもそれをどのように伝えたらいいか、言葉が拙かったために導き出せず、風邪のときりんごすりおろしたやつ食べるもんねみたいな話になってしまった。

いいことがあるよ!
やさしくていい言葉だとおもった。
りんごをとるといいことがあるんだよ、とあのころのじぶんに言ってあげたい。具体的にどんないいことがあるかよりもきっといいことがあるよと言われたほうががんばれる気がするね。


「斜に構えずにもっと素直に行きましょうよ! あっというまに歳とりますよ。時間がもったいない。きっとこれからいいことありますよ! 週末を楽しみましょう!」

すなおにしててもいいことなんてなにもなかったけど……。

五本指ハムスター✌🏻🐹✌🏻