「ココ」で、また4月から走り始める。

学校に来ただけで先生に抱きしめられる子どもがいた。

朝、教室に入る前に保健室に来て、こっそり軽食を食べ、笑顔になって教室に行く子どもがいた。

家に帰っても、ゴミだらけの部屋で生活し、同じ服を何日も続けてきていることを知ったクラスの保護者からこっそり服をもらっている子どもがいた。

家に帰ると、何が起きたのか、わからないくらい、信じられない姿になっている親を見た子どもがいた。

一生懸命に、今の自分のできる精一杯のことをやってはいるけれど、なかなかうまく学級経営ができない先生がいた。

親が介護の必要な状況になってしまい、自分の家と実家を行き来しながら仕事をしている先生がいた。

ICT,GIGA。次々から次へと出てくる横文字に、何とかついていきたいと思った。思うだけではなく、やろうともした。でも、それが難しい先生がいた。

お迎えの時間になるまで、必死に仕事をし、家に帰宅しても、必死に育児をし、なかなか思うように仕事ができていない自分に涙する先生がいた。

雨が降ったら次から次へと、いたるところで雨漏りが起きてしまう学校があった。

暖房のシステムが古すぎて、冬に体育館を使うには、本当に厳しい学校があった。

やりたい実践があるのに、予算の関係上、最低限のハードが揃わず、工夫することも限界で、途方に暮れている学校があった。

学校全体が荒れた状態になってしまい、そこを立て直すに必死で、毎日放課後の職員室はぐったりする先生たちばかりだった学校があった。

これらの描写はすべてフィクション。ボクが知っている話ではない。

でも、ソサイエティ5.0なんて叫ばれている時代にも、確実に存在している事実。

ボクは、こうしたことがあるかもしれない子どもたちと、こうしたことがあるかもしれない学校で、こうしたことがあるかもしれない先生たちと、一緒に進んでいきたいと思う。

今年度も、あと2日。また新しい一年が始まる。


心からしみでた黒い空に
今夜も星は輝くだけ
やがてくる春の光
息をすいこんだ


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