思い出査定、中学編

二週間ほど前だろうか、出来て数か月経ちすっかり私も存在を忘れていた中学の三年次の同窓会グルがトークの一番上に来ていたので特に考えることなくトーク画面を開いた。

内容は来年の成人の日に某ホテルのビュッフェにて同窓会をやろうというものであったが私が目を張ったのは別のところである。

「参加費:7000円」

高い、と思った時点で私の中学時代の価値がいかほどなのかがわかってしまったのがとても悲しく思えた。
ちなみに某ホテルは地元に近くてそこまで有名と言うほどでもない可もなく不可でもないホテルのビュッフェである。まず一つ言いたいのはなぜホテルのビュッフェである必要があったのかという所であった。
7000円の内訳をメッセージから察するに5000円分は会場費、残りの2000円はビンゴ大会の景品代と考えた。どうやら同窓会ではビンゴ大会などをやるそうで、当時の学級委員であった幹事たちはかなり念入りに計画してくれているというのがよくわかった。しかしながら、7000円という金額はそれを理解した上でも今の価値観では少し渋ってしまっている。しかしここで行くか行かないかを決める最大の判断材料となるのは中学時代の思い出の価値だろう。
思い返せばあまり辛い思い出自体はなくむしろ楽しい思い出ばかりで良い友人にも囲まれていたし、今でもよく遊ぶ友達は大体中学の友人である。…………あれ?仲の良い人たちと今でも会うなら同窓会行く必要あるか?

ここで一つの結論が出てしまった。
「仲の良い友達とは既に会ってるから別に同窓会に行く必要はない」

いやいや、とここまでの話を母親にすると少し腑に落ちない様子で宥めるようにこう説いた。
同窓会というのはそもそも仲の良い人たちに会うというのはもちろんであるが、それ以外にも別段連絡を取るほどでもないがそれなりに仲良くやっていた人たちの現状を見に行くようなものなのでそれはそれでまた楽しさがあるのだという。
確かにそれはその通りだ、と胸にすとんと落ちた私はアンケートにとりあえず「行く」の選択をしてしばらく放置していた。

「そういえばさ、日本語文法のテストいつだろうね」
という話を書道の時間中に小耳に挟んだ。これは趣味の盗み聞きから得たものである。
考えてみたら一月には諸々テストなどが目白押しで二月がすっかり暇な代わりにすべての行事が一気になだれ込んでくる魔の時期であることをすっかり忘れていた私は再び同窓会グルを開き「参加費:7000円」とにらめっこをはじめた。「ここで行かなければ後悔するかもしれない」という私と「百人一首を半分も覚えていないお前が行けると思うな」という私がひたすらディベートを繰り返した結果、日本語文法を優先するべきという結論に至り私の中学時代は百人一首とその他敬語法に屈することとなった。

中学の時百人一首大会をもう少し本気でやっていれば変わった未来をあるのかもしれないと思いつつ、先ほどから勉強をする気なれずに気分でこうして記事を書いている。きっと来年も同じような事を思っていそうで怖いなと思いながら先ほどまた上がった同窓会グルには振込先の詳細とひっそりと500円参加費が値上げしたという連絡であった。7500円も払えないような学生生活を送らないようにせめて大学は1万円分の思い出を作ろうと思う。


ちなみに、グルのアンケート内で行かないと答えたのは現時点で私のみである。
定期的にアンケート結果を見ながら様子を見てしまう所に、後悔が少々拭えてないのだなとしみじみ思う私であった。今更変えるつもりは無いが、


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