一瞬でいいから
昨日のはなし。
去年は二日連続でフェスに参戦したのだけれど、今年はスケジュールの都合で1日目のみ。おかげで昨日の余韻が2日目の記憶に塗り替えられることなく、今日も昨日のことを考えて過ごしていた。
ハルカミライのボーカル橋本さんが、ステージ上やフロアを縦横無尽にかけずりまわりながら、メロディにのせて語っていた。
「ずっと100%がんばれるひとなんて、ほんのちょっとだ」
「最初から最後まで今日を全力ですごせるひとなんて、ほんのちょっとだ」
「だから、一瞬でいいから」
「一瞬だけオレたちに」
「一瞬だけオレたちに」
一瞬だけでいいから、オレたちに全力を向けてほしい。オレたちの鳴らす音楽を、声を、聴いてくれ。
たぶんそういうことだと、理解した。
もみくちゃになりながら、人の頭のすきまの先に橋本さんを探して、全力の視線を向ける。
ダイブして流れてきた橋本さんの腕をつかんだ。
ぶつかり合う肩をくぐりぬけて腕を天にのばし、拳を高く高く突きあげる。
酸素のうすいフロアで、周りのひとたちと、声をあわせて。大きく息を吸い込んで、声のかぎり歌う。
そんなにいつもはがんばれないけど。全力でハルカミライをかんじた25分間であった。
最高で最高で最高な、25分間だった。
そして昨日という1日は、この夏のナンバーワンといっても過言ではない、最高の一瞬の連続であった、これだけはまちがいない。
歓びのうたを、君の前でうたっている